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江の島2024東医体。日本医科大が9年ぶりに団体優勝を飾る

 8月2〜4日、第67回東日本医科学生総合体育大会ヨット競技(通称:東医体)本戦が江の島ヨットハーバーで開催されました。各大学3艇が出場し、団体戦と個人戦が行われました。8月3、4日はOBの観覧艇もあり、一年に一度の医学生の祭典として大きな盛り上がりを見せました。(レポート/大山 諒・実行委員長、写真/羽田 誠)

女子戦に引き続き開催された東医体本戦。470級3艇による団体戦、個人成績による個人戦がおこなわれました

 本戦は3日間を通して軽風のコンディションでした。初日の第1レース、混戦から抜けたのは島田・松田組でした。ランニングレグで他艇を突き放す走りを見せ、1位を守りきりました。横浜市立、日本医科大学と続き、団体戦は日本医科大学が先を走る形となりました。

 第2レースは日本医科大学が前を走りました。島田・松田組と下村・中川組が艇団を率い、ワンツーフィニッシュを決めました。団体戦においても日本医科大学が首位を守り、このレースで3位、5位に入った慶應義塾大学が2位となりました。

 第3レースは千葉大学が魅せました。植松・日昔組がランニングのボートスピードを武器に前を走り、1位を守りきりました。日本医科大学の島田・山崎組と下村・川村組が後に続き、日本医科大学はこのレースでも首位を守りきりました。

 当初は4レースが予定されてましたが、3レースが終了した時点で風向が安定せず、1レースのノーレースを経てAPA掲揚となりました。白熱した展開の中で日本医科大学がリザルトをまとめ、1日目終了時点での首位となりました。

個人戦優勝の島田・松田組(日本医科大学)
団体優勝に貢献した日本医科大学の下村・中川組
今年度新規参加となった東北医科薬科大学の秋津・齋藤組

◎東医体2日目、慶應義塾大が追い上げをみせる

 2日目は1日目と同様に南〜南西の軽風の中、4レースが行われました。第4レースは慶應義塾大学の渡辺・箱石組と日本医科大学の島田・山崎組のめまぐるしい攻防が繰り広げられました。1下まで怒涛のカバー戦を繰り広げた2組でしたが、クローズのボートスピードを武器に前に出た島田・山崎組が2上レグで前を走り、1位を守りきりました。

 第5レースはここまでの日本医科大学、慶應義塾大学が前を走る展開とはうって変わって、横浜市立大学の吉良・佐藤組と千葉大学の植松・日昔組が前を走りました。団体1位の日本医科大学と2位の慶應義塾大学も猛追しますが、吉良・佐藤組が逃げ切る形でトップホーンを鳴らしました。続く植松・日昔組も左奥海面のブローを掴み、2位でフィニッシュを決めました。

 ここまで選手の疲れは一切見えないレース展開が続いていましたが、第6レースでは波乱がありました。

 ここまで団体2位だった慶應義塾大学と団体4位であった千葉大学がそれぞれ1艇、スタートでUFDを出しました。しかし、1艇が英語をつけても他の2艇が走れば高得点を狙えることが、3艇のうち上位2艇の得点を採用する東医体団体戦の特色です。

 慶應義塾大学は渡辺・箱石組が2位、松尾・大野組が3位でフィニッシュし、1艇がUFDの中で団体5点という高得点をたたき出しました。このレースでも日本医科大学の島田・松田組が1位フィニッシュし、個人戦優勝をほぼ確実なものとしました。

 この日の最終レースである第7レース、昨年優勝校のエーススキッパーを擁した松尾・大野ペアが本領を発揮します。スタートにおいて第一線とはいえない位置から出ましたが、ボートスピードと海面を見極める判断力の高さを武器に1上から着々と順位を上げ、1下でトップに立ちます。

 このレースは1下の時点で2位、3位にも慶應義塾の艇がつけており、4位で回航した日本医科大学の島田・山崎組をチーム総力でカバーする形となりました。その中で島田・山崎組も目を見張る走りを見せ、3位でフィニッシュを決めます。慶應義塾大学の松尾・大野組は終始トップを守りきり、トップホーンを鳴らしました。

