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8年ぶり広島で西医体開催!医学生セーラーの夏は今年も熱かった

 8月10日〜12日、「第76回西日本医科学生体育大会(西医体)ヨット部門が広島県観音マリーナで開催されました。(レポート/高蓋寿朗、写真提供/広島大学医学部ヨット部、西医体ヨット部門運営本部)

広島で開催された第76回西日本医科学生体育大会(西医体)。世界遺産の宮島をバックにレースがおこなわれました

 2020年は幻の広島大会となったため、広島開催は2016年以来8年ぶりとなりました。3日間、午前中からよいシーブリーズが入り14レースの熱い戦いが繰り広げられました。

 観音マリーナは、「見せるヨット」で有名な海面です。2022年の「ハンザワールド」開催にあわせて、新しい管理棟(山根木材マリーナセンター)が完成、観覧デッキも整備されました。軽風域のレース(今回は8レース)は、マリーナのすぐ沖、フィニッシュラインは目の前、応援、歓声が選手にも届くという絶好の設定で実施されました。

 レースはここ数年、必ず優勝争いに加わる京都府立医大(京府医)と、開催地での34年ぶりの総合優勝をねらう広島大の2強に、浜松医大、神戸大、京都大という上位常連校が続くという展開でした。

 2日目の10レース終了時点で、各レースの1位は両クラスともに京府医か広島大と2校が抜け出しました。

 ここまでで、2カット考慮して計算すると、470級は広島大10点、京府医12点、スナイプ級は京府医9点、広島大13点、総合は京府医21点、広島大23点となり、3位以下とはかなりの差がついていました。

 京府医が両クラスあわせた1位の数でやや上回りますが、広島大も大きな失点をしない着実なレース展開で食い下がっていました。

 カットレースを考慮すると、より積極的なコース展開を試みることができるのは2位の広島大であり、展開次第では何が起こるか分からない状況で最終日を迎えました。

 第11レース、風速が上がり切らない中で意地を見せたのは470級の浜松医大でした。

 第1上マークこそ2位で回航しますが、速度で勝りサイドマークまでに1位となり、そのままトップフィニッシュ。広島大は2位、最初は遅れていた京府医も3位にすべりこみました。

 スナイプ級は、京府医が1位、京都大が2位、広島大は3位でした。このあとのレースで、浜松医大、京都大、神戸大などが上位にからんでくることで、順位に大きな変動があるかもしれないと思われましたが、第12レース以降の展開は、京府医の圧倒的な強さが光りました。

 京府医は、これ以上カットレースを作れないプレッシャーの中、「あと全部トップとってやる!」という声が聞こえてきそうな、気迫のこもった走りを見せました。圧巻だったのは、第13レースの470級で、京府医が2位以下をはるか後方に引き離してトップフィニッシュしました。

 第13レース終了時点で、京府医がスナイプ級で広島大を8点リードし、クラス優勝と総合優勝もほぼ確定、470級も京府医が1位の広島大まで1点差と追い上げました。

観音マリーナ管理棟(山根木材マリーナセンター)。高い位置にある観覧デッキからはレース海面が一望できます。 フィニッシュラインは目前に設定されます
スナイプ級の京府医(8)と広島大(1)は競り合いを繰り返しました
広島大(1)と浜松医大(3)
スナイプ級のスタート

◎京都府立医大 vs 広島大の優勝争い

 最終日は14時以降のスタートはないことになっていましたが、13時45分に470級第14レースの予告信号が上がりました。完全優勝をねらう京府医と、なんとしても470クラス優勝は飾りたい広島大の、まさに最後の戦いが始まりました。

 470級。14ノットに吹き上がった風の中、マリーナ前のスタートラインから全艇が並んで飛び出しますが、やはり京府医と広島大が先頭グループでしのぎあいながら、上マークに向かっていきます。

 そして、第1上マーク回航時、最初にライトブルーの京府医のスピネーカーがあがった瞬間、マリーナにいるチームメイトから大きな歓声が上がりました。

 広島大も食い下がりますが、浜松医大、京都大がからんで混戦模様です。その後も京府医が堅実な走りでリードを広げ、広島大もなんとか2位を守ってフィニッシュしました。

 スナイプ級も京府医が強さを見せ、1位となり、広島大も2位でフィニッシュ。京府医のスナイプは最終日すべてトップフィニッシュと他校を寄せつけませんでした。

 結果、470級は得点では京府医と広島大が18点で同点。1位の数が京府医7回、広島大が6回であったため、京府医が最終レースで逆転優勝、スナイプ級優勝と合わせて完全優勝を飾りました。

 広島大が各クラス、総合すべて、2位。広島大のキャプテンの「うちも強くなったんですけど、京府医はもっと強かったです」という言葉は、清々しくてカッコよかったです。

 3位は、470級は浜松医大、スナイプ級は神戸大学、総合は浜松医大が獲得しました。

 京府医の圧倒的な強さと、広島大の粘り強さが光り、1、2位をほぼ独占しました(両校以外の1位は第11レース470級の浜松医大のみ)。両校は、部員数も多く、選手の技術はもちろん、陸上サポート体制もしっかりしており「チームとしての強さ」を感じさせました。

 この2校以外のチームも、コロナ禍の影響による、部員数、練習時間の確保の困難さをそれぞれが克服して広島に集まってくれました。来年は、さらに仲間を増やして、強いチームになって、このレースに戻ってきてください。

 2025年西医体も熱い大会になることを期待しています!

西医体全員集合
第76回西日本医科学生体育大会 470級成績
第76回西日本医科学生体育大会 スナイプ級成績
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