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【パラオ】子供たちにセーリング指導していて考えていること

 パラオで青年海外協力隊として子供たちにセーリングを教えている仙田悠人さん。パラオでは、毎週オプティミスト(OP)を使って、子供たちがセーリング練習に励んでいます。日本とはまるで違うパラオのセーリング環境。みなさんの知恵をお借りできればさいわいです。(BHM編集部)

パラオセーリング連盟では毎週末練習しています。指導と救助をかねて1艇のサポートボートで練習を見ています

 今月はあらためて、パラオの子供たちがどのような練習日を過ごしているのかご紹介しようと思います。パラオの子供たちは、水をあまり怖がらず、見て覚えるタイプの子が多いように思います。(レポート・写真提供/仙田悠人)

 パラオにはしっかりしたハーバーがあり、あたらしい船あり、指導者がいるような環境ではありません。しかし、子供たちは毎週末懸命に練習に来てくれています。土曜日は初級から中級、日曜日は中級と上級クラスというクラス構成です。

1日のスケジュール
09:00 コンテナへ集合
10:00 午前出艇
12:00 昼着艇 昼食 海岸清掃
13:00 午後出艇 15:00、午後着艇
16:00 解散

 基本的な動作練習に加えて、帆走練習といった基礎練習をしているつもりです。また、以前の練習説明の記事で書きましたが、セーリングピクニック(遠い目的地まで行く)等の船本来の使い方をする練習も織り交ぜています。ほこり高き海洋民族として、世界一の海を楽しむ経験です。

 環境面でいえば、日本では1艇に1台ある船台もPSA(パラオセーリング連盟)は、自作のものを含めて現在2台しかありません。木造艇は先日シロアリ被害に遭いました……。それと、窃盗の危険があるため、装備の大半を高温多湿のコンテナの中に毎回収納しなければなりません。  

 ぼく自身、スナイプの経験しかないので、OPは手探りで練習しています。そこで日本のOP関係の方々にお話を伺わせていただき、どうにか経験不足を補おうとしています。

 世界中に散らばる青年海外協力隊あるあるのひとつが「新たな土地や環境に入った時に『当たり前を知りにくい』」ということです。

 OPの当たり前、パラオ生活の当たり前は元々コミュニティや内部にいた方々にとって「当たり前」すぎて、なかなか聞き出すことが難しいのです…。

 今回、(青年海外協力隊の)後任となる神谷君(OP経験あり25歳)がパラオに来てくれました。自己のOP経験と現在のPSAとの違いを教えてもらいました。たくさんの日本のOP界の当たり前を、私自身が知ることができて非常に助かりました。

子供たちはがんばってOPをセッティングしています
練習日にはセーリングだけでなくビーチクリーンもおこなっています
整理整頓されたコンテナのロープ

◎親御さんを巻き込んだセーリング。日本のOP活動から学ぶこと

 パラオでは、船を準備、解装する際に保護者の方々に手伝って頂いています。練習は、ぼくとひとりの保護者の方でレスキューを操船するという形です。

 これがパラオの習い事基準でいうとかなり高いサポート基準だと認識しています。この現状が当たり前だと思い込んでいました。

 しかし、日本のOP界隈は子供と同じように(あるいはそれ以上に)親御さんのヨット熱がアツいとの情報を知りました。練習だけでなく子供と各地のヨットハーバーを巡り、レースを経験させるような経験は大切な親子の思い出になります。

 パラオでは今のところ日本のようなレース活動はできません。しかし、親御さんがもっと子供の練習に参加できるような雰囲気になると、子供たちの成長スピードも早まるのではないかと、日本OP界隈より学びました。

 パラオの親御さんは心温かく、親切な方ばかりです。これからはもっと親御さんも巻き込んだ練習になるように心がけます。

 PSAの規模が成長を続ければ、現状のようにひとりで練習を運営することは難しくなっていくでしょう。保護者の方々や、パラオ共和国、パラオオリンピック委員会との連携が、より一層求められるように思います。

 日本はもちろん、パラオの公用語である英語話者も含めた支援の輪が広がり、将来的にオリンピックを目指した練習ができる日が来ることを願っています。

コンテナ前でぼく(仙田)と神谷君
CATEGORY:  DINGHYINSHOREJuniorNEWS