国内モス トップ10の最速王決定戦!沖縄「第2回名護カップ」
12月15日〜17日まで沖縄県名護市21世紀の森ビーチで「第2回国際モス級ヨットレース名護大会」(通称:名護カップ)が開催されました。この大会は、モス級の年間ランキングトップ10のみが出場できる、言わば年間最速王決定戦です。初日は南よりの軽風、2〜3日目は北よりの中強風と様々なコンディションのなか、全レース抜群のスタート、安定したマニューバリングでスコアを安定させた岡田奎樹選手が優勝しました。(レポート/杉山航一朗 日本モスクラス協会、写真提供:DRONE_5757)
大会会場の21世紀の森ビーチは、今にも足がつくのではないかと心配になるほど透明度の高い海が沖まで広がり、北寄りの中風、フラットウォーターが期待できる絶好のフォリイングスポットです。太陽があらわれると「水色」と呼ぶに相応しい海面が、選手、スタッフ、観客を歓迎してくれました。
今大会では昨年に引き続き、陸上に観客席が用意され、肉眼はもちほん、ドローン映像のリアルタイム放映などによるレース観戦が可能です。レースの模様はアメリカズカップ、SailGPなどでお馴染みの早福和彦氏によりレース解説が行われました。観客席前でのアビームスタート、観客席前の陸上に設置されたポールと陸から50mに設定されたブイがフィニッシュラインと観客を意識したレースフォーマットが取り入れられていることも特長です。
大会1日目、東シナ海付近で発生した低気圧に向かって風が吹き込み、名護の冬には珍しい南よりの軽風でレースが始まりました。フォイリングできる艇、できない艇が混在する風速の中、誰よりも早くフォイリングし、スタートからフィニッシュまでフォイリングをキープした岡田選手が1-1-2と首位に立ちました。
モスはマニューバリング(特にタック)の失敗によるスピードロスが大きいため、必要最低限回数のマニューバリングを選択する選手が多い中、岡田選手は風速が高い海面を確認すると正確なマニューバリングで躊躇なく有利サイドに展開していく姿が印象的でした。
大会2日目、この日は正午に寒冷前線の通過が予定されていたため、スタート時刻を大幅に繰り上げ、20ノット前後の強風の中2レースが行われました。
この日は昨年大会覇者である行則選手と11月に新艇に乗り換えた後藤選手がお互いに1-2位と分け合い、総合成績場トップ3がそれぞれ1点差につける大接戦となりました。
大会3日目、この日はまさに絶好のレース日和。前日に吹きつけた強風によりややうねりが残ったものの、8〜15ノット前後の風、モスにはうってつけのコンディションのなか4レースが行われました。
この日、目立ったのはやはり優勝の岡田選手です。陸地近くに設定されたスタートライン付近は風速に場所ムラがあり、狙ったタイミングでフォイリングさせるのは至難の技ですが、岡田選手は誰よりも早くフォイリングしトップスピードでスタートラインを切っていきます。ラルに捕まり、スタートエリアでフォイリングできない艇をグイグイ引き離し、2-1-1-1位の圧倒的スコアで優勝を手にしました。
成績に関わらず皆が笑顔になるそんな素晴らしい名護の海でヨットレースができることは、地元の実行委員会、大会ボランティア、協賛企業他、関係者の皆様のおかげに他ならず、この場を借りて選手全員から改めて感謝を申し上げます。