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【コラム】オーストラリアのハイパフォーマンスボート、16ftスキフを知っているか!?

 みなさん、はじめまして! 今月からバルクヘッド・マガジン誌上で毎月コラムを連載させてもらうことになったワカコ・レーシングです。オーストラリア・シドニーを拠点にセーリングに関係する世界の情報を、ちょっとマニアックな視点をまじえてお伝えしたいと思います。(レポート・写真/梶本恆平 ワカコ・レーシング)

オーストラリアではハイパフォーマンスボートも人気です。日本ではシングルハンドのILCAをはじめ、国体や学生選手権で使用される470、スナイプが一般的ですが、豪国ではスピードボートが大人気。お国柄の違いが出ていておもしろいですね(バルクヘッド編集長)

 ご存知ない方のために紹介しておくと、ワカコ・レーシングは2012年バルクヘッド・マガジン『ヨット馬鹿大賞』受賞の梶本和歌子(旧姓 田畑。ロンドン五輪日本代表)が代表を務め、1988年ヨッティング誌『ジュニア・セーラー・オブ・ザ・イヤー』受賞の梶本恆平(旧姓 釜池)が事務局を務める2人組ユニットです。

 今回はオーストラリアの16ftスキフ(単にシックスティーンとも呼びます)の紹介をします。スキフとは平底のハル形状が特長で、ディンギーではアパレントウインドを使って走るハイスピードボートがそれにあたります。日本ではオリンピック種目の49erや49erFX、ジュニア用のオープンスキフが馴染みある艇種になるでしょうか。

 オーストラリアのスキフといえば何と言っても3人乗りトリプル・トラピーズの18ftスキフが有名ですが、その18ftを長男とすると今回紹介する16ftスキフは次男坊のような存在で、3人乗りダブル・トラピーズのハイパフォーマンス・ディンギーです。三男坊的な2人乗りダブル・トラピーズの12ftスキフもあります。

18フッターの弟分の16フッタースキフ。オーストラリアで人気の艇種です

 兄貴分の18ftスキフと違いウイングこそありませんが、カーボンファイバー製の軽量ハル、コンポジット製のセール、長いバウスプリットから展開される巨大な非対称スピンと、これぞハイパフォーマンス・ディンギーと言った構成になっています。

 クラスの名前が示すように元々はハル長16フィートを基本とするボックスルール(全長さセール面積など限られた条件を満たせばOKという設計の自由度が高いルール)でしたが、現在では統一ハルデザインなっている他、使用できるリグとセール数にも制限があります。

 クラスの設立は1901年(明治34年)だそうで、100年を超える歴史のあるクラスです。気になるコストですが、フィッティング済みのハルとスパーのセットが6万豪ドル(約600万円)だそうです。

 ヨットクラブから年間シリーズへの参加費や新艇購入補助が出るので、新艇を購入しても3〜4年間活動するとほぼ持ち出しなしで参加できるそうです。

 シドニー湾の入り口に位置するマンリー16ftスキフ・セーリング・クラブとマッコーリー湖東岸のベルモント16sセーリング・クラブが2大クラブで、他にもミドル・ハーバーやボタニー湾奥のセント・ジョージ・セーリング・クラブなどでも年間シリーズが行われています。これらのクラブは一般の人も使えるレストランやバーを併設していて、にぎわっています。

 最後にセント・ジョージで開催された今年(2023/24年)のナショナルを観戦してきた時の写真を何点か紹介して終わりにしたいと思います。

1月5〜13日までシドニー郊外セントジョージ・セーリングクラブで開催されたオーストラリア13&16ftスキフ選手権を観戦してきました
470級のレジェンドで同級北京オリンピック金メダルのネイサン・ウィルモットは〈Imagine Signage〉のヘルムとして参加しました。2021/22、2022/23とナショナル2連勝中。昨年の29erナショナルを制したジョエル・ビシェルは〈NHS Building Supplies〉のヘルムとして参加しています
昨年のチュラブ・ナショナルを制したバンジョ・ニコルソンは〈SKE Electrical〉のヘルムとして参加。ジョエルの父は元ETNZで2013年のアメリカズ・カップ出場のアダム・ビシェル、バンジョの父はボルボ・オーシャン・レースのベテラン、クリス・ニコルソンです。2人は2000年シドニー・オリンピックの49er級代表を争ったライバルでした
予算の豊富なチームはトランスポート用のトレーラーまで綺麗にデコレーションしています
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