世界を目指す29erセーラーが和歌山に集結。全日本29er選手権
8月24日、25日、和歌山で「第23回全日本29erクラス選手権」が開催されました。7艇のエントリーでしたが、それぞれが力を発揮でき、見応えのあるレースでした。24日には6〜9ノットで4レース、25日は「吹かない」という予報を覆して、7〜12ノットで4レース。和歌山の夏らしく西系の海風のなか、合計8レースを実施できました。(レポート・写真提供/齋藤愛子 日本29er級協会)
混戦する上位グループから最後に抜け出したのは、堤 悠人・後藤大志組でした。ユースワールド、世界選手権、アジア選手権と国際大会に積極的に参加してきた高校生チームです。昨年より身長も伸び、がっしりした感があり、29erが小さく見えました。
しかしながら、彼らに独走を許さなかったのは、29erを卒業してFXへステップアップしていった市橋愛生・後藤凛子組、軽風域で全員をあっと言わせる走り見せた宮川惠子・宇留野遥斗組のベテラン勢の活躍でした。
リオ五輪49erFX代表の宮川選手は中学生の宇留野選手を教えながらレースしましたが、走る度に上達していくクルーワークにびっくり。バランスのよくない29erの上で、ジェネカーワークをこなす動作も板につき、宮川選手よりも小柄な宇留野選手が大きく見えました。
宮川選手のレース運びも要所要所で鋭い判断で、4レースをそつなく走り、初日のトップに立ちました。10ノットを超えると体重が足りなくて苦心していましたが、上位をプッシュする位置でしぶといレースを見せました。レイライン、ジャイブポイント、コースのストラテジーで後輩たちは得ることがたくさんありました。
市橋選手はヘルムスもトラピーズにでるFXに慣れてしまったからか、最初は29erの座ったヘルムスに忘れている動作もあったようですが、すぐに体が思い出したようで、スタートやマーク回航での攻めがすごかったです。
後藤凛子クルーは、姉弟対決を匂わせながらも細かいところまで安心してみていられるものでした。FX用に体重を増量したので以前のようには行かないと言いながらも、今大会に参加して後輩達に世界で戦った姿を見せてくれたことは宮川選手の参戦と同時に貴重なものでした。
今大会には、JSAFホープユースから占部心美・ダウスト絵麻組と、後藤一太選手が参加しました。後藤選手は普段クルーを務めながらも、今回はヘルムスが参加できなくなったため、急遽、自分が舵をもち、重田空希選手(湘南工科大学)とチームを作って参加しました。
とっさのチェンジとはいえ、2人とも普段と異なる役割でレースに出て、セーリングの幅が広がりました。1上トップで紫色のジェネカーが上がった時には本人たちだけでなく、レース運営も湧きました。占部・ダウスト組は初めてのスキフレースでしたが、周囲に引っ張られる中、なれるにつれて前を脅かす存在になりました。
29erを継続的に支えてくれているのは、江の島の「ちょっとヨットビーチクラブ」で、日頃の活動の中で29erチームを作ってきました。
ちょっとヨットビーチクラブの選手は、中学から始めて高校の後半で引退しますが、その間、全日本やジュニアオリンピックカップ、江の島オリンピックウィークなど国内のレースには、世代交代しながら参加して活動を続けています。
現在は宮川選手がコーチを務めていますが、最初から新人2人で乗せても上達しないから、コーチが一緒に乗って教えるスタイルです。一緒に乗っている間にスキルがついてきたら、上達した2名でチームを作るというステップで、古川 健・高橋耕馬組が参加しました。
また、江の島ヨットクラブジュニアもユースワールド目標に活動してきた東道・ライナス組のあとを追って、OPから上がってきた中学生コンビの関颯一郎・西村航洋組が出場しました。
独自の視点を持っており、楽しくレースに出ていました。今年は何度も沈してやっとフィニッシュしたレースもありましたが、果敢な走りに将来が楽しみです。
ちょっとヨットチーム、江の島ヨットクラブジュニアチーム、次回は友達を誘って、仲間を増やしてきてください。全国のみなさま、後藤副会長が各地でキャンペーン(JSAFセーリングシリーズ チャレンジラウンド)を展開しています。29erに興味のあるみなさまからの連絡をお待ちしています。