興奮のハイスピードを体験しよう!JSAFチャレンジ葉山ラウンド
6月15、16日の2日間、葉山新港を舞台に「JSAFセーリングシリーズ チャレンジラウンド Presented by ENEOS」が開催されました。ジュニア・ユース世代を対象に、普段触れる機会がない艇種にチャレンジする機会を創出する目的の事業です。(レポート/後藤浩紀 日本29er協会副会長)
用意されたのはハイパフォーマンス艇の登竜門となっている29er、新しくオリンピックに採用されたiQフォイル、そしてワンデザインのフォイリング艇として普及が進むワスプの3艇種。今回はテスト的な意味合いも兼ねるため、広く公募はできませんでしたが、それでも週末の2日間でのべ37名の応募をいただきました。
初日は未経験者の不安を取りのぞくため、しっかり時間をかけて基礎からレクチャーを実施しました。普段とは違う艇種に乗れるという好奇心からか、選手たちの目がとてもキラキラしていたのが印象的です。意外とウインドサーファーはヨットに興味があり、セーラーはウインドサーフィンに魅かれていると判明したのも、合同体験会ならではのうれしい発見でした。
待望の風が入り、いよいよ海上へ。3艇の29erと2艇のiQフォイル、2艇のワスプと4艇のRIBに分乗し、小まめに交替しながら3艇種を乗り回しました。
どれも普段の艇種より速いものばかりで、特にジュニア世代は7〜8ノットの軽風でも充分パワフルなセーリングを味わえます。初めてのトラピーズ、初めてのジェネカー3枚張り、初めてのセールアップからのパンピング、そして初めてのフォイリングと、何から何まで初めてづくし! 時間を忘れて没頭し、あっという間に初日が終わってしまいました。
残念だったのは夕凪で風が落ちてしまったこと。風さえ吹けばもっと乗りたかったという渇望感を残して迎えた2日目は、無情にも朝から無風、、、はやる気持ちを抑えて、前日の振り返りとワンポイントレッスンに時間を割きました。
早めの昼食を終えた11時過ぎに雲が晴れ、ようやく風が吹き始めたので出艇。そこからは16時に着岸するまで、12〜15ノットの絶好の風に恵まれました。
前日の鬱憤を晴らすように選手たちはトライ&エラーを繰り返します。楽しいけどむずかしい。むずかしいから楽しい。ただ走り出すだけで、タック・ジャイブをするだけで簡単に沈をするのはハイパフォーマンス艇の宿命です。そしてわずか2日間ながら、見違えるほど上達してしまえるのが若さの特権だと言えるでしょう。充実したチャレンジを終えた選手たちの生の声をいくつか紹介します。
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憧れの艇種に乗れて、予想以上の速さに驚いた
ヨットはもっと楽だと思ってたのに、乗ってみるとすごくきつかった
iQフォイルもう一度リベンジしたい
念願のフォイリングができて最高にうれしい
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オリンピックのセーリング競技は1900年のパリ五輪から続く伝統を誇りますが、その採用艇種は大きく変化しています。まもなく開幕する100年ぶり3度目のパリ五輪ではセーリング10種目の中で実に7種目がハイパフォーマンス艇になりました。しかもそのうち5種目はフォイリング艇です。
日本のユース世代は420とILCAが大多数を占めますが、その先の艇種はオリンピック10種目の30%に過ぎません。世界の潮流が大きく変わる中、我が国のジュニアユース世代にハイパフォーマンス艇に挑戦する機会を与えるのは喫緊の課題でした。こうして事業化して全国へ展開できるようになったことは、非常に大きな一歩だと言えるでしょう。
また指導していただいたコーチ陣の豪華さも特筆に値します(敬称略)。関一人(アテネ五輪470)、小菅寧子(北京五輪RS:X)、須長由季(ロンドン五輪、東京五輪RS:X)、宮川恵子(リオ五輪49erFX)と、これ以上ないほどのメンバーが声を嗄らしてアドバイスを送り、自らも乗り換えて迫力あるセーリングを見せてくれました。この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。
チャレンジは年内に残り4カ所をまわります。九州、中国、関西、中部で開催予定ですが、近隣以外の方もご参加いただけますので、ぜひ奮ってご応募ください。次回以降のチャレンジ公募はJSAFホームページならびにSNSを通じて告知いたします。お楽しみに!