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雨の琵琶湖で激闘。京都府立医科大が西医体二連覇達成

 8月9日〜11日、滋賀県柳が崎ヨットハーバーで「第77回西日本医科学生体育大会(西医体)ヨット部門」が開催されました。(レポート/高蓋寿朗、写真提供/日本スナイプ協会 琵琶湖フリート)

琵琶湖で開催された第77回西日本医科学生体育大会ヨット部門(西医体)。470級14大学、スナイプ級14大学が出場しました

 今年の西医体ヨット部門は、琵琶湖柳が崎ヨットハーバーで開催されました。6月下旬から記録的な猛暑が続いていましたが、このレース期間中は、晴れ、曇り、雨と不安定な天候で、風も微風から軽風、時に突風が吹き抜けるという、選手、運営ともに神経をすり減らすような3日間でした。

 2年前の琵琶湖開催では総合3位に甘んじたものの、昨年の広島では完全優勝を果たした京都府立医科大が連覇をねらい、昨年、広島での地元優勝をのがした広島大も今回は敵地でのリベンジに燃えていました。この2校を軸に、京都大、浜松医科大、宮崎大、神戸大などが加わって、上位校は混戦となりました。

◎琵琶湖、3日間の熱戦と気まぐれな風

 曇りがちながらも晴れ間も見られた1日目は、昼過ぎまで風待ちが続き、午後に弱いながらも北風が入り、第1レースがスタート。470級は予想通り、広島大が第1マークからトップに立ち、リードを広げ、京府医大、京都大、滋賀医科大の琵琶湖勢が続き、浜松医大も集団に上位に食い込みました。この上位集団は、その後も3日間を通して、きびしい競り合いを続けました。

 スナイプの第1レースは、京府医大と神戸大が終始トップ争いを続け、フィニッシュ直前で神戸大が京府医大をかわして、トップフィニッシュ。その後のレースは、宮崎大、京都大、和歌山医大なども上位陣に加わり、順位は各レースで入れ替わる展開となりました。

 第1レース終了後、風が180度振れて南風となり、第2レースが行われ、470級は広島大、スナイプ級は京府医大が2位以下を大きく引き離してトップフィニッシュ。その後のレースはすべて、この2艇がレースをリードしつづけることとなりました。

 2日目は、朝から雨模様でほぼ無風、陸上待機が続きました。午後に入って南からブローまじりの順風が入りはじめ、第3レースが14時ころスタートしましたが、第1マーク回航後に風が落ち、風向も不安定となったため、風下マーク手前で両クラスともにノーレースとなりました。

 この日は、15時過ぎてから第3レースが再スタートしてフィニッシュ、この日は1レースのみの成立となりました。2日目までで、両クラスで安定した走りを見せる京府医大が抜けだし、その他の大学は両クラスの順位をそろえることができず総合成績は混戦模様となりました。

 そして最終日、朝から雨模様の中、南から軽風が入り、第4レースは9:30にスタートし、3レースが実施されました。第5レースの成立時点でワンカットが入ることとなり、その時点で、両クラスともに1位は確定、総合2位から6位までの順位は第6レース次第ということとなりました。第6レースは、フィニッシュ目前で突風が吹き抜けて、スナイプ数艇が沈するという事態も発生しましたが、上位校は順当に1位から3位に入り、それぞれの順位を確定しました。

 3日間で、予定された半分の6レースしか実施できませんでしたが、艇速、風の変化をとらえる技術に加えて、練習量が裏づけする精神力が試された「琵琶湖ならでは」という大会であったと思います。

レース海面には琵琶湖ではお馴染みのミシガン(観光船)が遠くを走ります
不安定なコンディションでおこなわれた今年の西医体。3日間で6レース実施されました

◎京府医大が総合連覇、470級は広島大が圧巻の走り

 結果は、以下のようになりました。
470級、1位 広島大、2位 京府医大、3位 浜松医大
スナイプ級、1位 京府医大、2位 神戸大、3位 宮崎大
 総合優勝は、京府医大が2連覇を飾り、広島大は3年連続の準優勝、3位には京都大が入り、久々のメダル獲得となりました。

 今回、特に印象に残ったのは、470級広島大(スキッパーの前田選手はジュニア出身)が全レースの全てのマークをトップ回航するという快挙を成し遂げたこと、京府医大の橋田選手は大学入学後にヨットを始めたにもかかわらず、前田艇を脅かす存在として常に上位を走ったことでした。

 「経験と実力からは勝って当然」というプレッシャーをはねのけた前田選手と、それに堂々と立ち向かった橋田選手の活躍が光った大会であったように思います。キャリアの違う選手が同じ海面で同じ風の中で対等に戦える、それもヨットというスポーツの素晴らしさです。

 また,昔を知る世代にとって、古豪である奈良医科大がスナイプ級だけとはいえ、3年前から復活を果たしていることも、とてもうれしいできごとです。

 来年以降も、さらなる古豪復活もあるかもしれません。ヨットという競技の素晴らしさを経験した各校の選手、OBたちが、その思いを後輩に伝え、これからも、このレースがさらに発展することを願っています。

 2026年西医体ヨット部門は、浜名湖で開催予定です。来年も熱い戦いが繰り広げられることを期待しています。

京府医大の橋田艇
広島大の前田艇
西医体選手全員集合。来年は浜名湖で開催されます
第77回西日本医科学生体育大会(西医体)ヨット部門 470級成績
第77回西日本医科学生体育大会(西医体)ヨット部門 スナイプ級成績
第77回西日本医科学生体育大会(西医体)ヨット部門 総合成績
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