第7レースフィニッシュ、日本医科大学の島田・松田、山崎組をカバーする渡辺・箱石組(慶應大)

◎日本医科大学の島田・松田組が個人戦優勝を確実に

 最終日。今大会より最大レースを10レースと増やし、最終日に3レースを残す形となりました。各大学のOBも集結し、漁船から熱い声援を送ります。大会のボルテージは最高潮となりました。

 1日目、2日目と同様の南〜南西、軽風の中行われた第8レース。日本医科大学が盤石の走りを見せます。島田・松田組が常に前を走り、下村・中川組が後続のチームを意識しつつ安定したコース引きを魅せました。

 追いかける東北大学の村上・杉本組は卓越したコース選択で上位2艇を追いかけますが、2下マークでの混戦もあり3位でフィニッシュ。日本医科大学の2艇がワンツーフィニッシュを決める形で、団体優勝をほぼ確実なものとしました。

 第9レース、風は吹き上がることもなく南で安定し、レースはスムーズに行われました。日本医科大学の島田・松田組はここでも安定した走りを見せます。

 2位を追いかける東北大学の小野寺・渡邊組はボートスピードと動作のクオリティで他艇に対し優位に立ち、その順位を守りながらレースを進めます。島田・松田組は他艇の追随を許さず1位でフィニッシュ、3位には横浜市立大学の吉良・佐藤組が入りました。

 そして迎えた最終レース。今大会は団体として1レースの除外があるため、この時点で順位の挽回が不可能なチームもありました。しかし、5年間の集大成として、各チームのメンバー同士が声を掛け合い、また観覧艇のOBの声援を受けながら最後まで諦めずにレースに臨む姿を本船で見ていて、こみ上げるものがありました。

 その中で迎えた第10レースは波乱の展開となりました。ここまで上位を走っていた日本医科大学と慶應義塾大学を差し置いて、前を走ったのは順天堂大学の隈元・関根組でした。

 2位を追いかける千葉大学の三浦・水野組と3位を走る東京慈恵会医科大学の平山・藤森組のランニングの走りも素晴らしく、2下レグは混戦となりました。

 その中で左海面のブローを掴んだ隈元・関根組がトップでフィニッシュ。リーチングレグで42条の違反による順位の変動もあり、三浦・水野組が2位でフィニッシュを決めました。

団体優勝、個人戦優勝(島田・松田/山崎組)を勝ち取った日本医科大

◎日本医科大が9年ぶりの団体優勝を決める

 最終第10レースをもって東医体ヨット競技が終了しました。団体優勝は日本医科大学。2015年以来9年ぶりの優勝となりました。日本医科大学はエースの島田・松田/山崎組が常に前を走り、下村・川村/中川組と土屋/森本・齊藤/松田/山崎組が後続艇をマークしてサポートする圧倒的なチーム力がありました。

 個人戦優勝は島田・松田/山崎組(日本医科大学)。10レースのうち6レースでトップホーンを鳴らし、1レースの得点除外をもって16ポイントと驚異的な走りを見せました。島田選手はまだ3年生であり、来年・再来年も東医体への出場機会があります。今後さらにステップアップし、医学部ヨット競技を牽引する存在になることが期待されます。

 今年度は東北医科薬科大学医学部の新規参加もあり、大会として大きな盛り上がりを見せました。大会運営に関わった6年生はコロナ禍以前の東医体を知る最後の世代ですが、今大会を通じて以前の競技レベル・大会の雰囲気を取り戻すことができたと確信しています。

 日本医科大学の島田選手や慶應義塾大学の渡辺選手など低学年の選手の活躍も増え、今後ますます医学部ヨット競技のレベルが上がることが期待されます。来年はOBとして、益々レベルの高い戦いを見ることを楽しみにしています。

第67回東日本医科学生総合体育大会ヨット競技 本戦 成績

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