Loading

〈その辺の四皇〉優勝!広島・全日本OP級チームレース選手権

 9月14日〜16日、広島観音マリーナで「第40回全日本OP級チームレース選手権」が開催され、全国から12チーム合計48人の選手が集まり、白熱したレースが繰り広げられました。(レポート/本計正彦 チームレース実行委員長)

今年も広島で開催された「全日本OPチームレース選手権」。4艇対4艇でチームレースルールを使っておこなわれました。ケースがあった場合、アンパイアボートがその場で判断するオンザウォータージャッジが採用されます

 本大会の特長は、1チーム4人で戦うチームレースです。フリートレースとは異なり、個々のスピードだけでは勝利につながらないのが大きな魅力です。

 競技は味方4艇と敵4艇、合計8艇で行われ、コースは短いものの、その中で戦略が大きな影響を与えます。選手たちは、相手をコース外に追い出したり、自分の順位を犠牲にして仲間の順位を押し上げたりと、頭脳を駆使した戦いが求められます。

 このレースでは、単なる帆走技術だけでなく、ルールの理解やチームワークが重要です。的確な判断力と、仲間とのコミュニケーションが勝敗を分けることも多く、作戦次第では大逆転が可能というスリリングな展開が楽しめます。

 大会には多くの若手選手が参加し、彼らの成長と将来への期待が感じられました。参加した選手の多くは、6月末に同会場で開催された「チームレースクリニックin広島」にも参加していて、その経験が大会でのパフォーマンスに活かされていました。

 経験豊富な選手たちも多く、技術や戦略を駆使して臨む姿勢には感銘を受けました。チームの絆を深めながら、選手たちはそれぞれの役割を全うして全力で挑んでいました。

 今年は久しぶりにレセプションも開催され、参加者たちは豚の半身焼き、鯛ソーメン、タコ飯などの豪華な料理に舌鼓を打ちました。

 料理を楽しむだけでなく、選手同士の交流や、スタッフとの親睦も深まる素晴らしい機会となりました。食事を共にしながら、レースの戦略や感想を語り合う姿が見られ、まさにスポーツの楽しさが感じられました。

 この大会は、熱い競技と心温まる交流が融合した素晴らしいイベントでした。来年も同じ会場での開催が予定されており、さらなる参加者の増加が期待されます。

 全日本OP級チームレース選手権は、競技者たちにとってただの試合ではなく、仲間との絆を深め、さらなる高みを目指すための貴重な場となっています。来年の大会にもぜひ参加して、一緒に盛り上がりましょう!

スタート前の駆け引き。今年のOPチームレース全日本には全国から12チームが参加しました
チームレースでは自分がトップになることより仲間を助け、前に行かせることが重要です。チームメイトはお互い声を掛け合って戦術を駆使します
第40回全日本OP級チームレース選手権 成績

◎優勝チーム監督からのレースレポート
『何となく勝てば良いという気持ちから、必ず勝たなくてはという気持ちに切り替わった』


 〈その辺の四皇〉は、昨年の優勝チームから1名(藤田翔伊)、準優勝チームから3名(後藤晴人、長堀滉、松永虎汰郎)から成る実力十分なチームです。

 4人揃った練習は1度しかできませんでしたが、それぞれがチームレースのクリニックや練習会の機会毎にルールの理解を深め、ズームミーティングで認識をすり合わせ、勝ちパターンのイメージを共有して本番を迎えることができました。

 現地入りしてからは、戦術や役割分担など、具体的なプランは全て選手が決定し、対戦ごとにブラッシュアップしていきました。レース後にアンパイアボートと並走し、インシデントの検証する場面も度々見られました。

 大会初日は危なげなく勝ちを重ね、全勝で2次ラウンドへ進みました。2日目、2次ラウンドの初戦は最大のライバルと目された〈KOSI〉との対戦です。

 4マーク回航時点まで優位にレースを進めましたが、フィニッシュライン直前で42条のペナルティを受け、初めての敗戦となりました。全勝優勝を目指していただけに、選手の落ち込みも大きいものでした。

 船の乗り換えがあり、さん橋で一旦気持ちを落ち着けた後、初対戦のvs〈ボラッキー〉。初戦よりも風が上がり持ち味のスピードが出せたことで気持ちも落ち着いたのか、しっかり勝利をもぎ取りました。

 いったん陸へ上がりお昼休憩の際、優勝するための道筋を改めて確認しました。予選を2位以内で終え、ゴールドフリートでシードを獲得すること。そのためには、次の〈愉快な仲間たち〉との対戦がとても重要になる事。

 選手たちは何となく勝ち続ければ良いという気持ちから、次は必ず勝たなくてはいけないという気持ちに切り替わりました。本来のペースを取り戻し、〈愉快な仲間たち〉と続く〈SFC〉に快勝し、予選2位でゴールドフリートへ進みました。

 迎えた最終日。最高に楽しいチームでレースができるのも今日が最後です。四皇の名にふさわしく、最強になって帰ろうと約束して出艇していきました。

 〈愉快な仲間たち〉との初戦は、終始優位にレースを展開し、2戦先勝で決勝戦へ進みました。決勝は、これまで唯一黒星を喫した〈KOSI〉との対戦です。スタートからガチガチの抑え合いで、マークトラップの掛け合いも激しく、最後まで確信の持てない展開が続きました。

 フィニッシュライン直前で〈KOSI〉が痛恨のペナルティを受け、前日とは逆のパターンでまずは〈四皇〉が1勝。この勢いのまま2戦で勝負を着けたいところですが、2戦目も4マークまでは拮抗した状況が続き勝負の行方が分かりません。

 4マーク回航後、相手に7位、8位を取らせた直後に〈四皇〉にペナルティ。逆に4皇が7位、8位となり、勝負は3戦目にもつれ込むかと誰もが思った最終レグでしたが、ここで持ち味のボートスピードが冴え、勝負の行方はフィニッシュラインまでもつれ込みます。

 全艇フィニッシュの後、少し間を置いてイエローフラッグが上がった瞬間、監督の私も思わずこぶしを上げていました。終わってみれば13勝1敗の見事な戦績で、優勝をつかむ事ができました。

 この季節には珍しい酷暑の中、予定した全レースを実施して頂いた運営のみなさま、あたたかい声掛けと共に食事を提供して頂いたホストクラブのみなさま、本当にありがとうございました。来年は「大きな四皇」になって戻ってきます。
(チーム〈その辺の四皇〉監督 後藤陽子)

優勝の〈その辺の四皇〉チーム。昨年準優勝の〈小さな四皇〉からひとまわり成長しました
第40回全日本OP級チームレース選手権 参加選手、スタッフ一同。来年も広島で会いましょう!
CATEGORY:  DINGHYINSHOREJuniorNEWS