富山で開幕。能登半島地震復興支援、全日本スナイプマスターズ
6月8日、富山県射水市・新湊マリーナで「第39回 全日本スナイプ級ヨットマスターズ選手権」が開幕しました。この大会は今年1月1日に起きた能登半島地震の復興支援を兼ねていて、マスターズのエントリーのほか地震の被害にあった金沢大、富山大がオープン参加しています。(BHM編集部)
マスターズはその名の通り、ベテラン(年長)セーラーによる大会です。クラスは年齢によって下記のように区分けさせれていています。マスターズは多くのクラスで世界選手権が開催されていますが、本大会のファミリー部門は日本スナイプ協会が独自に設けたクラスです。
全日本マスターズ総合優勝(45歳以上のスキッパーであること。クルーとの合計年齢が80歳以上であること)
アプレンティス部門 (スキッパーが45~54歳)
マスター部門 (スキッパーが55~64歳)
グランドマスター部門 (スキッパーが65~74歳)
レジェンド部門 (スキッパーが75歳以上)
ファミリー部門 (直族・婚族で2親等のチーム)
マスターズと名前のつく大会はさまざまありますが、こと日本のスナイプに限って言えば、全日本選手権さながらハイレベルな戦いが期待できます。それもそのはずで、往年の名選手、現役トップのセーラーが出場しているのです。
大会初日は午前中に受付・開会式。午後から8〜12ノットの北東風で3レースおこなわれました。波があり、さらに潮の影響でごみなど浮遊物がレース海面に漂うラフなコンディションでしたが、渡邊哲雄/齋藤浩二(SPN)が1-3-1位で首位。2位には白石潤一郎/関口功志(NORTH SAILS JAPAN)、3位に笹井正和/石川真吾(アイシンStars)がつけています。
◎能登半島地震で活動が停滞してしまった金沢大ヨット部
石川県を中心に北陸地域を襲った能登半島地震は、セーリングにも大きな被害をもたらしました。全日本スナイプマスターズが開催されている富山・新湊マリーナは震源地から離れているものの、さん橋が壊れ、マリーナの地面(コンクリート部分)が割れ、段差ができてしまった様子は見てすぐに分かります。また、富山大ヨット部は津波のために船が一時的に2艇流されてしまいました。
また、石川・七尾湾を拠点に活動する金沢大ヨット部は、地震で艇庫が半壊してしまい、現地で活動できなくなっています。春までは琵琶湖で活動する大学に船を貸してもらい、琵琶湖でトレーニングすることができました。
現在は石川県羽咋市の滝港マリーナへ数艇の船を移動して練習していますが、合宿所がないため部員は自宅から通いで週末練習を主としています。また、今春は新湊マリーナで富山大、金沢大が合同で新歓したりするなどお互いに協力しあいました。
全日本マスターズでは大学生を支援するためにオープンエントリー(無料)で参加してもらい、初日には笹井正和副会長の提案でスナイプ講習会を実施。また、SPNチームからはセールが寄贈されました。
関東、関西、九州水域のヨットハーバーでは大会も多くあり、学生がトップセーラーと交流する機会がありますが、北陸水域ではなかなか話を聞くチャンスがありません。金沢大、富山大の選手たちは、メモを取りながら真剣なまなざしで講習に参加していました。
本大会では金沢大、富山大の選手たちから現状を聞くことができましたが、北陸水域のセーラーはもっと大きな被害にあわれた方もいると思われます。そう簡単なことではありませんが、すこしでも早く環境が元通りになり、以前のようにセーリングできることを祈っています。