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クラシックとマキシの迫力に圧倒される。レ・ヴォワール・ド・サントロペ

 9月29日〜10月5日、フランス南部の港町サントロペで、「Les Voiles de Saint-Tropez(レ・ヴォワール・ド・サントロペ)」が開催されました。1991年に始まったこのヨットレースは、世界最大規模を誇り、クラシックヨットから最新レース艇が同じ海面に集うという独特の魅力を持つ大会です。今年は245艇、3000人以上が参加しました。(BHM編集部)

毎年にサントロペで開催されるレ・ヴォワール・ド・サントロペはクラシック、マキシ、モダンヨットが集まる世界最大規模のヨットレースです。季節は秋の始まりですが、日本の秋より気温が低くセーリングにはちょうどよい気候です

 目を見張るばかりの大型ヨットに心を動かされないセーラーはいないでしょう。サントロペの港には、1890年に建造された〈SKY〉からフルカーボンの最新マキシまでずらりと並んでいます。クラシックから最新艇まで、息をのむような美しい造形を眺めていると時間がたつのを忘れ、まるでヨットの美術館に迷い込んだかのようです。

 レ・ヴォワール・ド・サントロペは、毎年、9月の終わりから10月初旬にかけて約10日間行われます。この期間、サントロペの港町はヨットレース一色となり、このイベントを見るために数十万人規模の観光客が訪れるそうです。

 港はクルー、観戦者、観光客であふれ、海上だけでなく陸上でもパレードやコンサート、展示会が行われます。宿泊の需要も高くなり、地元経済に与える波及効果は大きいといわれています。

 レースはクラス別に行われ、湾内のコースレースに加え、沿岸を巡るコースタルレースもあり、町の沿岸には双眼鏡を手にヨットレースを見学する人々の姿も見られます。

 ヨットの歴史を象徴する優雅なクラシック艇と、最先端の技術を備えた現代艇が同じ海を走る姿は、セーリングの多様性と美しさを感じずにはいられません。わたしたち日本人の日常とはかけ離れた世界ですが、こんなヨットの文化も存在するんだと実感しました。

レ・ヴォワール・ド・サントロペが開催される一週間、サントロペの港は大型艇が横抱きされて停泊します。フランスらしく、船までゲートはなく誰でも岸壁まで来て船の中をのぞくことができます
古いサントロペの港町にクラシック艇がよく似合います。観光客が船を見学しながら海岸のメインストリートを歩いて行きます
港周辺のカフェやレストランは観光客であふれかえっています。サントロペは1950年代のフランスを代表するアーティストが好んで夏を過ごすようになります。一躍、有名リゾートに変わりました
全長30.5メートル/100フィートのマキシ最大艇〈MAGIC CARPETE〉。ハリヤードウインチは電動でクルーは重労働することなくセールアップできます。広々とした後部デッキは別のスポーツができそうです
〈ELENA OF LONDON 〉は出港と帰路時にバグパイプを奏でて士気を高めます。奏者のアラステア・ケントさん(30歳)はセーラーでありながら、バグパイプ奏者でもあります。バグパイプは7歳から始めました
陸上だけでなく、海上もヨットレースを観戦しようとたくさんの船や人であふれています。日本と違うのは観光船もレース海面に入ってかなり近くまで寄ることです(スタート前後は規制はあるようですが)
レ・ヴォワール・ド・サントロペに初登場して注目を集めたスクーナー〈ATLANTIC〉(64.5メートル/211フィート)。1903年に進水したヨットのレプリカで2010年に建造されました。スクーナーとは2本以上のマストに縦帆を張った帆船です。逆風時の帆走性能に優れていると言われています
こちらは今回出場した船で最も古い〈SKY〉は1980年に進水した44フィートのガフリグ。今から135年前の船が現役で走っていることに驚きを隠せません。1980年代の船は合計4艇出場しています
マキシクラスのスタート。マキシだけでも5クラスに分かれています。最新は202年に進水したばかりのWALLY ROCKET 71(71ft/21.4m)でした
マキシ最大は〈LEOPARD 3〉と〈MAGIC CARPETE〉。写真の〈LEOPARD 3〉は全長30.5メートル。人数を数えてみると20人ぐらい乗っていました
地中海の青い海と空に白い帆が映えます。古いものを大切にきれいに乗り続けることはヨットの魅力のひとつです
フランス北部と違って干満差が少ないからか、海岸戦ギリギリまでやってきて、スタートシーンを見学します。写真はモダンクラスのスタート。モダンは125艇(5クラス)が出場しました
125艇が出場するモダンクラスはロングのコースタルレースで実施。今年のレ・ヴォワール・ド・サントロペは軽風レガッタになりました
気になってしまった〈夜〉(YORU)チーム。イタリアのチームで60フィートのミニマキシで出場していました
サントロペの海岸線はたくさんの観光客がヨットレースを観戦していました。サントロペはSailGPも誘致していて、自治体そのものがヨットレースと身近な関係にあると感じました
すべてのシーンが絵になるサントロペ。245艇も出場する大型ヨットレースともなると、レースが終わって入港する時は大混雑になりますが、それですら絵になります
レ・ヴォワール・ド・サントロペが開催される10日間は、昼だけでなく夜もコンサートやパーティがおこなわれています
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