パラオと日本ジュニアの国際交流。横浜港ボート天国ヨットレース
7月7日、横浜みなとみらいで「第37回横浜港ボート天国 ディンギーヨットレース」が開催されました。このイベントは1990年代にはじまった横浜港を舞台にしたマリンイベントで、37回目の開催となるディンギーレースはジュニアセーリングのオプティミスト級を使っておこなわれました。(BHM編集部)
参加するのは横浜で活動する横浜ジュニアヨットクラブ、横浜市民ヨットハーバージュニアヨットクラブ、KMC横浜ジュニアヨットクラブの3団体が中心で、他エリアからのオープン参加もできます。また、本大会にはパラオの子供たち7名も参加しました。
日本とミクロネシアの小さな島国、パラオ共和国とはセーリングで強いつながりがあります。2019年にはじまった横浜からパラオまで1726マイルを走る日本パラオ親善ヨットレースをきっかけに「日本パラオ青少年セーリングクラブ」が設立され、日本からパラオへオプティミスト級が寄贈されました。
いま約15名のパラオの子供たちがJICA(国際協力機構・海外協力隊)の協力でセーリングを学び、楽しんでいます。今回、横浜港ボート天国ディンギーヨットレースに参加したのはパラオでセーリングしている子供たちです。
7月7日の大会当日は朝から猛暑となり、船を準備しているだけで汗が流れてくるほどです。開催場所はみなとみらい臨港パーク。ジャパンインターナショナルボートショーが開催されるパシフィコ横浜の海側の公園といえばわかりやすいでしょうか。
ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルや、みなとみらいの観覧車、横浜港大さん橋や、遠くに横浜マリンタワーを見わたせる特別な許可を得たレース海面です。
ただし、この大会は選手権ではないので進行はゆっくりしています。午前中に開会式があり、午後から防波堤の目の前のレース海面でレースがはじまりました。
陸から吹く風は大きなシフトと強弱があり、風のスポットに入るか入らないかがスピードに大きく影響するレース海面です。トリッキーな風の中、選手たちは暑さに負けず元気にヨットレースを楽しみました。
◎今年は全員フィニッシュできた! パラワンタイムで成長する子供たち
この大会のもうひとつのトピックスはパラオから来日した子供たちです。現在、パラオではJICA 海外協力隊から派遣された仙田悠人さんが、パラオに在住してセーリングを教えています。パラオでセーリングがはじまってから日は浅いものの、週末にセーリングしてヨットレースに出場できるまでに成長しました。
パラオのジュニアが横浜港ボート天国ディンギーレースに参加するのは3回目です。大会に出場してどんな印象を持ったのか、仙田コーチに話をうかがいました。
「パラオの子供たちは、日本のジュニアのBクラス、もしくはCクラスの実力です。去年は20ノットの風でだれもフィニッシュできませんでした。今年全員がフィニッシュできたのは大きな収穫です! パラオには大会がないので、日本に来てヨットレースに出ることが目標になっています。今回、大人数でレースして、散らばったり、混戦になったりするという、普段はできないヨットレースができました。パラワンタイム(島に流れるゆっくりした時間)で、ゆっくり成長していますが、子供たちは貴重な体験ができました」
また、同行したパラオセーリング協会のエドウィン・マリオさんは、パラオでは大きな目標があると話します。
「今年、子供たちからのアイデアで新しいプロジェクトが立ち上がりました。それは2032年オーストラリア・ブリスベン五輪に出場しようという目標です。2032年は今回参加した子供たちが20歳前後になっていて、いまから練習して、オリンピックを目指そうとしています。この計画は今年パラオ政府に正式に承認され、いま動き出そうとしている段階です」
セーリングをきっかけに日本とパラオ共和国と交流が生まれました。そして、パラオの子供たちは、いま大きな目標に挑戦しようとしています。今回、横浜ボート天国に参加した子供たちのなかからオリンピックに出場する選手が登場するなんて、考えただけでわくわくします。これからのパラオ、日本の子供たちの活躍を楽しみにしています。
- 日本パラオ青少年セーリングクラブhttps://jpysc.org/jpysc/
- パラオセーリング協会(フェイスブック)https://www.facebook.com/palausailing