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【コラム】夕暮れのシドニーでSailGPを観てきた

 2月28日、3月1日にSailGPシドニー大会が開催されました。今回は、1日目は陸から、2日目はフェリーからと、2日間にわたって観戦してきました。(レポート/梶本和歌子 ワカコ・レーシング)

SailGP オーストラリア・シドニー大会。土曜日はギリギリフォイリングできるコンディションでした。徐々に日が暮れてきて、夕焼けの中でのレースになりました

◎気合いを入れて2時間前に場所取りするが拍子抜け

 1日目はシャークアイランドの東側にあり、ローズベイとワトソンベイの間にある半島のローズベイ側、ニールセンパーク内のミルクビーチから観戦しました。

 この場所を選んだ理由は、風の予報が南東だったため、レースコースに対して風上側になり、風上マークに近い場所になるのではないかと予想したからです。

 スタート時刻の2時間前に到着し、椅子を持ち込んで場所を確保。観戦場所の争奪戦になるかと思っていましたが、実際には海水浴をしている人は多いものの、レース観戦を目的に来ている人はほとんどおらず、少し拍子抜けしてしまいました。スタート30分前になると、ようやくポツポツと観戦する人が集まり始めた、といった雰囲気でした。

 今年からレースはトワイライト開催となり、17時半から19時に行われました。たまたま海水浴に来ていた人たちが「何かレースをやっているね」といった感じで眺めていたり、近所の人が散歩がてら立ち寄ったり、クイーンズランドから観に来たという親子がいたりと、全体的にとてもゆったりとした空気でした。私たちのように「早く行って場所取りをしなければ」と気合いを入れていたのが少し恥ずかしくなるほどでした。

 実際にレースが始まると、風は予想より弱く、これまでのレースでよく設置されていたシャークアイランド南側ではなく、北側に風上マークが置かれました。予想は外れてしまいましたが、それでもレースコースの大半を見渡すことができ、十分楽しむことができました。

 2日目はフェリーから観戦しました。16時15分に乗船だったので、その前にダーリングハーバーを少し散策しました。以前はクラウンホテル前にSailGPビレッジが設置され、紹介ブースやショップが並んでいましたが、今回はそのようなスペースはありませんでした。

 私たちのフェリーは16時半に出航。F50と遭遇して、船内の乗客のテンションは一気に上がります。ハーバーブリッジの下をくぐり、オペラハウスの前を通過してクラークアイランド付近で停船。ここからレース観戦です。

 しかし、この日は前日以上に風が弱く、ほとんどフォイリングしないコンディションでした。レース自体はあまり見応えのあるものではありませんでしたが、たまたま隣にいたジェニーナさんという方がとても面白い人で、レースやセーリングの話をしながら観戦していたため、楽しい時間を過ごすことができました。

 ジェニーナさんは、SailGPが始まってから毎年テレビで観戦していたそうです。しかし「シドニーで開催されているのに、なぜテレビで観ているのだろう」とふと思い立ち、今回初めて現地観戦をすることにしたとのことでした。

ミルクビーチの高台から椅子を持ってきて観戦しました。気合い入れて来たのに、椅子を持って来てまで観戦していたのは私たちだけでした
今回のフェリーは2階建のフェリーで窓ガラスがとても大きなフェリーでした。このフェリーはビュッフェ形式で、食事とドリンク(アルコールを含む)がすべて料金に含まれています
一緒に観戦したジェニーナさんと。英語の先生で、日本人も教えたことがあるから、私の拙い英語でも会話が成立しました。シドニーホバートレースに参加している、ローコネクトチームのクルー達が彼女の家に泊まっていたそうです。大のセーリング好きで、アメリカズカップの話やシドニー・ホバートの話まで、いろんなお話が聞けて楽しかったです
トーイングして帰るアメリカチーム。F50をこんなに間近で見る事ができるのもフェリーの魅力です

◎6回目を迎えたシドニー開催。見えてきた変化

 ちなみに、私が今回利用したフェリーはSailGP公式の観戦ボートではなく、フェリー会社が独自に運航している観戦クルーズです。食事とドリンク込みで1人160ドル。公式の観戦ボートは350ドル以上するので、かなり手頃な価格です。少しレース海面から遠くなるものの、海上での体験としては満足しました。

 ジェニーナさんも同じ理由でこのフェリーを見つけて予約したそうで、「この値段でこの体験なら来年もまた乗りたいね」と話していました。彼女は毎年シドニー・ホバートレースもフェリーから観戦しているそうです。

 公式以外の観戦方法が増えたということは、SailGPシドニー大会が今回で6回目を迎え、イベントとして定着してきたということでしょう。

 一方で、「何度か観たからもういいかな」という人たちもいるようにも感じました。実際、一般の観戦ボートは少し減っているように見えましたし、10〜20代の若い世代の姿が少ないことも気になりました。

 前にはインスパイア・プログラムや、インパクトリーグについて強調していましたが、近年は段々そのトーンが小さくなっていっているように感じます。売上には直結しない若手育成や環境保護の部分を縮小しているようで少し寂しく思いました。

 レース内容についても、風が弱い中で無理にレースを成立させている印象でした。日程が2日間と短く、テレビ放映の時間との兼ね合いもあるので仕方ないのかもしれませんが、あれだけのセーラーを集め、高性能ボートを用意しているのに、こんなコンディションでのレースしか見られないのかと少し残念な気持ちになりました。

 来年は、セーリング界のスーパースターたちが操るF50が、豪快にフォイリングするエキサイティングなレースを観たいものです。そんなことを思いながら、フェリーを後にしました。

ヘルムがキャンフィールドになってから、初優勝を飾ったアメリカチームのフィニッシュの様子。フィニッシュの時に煙幕が上がるようになり、派手な演出でした
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