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世界に挑戦し続ける月光チームがワールド3位!シアトルJ/24世界選手権レポート

 10月2日から5日までの5日間、アメリカ・シアトルで「J/24世界選手権2024」が開催され、10か国56艇が参加しました。日本からは〈GEKKO DIANA〉〈シエスタ〉〈ハングオーバー〉〈仰秀〉の4艇がエントリー。我々は東海岸に置いてある自艇を持込み、万全の体制でレースに挑みました。(レポート/小島広久 GEKKO DIANA)

最終レース2位でフィニッシュラインを切り〈GEKKO DIANA〉のワールド3位が決まった瞬間。月光チームは1997年からJ/24ワールドに挑戦を続け、ついにメダルを獲得しました

 シアトルは太平洋からかなり内側に入り込んだ内海がレースエリアとなっていて、山に囲まれた南北に長いロケーションからも不安定な風向と複雑な潮流が予想されます。レガッタ中のコンディションはどちらかというと不安定で、5日間のうち3日は午前中陸上APとなり、平均すると8ノット〜14ノットの軽風シリーズとなりました。

 今回のレガッタでは、デジタルコンパス、GPS、トラッキング機能を持つ「Vakaros racesense」が採用され、全てのレース艇とマークセットボットにVakarosが搭載されました。これによりレース運営はVakarosにより進行されることになります。

 Vakarosの画面を通して一斉にカウントダウンが始まり、スタートラインまでの距離と時間を全艇が同様に把握することができます。当然リコールもインフォメーションされるのでゼネリコもなく円滑なレース運営が可能となりました。

 昨年のギリシャワールドは、大きな手応えを掴みつつも初日の失敗を挽回しきれず6位で終わりました。今回は昨年の失敗を繰り返さぬようまずはレース前日のプラクティスレースをどのようにレガッタへつなげるかチーム内で意思統一を図りました。

 迎えたレース初日、長い風待ちの後レガッタが始まり、スタート時点では18ノットのガストが入るハードコンディションとなりましたが、次第に風が落ち、最後は6ノット程度となる不安定な幕開けとなりました。

 レースは左展開したグループがフリートをリードし、我々も1上マークを6位で回航。少しづつ順位を上げて2位で初日を終え、スロースターターな我々としては最高の滑り出しとなりました。第1レースのトップは〈シエスタ〉で、日本チームの1、2フィニッシュでレガッタは始まったのです。

大会会場となったアメリカ・シアトル。世界から56艇(日本から4チーム出場)が集まり、ワンデザインキールボートJ/24で戦いました
軽風シリーズとなった今年の世界選手権。上位チームは名の知れた実力チームで、1位、2位が抜け出し3位から7位が大混戦となりました

◎混戦のトップグループ。最終日に〈GEKKO DIANA〉が抜け出した!

 2日目はいきなり潮の洗礼を受けます。第2レース4位でマークアプローチするも潮で流されマークを回航できません。わかっていたのにこの始末。謙虚さが足りていませんでした。このレースを28位とし、いきなりカットレースを抱えてしまいました。続く第3レースは落ち着いたレース運びで3位フィニッシュ、この時点で総合4位。

 3日目も試練が続きます。安定した北風の中、第4レースを3位、第5レースを4位フィニッシュとしこの時点で2位浮上。決して浮かれたわけではないのですが、続く第6レースはコース選択を外してしまい26位フィニッシュ。

 このレースは上位艇がいずれも崩していたので総合3位に踏みとどまりましたが、トップとは少し点差が開き、このレースを崩したことにより優勝争いから一歩後退したのでした。

 勝負の4日目、第7レースは今レガッタ初めての南風、スタートから出遅れ苦しい展開となりました。混戦の中をのたうち回り24位。精神的にもダメージが残りかねないレースとなりましたが、ここでなんとか踏ん張ります。

 第8レースはスタートを決めて、14ノットから最後は4ノットまで風速が落ちる中、丁寧なセーリングを心掛け3位フィニッシュ。なんとか生き残りました。総合順位は4位となりますが、3位〈シエスタ〉から7位までは10点差の団子状態となりました。

 そして迎えた最終日、2レース実施予定ですが朝から風がありません。昼前にそよそよと北風が入り、最終レースが始まりました。

 このレースを迎えるにあたり、『全員がとにかくスタートシークエンスに集中し、スタートを成功させる』と意思統一したことが功を奏したか、渾身のスタートを決めることができ、理想のレース展開で2位フィニッシュ。これが最終レースとなり、総合3位でレガッタを終えることができました。

 1997年アルゼンチンブエノスアイレスで初出場してからなんと27年、ようやく表彰台に立つことができました。月光チームの先輩方や仲間たち、いつも我々を応援してくださる方々のお陰でひとつの結果が残せてとてもうれしい気持ちでいっぱいです。

 ですがまだワールドチャンピオンになったわけではありません。目標としていた3位入賞の準備はできていたが、世界一になる準備が足りていなかったのではないか、と時間の経過と共に悔しい思いも込み上げてきます。

 頂上まであと2つ。ワールドチャンピオンを目指し引き続きチャレンジしていきますので、これからも応援を宜しくお願い致します。

月光は日本で長い歴史を持つセーリングチームです。〈GEKKO DIANA〉のメンバーは、市川航平、松山宏彰、小島広久、川村 岳、森 俊介、宮本貴文でした

◎2024 Beecher’s Handmade Cheese J/24 World Championship
1 USA Honeybadger (Travis Odenbach)28p
2 USA Mike Ingham 51p
3 JPN GEKKO DIANA(KOHEI ICHIKAWA)67p
4 JPN Siesta(Nobuyuki Imai)79p
42 JPN HANGOVER(Masato Iizuka)285p
31 JPN Gyosyu(Yuki Sekine)229p

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