【コラム】ジュニアをフォイリングの世界へ。ジュニア・フォイリング・カップ
トップセーラーの年齢が若年化しているフォイリングの世界。モスの世界選手権では10代後半〜20代前半の選手たちが活躍し、並行して五輪種目で活動し、SailGPやアメリカズカップの道へ進む選手も現れています。11月オーストラリアで、さらに下のジュニアセーラーを対象にした「ジュニア・フォイリング・カップ」が開催されました。オーストラリア・シドニー在住のワカコレーシングがレポートします。(BHM編集部)

今回は11月22、23日の2日間、私たちの所属するウラーラ・セーリング・クラブに「ジュニア・フォイリング・カップ」がやってきたので、レポートしたいと思います。(レポート/梶本和歌子 ワカコ・レーシング)
このイベントは、スコータイプのフォイリング・ディンギーを展開するスキータ・ウォータースポーツが中心となって行っている、16歳以下のフォイリングキャンプです。
同社の子供用フォイラー「ニッキー」が開催側で用意され、セーラー達はセーリングギアを持ってくるだけで参加できます。初日の午前中はブリーフィングから始まり、午後は実際に海に出て練習を行い、その後にレースまで行います。
今回は21人のセーラーに対して7艇が用意されていて、3チームに分かれ、海上で乗り替わりながら練習したり、合計12レースを実施していました。
協賛にはオーストラリア・セーリング協会も入っていて、初日にはCEOのマルコム・ペイジ(五輪470金メダル)、2日目にはイアン・ジャンセン(五輪49er金メダル、SailGP、モス)が来ていました。

また、協賛企業から参加者全員に配られるTシャツとキャップが用意されていました。それ以外にもレースの賞品が用意されていて、子供達が楽しめるようさまざまな工夫がされていました。
オーガナイザーのデビット・フレンチによると、オーストラリアも日本と同じようにオプティミストからユース種目へ移行する際に離脱率が高く、その前段階でフォイリングの楽しさを知ってもらい、セーリングを続けてもらうきっかけになればと思って開催しているそうです。
参加者のお父さんは、「フォイリングボートがどんなものかを体験する機会として、手軽に参加できる良いイベントだ。ユースクラスへステップアップする前、にフォイリングを含むハイパフォーマンス艇への適性を見るのも参加させた目的のひとつ」と話していました。



私たちワカコレーシングは、日本で何度かワスプを使った同じようなオプティ・キッズのフォイリングキャンプをお手伝いしたことがあります。ワスプだと少し風が強くなると沈起こしが大変で、そこで子供達が疲れてしまったり、そもそも起こせなかったりで効率が良くないと感じていました。
その点ニッキーは子供用にデザインされていて、幅の広いスコーデザインでバランスを崩して沈することも少ないので、オプティキッズには良さそうでした。
普及ではなく、競技の観点で言うと、モスワールドでのワスプ世代の活躍振りから推測するに、もう高校生(U19)くらいまでにフォイリングを始めていないと世界には太刀打ちできない時代になっているともいえます。さらにその下の世代で始める必要があるのかは正直わかりませんが、そうなる可能性は十分にあると思います。
ジュニアのメインクラスは、オプティミストやオープンスキフから変わることはなく、ニッキーのようなフォイリング艇は当分の間セカンドクラスの位置付けとなると予想されます。その割には高価なので、日本だとヨットクラブ、学校、連盟などが所有して、共同で使用していくようにしないと普及しないのかなと感じました。

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