これから始まるILAC7、iQFOiL世界選手権と日本代表第一次選考
今週からオーストラリアとスペインでふたつの五輪種目の世界選手権がおこなわれます。オーストラリア・アデレードではILCA7世界選手権、スペイン・ランサローテではiQFOiL世界選手権が開催されます。(BHM編集部)
同時期に開催されるこの世界選手権は、日本セーリング連盟が定める日本代表第一次選考になっています。また、シングルハンド男子のILCA7は、パリ五輪のクオリファイレガッタになっていて、日本を含め出場権利をもたない国のなかで上位7カ国にパリ五輪出場権利が与えられます。
◎ILCA7世界選手権 ※パリ五輪クオリファイレガッタ
開催地:オーストラリア・アデレード
レース日:1月26〜31日
出場:153艇出場
※日本から7選手。樋口 碧、入江裕太、黒田浩渡、南里研二、瀬川和正、鈴木義弘、竹内修祐が出場
※パリ五輪出場資格のない上位7カ国に出場国権利が与えられます
2024 ILCA 7 Men’s World Championshiphttps://2024ilca7men.ilca-worlds.org/
◎iQFOiL世界選手権
開催地:スペイン・ランサローテ
レース日:1月29〜2月3日
男子:118艇出場
※日本から4選手。富澤 慎、池田健星、倉持大也、穴見知典が出場
女子:96艇出場
※日本から6選手。渡辺純菜、山辺美希、伊勢田愛、新嶋莉奈、須長由季、大西富士子が出場
※五輪出場国を決めるクオリファイレガッタではありません
※氏名はエントリーリスト順
iQFOiL World Championships 2024https://www.iqfoilclassofficial.org/allinfoworlds24
◎選考規定「第一次選考大会50パーセント以内」が削除され、様相が大きく変わった日本代表の行方
東京からパリに向かう中でワールドセーリングによるクオリファイシステム(五輪出場国選考)が複雑になっています。その理由の大元は東京五輪が1年遅れて開催されたためで、遅延を受けて選考となる大会が「後ろ倒し」になっている経緯があります。4年周期で開催されるオリンピックですが、東京〜パリまでは3年しかありません。
もうひとつは、ワールドセーリングが関係する大きな国際大会で国ごとに出場艇数が制限されるようになったのも理由です。たとえば、2023年8月にオランダで開催された「セーリングワールドチャンピオンシップ」(全五輪種目の合同世界選手権)は国ごとに出場艇数の制限があり、その数が直前まで決定しないため公平ではないという理由から国内選考大会に指定できないという例がありました。
こうした世界の流れをふまえて日本セーリング連盟は2022年12月に国内代表選考方法を発表しました。発表された選考方法は複雑なものでしたが、ワールドセーリングのクオリファイシステムが複雑になっているため仕方ありません。
ここで編集部が日本代表選考方法を大きく要約すると、、、簡単に言えば代表選考はポイント制で競われます。第一次、第二次の選考の2つの大会で獲得したポイントの最も少ない選手/チームが代表に選ばれる、というものです。
(1)第一次選考(2024年に開催される世界選手権相応の指定大会)の成績に応じてポイントが与えられる。
(2)第二次選考(2024年4月に開催されるフランス・オリンピックウィーク/ラストチャンスレガッタ)の成績に応じてポイントが与えられる。
ただし、すでにパリ五輪出場国枠を獲得している470だけは別で、3月世界選手権(第一次)と4月プリンセスソフィア杯(第二次)が選考大会に指定されています。
また、バルクヘッドマガジン編集部が日本代表選選考方式のなかで当初から注目していた「第一次選考の成績の半分(50%)以上に入ることが第二次選考へ進む条件」という項目は、昨年12月に発表された日本セーリング連盟の代表選考方法の改訂により削除されました。
変更した理由や経緯は公式に発表されていないので、その正しい背景をわたしたちが知るすべはないのですが、日本セーリング連盟がさらりと変更した項目により、結果として第一次選考の戦い方が大きく変わることになりました。
つまり、種目によっては「第一次選考に出場しさえすれば、第二次選考へ進める」ことになり、50%の条件があった当初と比べて緊張感がなくなった、と言わざるを得ません。選考方法を読むとメダル獲得によるボーナス特典などありますが、現在の470以外、世界選手権でのメダル獲得は現実的とは言えないでしょう。
それでは、なんのための日本代表第一次選考なのかというと、現時点での考え方は、第二次選考(ラストチャンスレガッタ)へ出場するための順位付けということになります。
4月に開催されるラストチャンスレガッタは、例年開催されるフランス・オリンピックウィークと併催される特別大会です。パリ五輪出場権利がない国だけが参加できるもので、現時点では1カ国あたりの出場艇数が決定していないという現状です(権利獲得済み国と未獲得国は別フリートで戦います)。
公式には各国1枠以上と発表されていますが、種目によって異なり3枠以上になるクラスもありそうです。ラストチャンスレガッタの国別出場艇数に振り分けは2月に発表されるとのことです。
これまで複雑なことを書き連ねました(もうひとつ、ワールドセーリングによるクオリファイシステムでラストチャンスレガッタで与えられる出場国数がプラスされる種目もあるのですが、こちらも現時点ではっきりしていないので記述は避けておきます)。
みなさんに注目していただきたいのは、これから開催される日本代表第一次選考は、第二次選考へ進む順番をつけるためのものということ。もうひとつは、パリ五輪を目指して活動する選手やチームはワールドセーリングや日本セーリング連盟の発表に従い、先の読みにくい不安定な中で日々トレーニングしているということです。
日本代表選考方法についての追記は、公式に発表され次第、レポートしていく予定です。
- 2024 ILCA 7 Men's World Championshiphttps://2024ilca7men.ilca-worlds.org/
- iQFOiL World Championships 2024https://www.iqfoilclassofficial.org/allinfoworlds24
- パリ五輪日本代表選考方法について(JSAF・PDF)https://jsaf-osc.jp/data/paris2024_selection_0118.pdf
- クオリファイシステム(ワールドセーリング)https://paris2024.sailing.org/qualification-2/