若手セーラーが激戦! ECL AGENCY CUPで慶應大チームPJが優勝
11月8日、9日の2日間、季節外れの暖かさに恵まれた中、北九州市・新門司マリーナで「ECL AGENCY CUP 2025」が開催された。事前に招待を受けた6チームが、主催者であるECLエージェンシー(ECLA)の保有するFAREAST28Rをチャーターボートとして使用し、ワンデザインならではの白熱したレースを(一社)日本オーシャンセーラー協会(JOSA)、株式会社ピー・アール・エフ セイルオンの特別協賛のもと開催した。(レポート/慶應義塾大学 チームPJ 艇長・加藤賢人)

このFAREAST28Rは、同社取締役の藤田武己氏が「次世代セーラーの育成環境を整える」という理念のもと、中国・上海のFAREAST社の造船所まで自ら出向き、直輸入した艇である。
世界的にハイスピード化・ハイパフォーマンス化が進むセーリングシーンのなか、日本の若手が世界基準で戦えるようにという熱意から、新門司マリーナには現在6艇が配備されている。艇重量は約1.3トンと軽く、6人乗りの適度なサイズで、大学生や社会人セーラーにとって扱いやすいのも特長だ。
今回の招待チームは、九州大学、山口大学、神戸大学、同志社大学、名城大学、慶應義塾大学の6校。普段はディンギーで活動する学生チームから、社会人チームで腕を磨く若手まで、バックグラウンドはさまざまだ。

◎初日:4レース。接戦のインショアバトル
初日は東風の軽風コンディション。上マークまで約1マイルの上下コースで4レースを実施した。どのチームも初めて乗る艇に手探りの様子だったが、レースを重ねるにつれてクルーワークの安定感やボートスピードも上がり、各マークで順位が目まぐるしく入れ替わる展開となった。
1レース目は前日練習を行っていた神戸大学チームが安定した操船でトップフィニッシュ。以降も各艇が接近戦を繰り広げ、最終レースまで緊張感の続く一日となった。
夜にはECLA主催のウェルカムパーティーが開かれ、地元関係者の協力によりBBQやもつ鍋が振る舞われた。山口大学チームの威勢の良い音頭で始まったチーム紹介では、世代やカテゴリーを超えた交流の輪が広がり、和やかな雰囲気の中で懇親を深めた。
◎2日目:微風ショートディスタンス、神経戦の結末
2日目は、北九州空港を横目に望むショートディスタンスレース。新門司沖特有の潮流と風速6〜8ノットの微風下で、わずかな風のブローをつかみ取る神経戦となった。
トップ争いは九州大学、慶應義塾大学、同志社大学の三つ巴。最終盤、風がさらに落ち込むなかで集中力を切らさなかった慶應義塾大学チームPJ(艇長:加藤賢人)が逆転トップでフィニッシュ。2位には神戸大学、3位には九州大学が入った。
総合優勝を飾った慶應大チームは、副賞としてマリンショップ「一点鐘」で利用できる商品券10万円分と、2026年4月にフィリピン・スービックベイヨットクラブで開催される「FE28R Open and National Championship Regatta 2026」への出場権を獲得。
遠征費用はECLエージェンシー株式会社(ECLA)、(一社)日本オーシャンセーラー協会(JOSA)、株式会社ピー・アール・エフ セイルオンがサポート予定だ。
2日間を通して印象的だったのは、全5レースが常に1艇身差の攻防となるワンデザインならではの緊張感だった。艇種や世代の垣根を越え、同条件で本気のレースができる。それこそが本大会の最大の魅力といえるだろう。
来年以降も本大会は継続開催が予定されている。学生時代の仲間との再会や、新たな艇種への挑戦、社会人チーム参加へのステップアップとして、若手セーラーたちの挑戦を期待したい。

◎ECL AGENCY CUP 2025成績
U-35 FAREAST28R クラス
優勝艇 04号艇(緑)慶應義塾大学(チームPJ)
第2位 05号艇(橙)神戸大学(オフショアセーリング部)
第3位 02号艇(水色)同志社大学(若鯨)
第4位 03号艇(黄)九州大学(帆友会)
第5位 06号艇(紫)名城大学(チーム名城大学)
第6位 01号艇(赤)山口大学(チーム山口大学)
◎クルーザー オープンクラス成績
※同時開催 5マイル、ショートディスタンスレース
総合優勝 TEAM CONDITION(TAKAI 22)
ファーストホーム MISTY(YAMAHA30SN)