第1回記念大会。和歌山カイト・ウイングフォイル全日本選手権
9月6〜8日、和歌山浜の宮ビーチで「第1回フォーミュラーカイト全日本選手権」「第1回カイトフォイルオープンクラス全日本選手権」「第1回ウイングフォイルオープンクラス全日本選手権」(関西マスターズゲームズ)が同時開催されました。(BHM編集部)
この大会は日本カイトボード連盟が主催する初めての全日本選手権です。これまで各地で大会が開催されてきましたが、日本セーリング連盟公認大会になることで、さらに精力的にカイト、ウイングフォイルを国内で広めていきたいという意図があります。
また、パリ五輪から新採用されたフォーミュラーカイトだけでなく、今回は世界的で急速に普及しているウイングフォイルの大会も併催されることになりました。
大会前半は残念ながら風があがらずカイトは3レース実施。ウイングフォイルは、初日1レース、最終日の10〜12ノットの風で3レースおこなわれ、第1回全日本選手権はギリギリのコンディションで成立することができました。
唐門 紘と三好竜寧の一騎打ちとなったフォーミュラカイトは合計5レースおこなわれ、唐門が逃げ切り勝利。カイトオープンは走れるか走れないかの不安定なコンディションでおこなわれ、奥田彩香が総合と女子優勝。21艇がエントリーしたウイングフォイルは穴見賢太がオールトップで優勝しました。
◎選手、連盟・運営スタッフで作り上げた初めての全日本選手権
第1回目の開催となる全日本選手権は、期間中、風が弱かったこともあり、選手と大会運営スタッフがざっくばらんに意見を述べる意見交換会の時間が設けられました。
話の内容は、レース運営に関するものが主で、風が弱いゆえに、レースできる最低風域の考え方や、選手が用意した道具を考慮したレース運営の要望などです。
こうした光景は、バルクヘッドマガジンが普段取材するセーリングの全日本選手権ではなかなか見られない光景であり、とても興味深く話を聞かせてもらいました。
本大会ではレース公示に「低風速をカイト6ノット、ウイング8ノットとする」と記載されています。しかし、実際には8ノットは最低風域であり、選手からは安定して8ノット以上吹いていないとレースは困難だという意見が出されました。
この背景には五輪に採用され統一規格ができているフォーミュラカイトと違って、ウイングフォイルは世界的に統一規格を作り上げている最中で、まだ規則が統一されていないこと。また、本大会のように異なる道具を持ち寄る大会では、それぞれ用意する道具が違うので性能差ができてしまうことなどがあります。
こうした選手からの意見は、(風速の)数値だけでは測りきれないものもあり、選手、協会、運営が、お互いを尊重しながら意見交換することで、日本のカイトやウイングフォイルのレースの考え方がすりあわされ、前進しているように思えました。
「第1回を開催するにあたって、たくさんの方が応援してくれました。ウイングフォイルは国際的に規則を作っている段階で、日本でも試行錯誤しながら土台を作っていければと考えています。これからも全日本を継続して開催していきたい。参加されるみなさんが、なるべく満足してくれるような大会にしていきたいです」(赤土正剛・日本カイトボード連盟会長)
カイトやウイングのレースは、まだ日本では一般的ではないのかもしれません。第1回全日本選手権が開催されたことを機に、国内のレースが活発になり、レースに対する共通認識が生まれ、大いに盛り上がっていくことを楽しみにしています。