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五輪凱旋、岡田/吉岡が優勝!江の島470全日本選手権

 8月25日、神奈川県藤沢市江の島ヨットハーバーで開催された「ピアソンマリン 全日本470級ヨット選手権大会」。本大会は連日の真夏日となり、最終日も厳しい暑さと強い日差しのなかで行われました。(レポート/高宮豪太 バルクヘッドマガジン)

470全日本トップ3は、オリンピック出場経験者、世界選手権メダル獲得経験者が並びました。全日本選手権は、世界的にみてもレベルの高い大会であることが結果からも分かります

 大会最終日は、南の風10ノット前後のコンディションでメダルレースが始まりました。メダル争いは僅差のため、どのチームにもチャンスがあり注目が集まります。スタート前は各チーム大きな動きはなく、一騎討ちのトップ2艇(岡田艇、吉田艇)は並んでスタートしました。

 緊張感の漂う序盤でレースを動かしたのは、スタート上側から即タックした外薗潤平/磯崎哲也(才全会)です。スタートから飛び出すといち早く右海面に展開し、集団を大きくリードして第1マークをトップ回航しました。

 総合3位争いはこの時点で外薗/磯崎が一歩リード。総合1位の岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセホールディングス)は、2位の吉田 愛/吉田雄悟(ピアソンマリンジャパン)をきっちりとマークして第1マークを6位で回航しました。

 第3マークでO旗が揚げられレースの進行が速くなります。レース後半は、銅メダルを狙う大石駿水/福田桃奈(滋賀県セーリング連盟)はトップとの距離を縮めて2位まで追い上げましたが、外薗/磯崎が第1レグからのリードを守り切りトップフィニッシュしました。

 外薗艇と大石艇の総合得点は同点となりますが、メダルレースで先着した外薗/磯崎が総合3位を決めました。岡田/吉岡は、ダウンウインドで大きく順位をあげ、3位でフィニッシュしました。

 メダルレースを終えて、総合1位は岡田奎樹/吉岡美帆、2位は吉田 愛/吉田雄悟、3位は外薗潤平/磯崎哲也となりました。岡田は6回目の全日本制覇で歴代の最多記録に並び、吉岡はクルーで最多となる5回目の全日本制覇達成です。

 メダルレース後には、オリンピック開催記念モニュメントの前で表彰セレモニーが行われました。岡田/吉岡には、日本470協会からパリ五輪銀メダルを祝して、報奨金が授与されるサプライズもありました。

 レースを振り返れば、470クラスを牽引してきた銀メダリストと社会人チームが実力をみせた大会になりました。今後、世界で活躍するトップセーラーに刺激を受けた若手選手の成長に期待します。

 2025年の「ピアソンマリン 全日本470級ヨット選手権大会」も江の島で同時期に開催される予定です。

上位10艇で競われるメダルレース。フリートレースとは異なり、スタートから選手の緊張感と観客の熱い視線が感じられます

岡田奎樹コメント
「今大会は五輪後ということで、大会を楽しんで走るつもりで参加していました。実際に多くの人に応援と注目をいただき、楽しく大会を終えることができました。ありがとうございました」

吉岡美帆コメント
「メダルレースは(2位の吉田艇と)離れすぎず、O旗が揚がってからはアドバンテージのあるボートスピードで順位をあげることができました。今大会が自身の最後になるかもしれないと思っていたので、全てを出すつもりで臨みました。大会を通して、良いコンディションで楽しんでレースをできたので満足しています」

吉田愛コメント
「成績だけでは分かりにくいですが、世界に出れば(自分達と)岡田艇とも大きな差があることを今大会のセーリングを通して、(若い世代が)感じてくれていたらうれしいです。これからも高い目標を持って努力する選手がたくさん出てくることを期待しています」

外薗潤平コメント
「今日のコンディションでは、ボートスピードに自信がありました。まわりに影響されないポジションのキープと、自分たちの走りに集中する戦略を立ててレースに臨みました。大会を通して、2人で役割を分担して走れていたことで、実力以上の成績を出せました。楽しみながら結果もついてきたので、うれしい気持ちでいっぱいです」

◎2024全日本470選手権 参加91艇 最終成績
1 岡田 奎樹/吉岡 美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセホールディングス)19p
2 吉田 愛/吉田 雄悟(ピアソンマリンジャパン)36p
3 外薗 潤平/磯崎 哲也(才全会)67p
4 大石 駿水/福田 桃奈(滋賀県セーリング連盟)67p
5 小泉 凱皇/松尾 虎太郎(鳥取県セーリング連盟/テレビ新広島)71p
6 安永 昂生/松山 大祐(早稲田大)73p
7 石川 和歩/田中丸 武 76p
8 田仲 恵都/今村 公彦(日本経済大/鹿児島県セーリング連盟)77p
9 池田 海人/伊藤 綾香(日本大/立教大)84p
10 本多 佑基/狩野 弁慶(平成医会)110p

手堅いレースで全日本2連覇を決めた岡田/吉岡。メダルレースでも上位に入り、最後まで銀メダリストの存在感を示しました
準優勝の吉田/吉田。「五輪直後の大会は、(メダル獲得もあり)すごく良かったと思っている。私たちが参加したことで大会を盛り上げることができていたならうれしい」(吉田 愛)
トップフィニッシュを確信し、喜びを爆発させる外薗/磯崎。「レース前に考えていた戦略がぴたりとはまった」(磯崎)。正念場での勝負強さは見事です
五輪はミックス種目になりましたが、女子表彰も継続されています。女子選手の活躍を応援できる場が増えていくことは、競技の未来のために重要です
470全日本恒例のシャンパンファイト。銀メダリストであり優勝者の岡田が標的となり、シャンパンまみれになっていました
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