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さようならオランダ・ハーグ。これから始まる470日本代表選考

 8月20日、10日間にわたって開催された「セーリング・ワールド・チャンピオンシップ」(セーリング世界選手権)が終わりました。日本は金、銀、銅メダルを獲得し、メダルランキングでオランダ、フランス、イタリアに次いで世界4位に。これは過去に例のない世界に誇れる結果です。(BHM編集部)

五輪10種目、パラ4種目が集まりオランダ・ハーグで開催された世界選手権。この大会で日本はパリ五輪出場国枠を獲得。来年2月から日本代表選考が始まります

 メダルを獲得したのは、男女470の岡田奎樹/吉岡美帆(金)、磯崎哲也/関友里恵(銅)、ハンザ303の丹羽 巧(銀)です。編集長はセーリング・ワールド・チャンピオンシップ過去4大会を取材していますが、こんなにメダルを獲得する場面に出くわすのは初めてです。本当に素晴らしい。

◎激戦必死、男女混合470の日本代表決定までのプロセス

 そして、日本470はパリ五輪の出場国枠を獲得し、第一関門をクリアしました。日本選手がパリ五輪へ出場するには3つの大きなハードルがあります。

(1)指定大会で種目別に五輪出場(国枠)権利を獲得する
 ※国枠は日本に与えられる権利で獲得した選手が代表ではない。日本のだれかが獲得すれば良い
(2)2024年世界選手権、または相当の指定大会で全体の50%の順位を取る
(3)日本代表指定大会で1位になる

 くわしい選考方法はあらためて紹介しますが(種目により大会や国枠選考大会が異なります)、本大会で金メダルを取り、出場国権利を獲得した岡田/吉岡に、日本代表選考という意味で彼らに有利になるポイントは与えられません。それ以上の称賛を手にしましたが、オリンピックの日本代表選考はまだはじまっていないのです。

 世界チャンピオンなのに厳しい、という意見が聞かれそうですが、本大会は大会側が日本に対して指定した選手数しか出場できない(一般的な世界選手権とは異なる)、という理由で日本セーリング連盟は公平性という点から、代表選考外の大会に位置付けました。

 種目によっては(1)(2)が前後、並行しておこなわれることもありますが、470は国枠を獲得したので、次のステップへ移行します。つまり、(2)(3)の日本代表選考で1位になったチームがパリ五輪日本代表となります。

 470の日本代表選考方法は、2つの大会が指定さています。第一次選考は、2月にスペイン・マヨルカ島で開催される「470世界選手権」。この大会で全体の50%に入らない場合はここで敗退です。そして、第二次選考は4月にフランス・イエールで開催される「ラストチャンスレガッタ」です。

◎470代表選考方法 ※両大会の合計で最も得点の低いチームが日本代表となる。
【第一次選考会】2024年2月スペイン パルマ・デ・マヨルカ世界選手権
 備考:50パーセントに入ること(選考継続条件)、メダル獲得でボーナスポイントあり
【第二次選考会】2024年4月フランス イエール・ラストチャンスレガッタ

 さあ、日本が大歓喜した世界選手権は終わりました。日本チームは次のミッションへ向けて移行することになりますが、その前に国内で注目の舞台が用意されています。9月に宮城県名取市閖上で開催される470全日本選手権です。

 この大会にメダリストを含むパリ五輪を狙う日本4チームが出場します。ある意味、世界で最高のナショナル選手権かもしれません(繰り返しますが、全日本は日本代表選考に含まれません)。みなさん、お楽しみに!

ILCA6はハンガリーのMaria Erdiが劇的な逆転初優勝を飾りました。昨年のワールドは5位。オランダ、デンマークが君臨していたILCA6界に新女王が誕生しました
ILCA7優勝はオーストラリアのMatt Wearn。東京五輪の金メダリストです
国別メダルタリーで1位となったオランダにはIOC会長杯が授与されました
大会発表のデータ。参加選手は1138名、船は882艇、自転車は244台、73のトイレが設置、ボランティア454名、マーク45個、スマートマーク(自動ドローンブイ)28個、アンカー248個、運営艇123艇、運営フラッグ1367を使用しました
セーリング・ワールド・チャンピオンシップ ハイライトまとめ映像。本大会最大の過ちはレース前日を大会初日としてしまったこと(前日はDay0にするべき)です。全世界のニュースが狂ってしまいました

セーリング・ワールド・チャンピオンシップ 10日目 最終成績
470 参加64艇 最終成績
1 JPN 岡田奎樹・吉岡美帆 50p
2 ESP Jordi Xammar Hernandez / Nora Brugman Cabot 86p
3 JPN 磯崎哲也・関友里恵 91p
4 AUT Lara Vadlau / Lukas Maehr 93p
5 GER Malte Winkel / Anastasiya Winkel 94p
6 SWE Anton Dahlberg / Lovisa Karlsson 95p
7 ISR Nitai Hasson / Noa Lasry 98p
8 GER Simon Diesch / Anna Markfort 98p
9 GER Luise Wanser / Philipp Autenrieth 114p
10 POR Diogo Costa / Carolina Joao 116p
24 高山大智/盛田冬華
28 吉田 愛/吉田雄悟

ハンザ303 参加15艇 最終成績
1 POL Piotr Cichocki 11p
2 丹羽 巧 24p
3 POR Joao Pinto 35p

iQFOiL男子 参加93艇 最終成績
1 NED Luuc Van Opzeeland
2 GER Sebastian Kordel
3 ITA Nicolo Renna
45 池田健星
57 富澤 慎
75 穴見知典
81 倉持大也

iQFOiL女子 参加88艇 最終成績
1 ISR Shahar Tibi
2 ISR Katy Spychakov
3 GBR Emma Wilson
43 須長由季
59 大西富士子
75 渡辺純菜
85 山辺美希

ILCA7 参加138艇 最終成績
1 AUS Matt Wearn 83p
2 GBR Michael Beckett 96p
3 NZL George Gautre 101p
54 瀬川和正
107 南里研二

ILCA6 参加109艇 最終成績
1 HUN Maria Erdi 75p
2 SUI Maud Jayet 79p
3 DEN Anne-Marie Rindom 81p
52 冨部柚三子
95 三浦帆香
101 柿元麻衣
105 山本佑莉

49er 参加83艇 最終成績
1 NED Bart Lambriex / Floris Van De Werken 63p
2 SUI Sebastien Schneiter / Arno De Planta 91p
3 ESP Diego Botin Le Chever / Florian Trittel Johannes 91.8p
31 高橋レオ/森嶋ティモシー
46 古谷信玄/高柳 彬
74 嶋倉照晃/上園田心太浪

49erFX 参加58艇 最終成績
1 SWE Vilma Bobeck / Rebecca Netzler 48p
2 NED Odile Van Aanholt / Annette Duetz 84P
3 AUS Olivia Price / Evie Haseldine 88p
26 田中美紗樹/永松瀬羅
33 山崎アンナ/高野芹奈
57 市橋愛生/後藤凛子

ナクラ17 参加49艇 最終成績
1 ITA Ruggero Tita / Caterina Banti
2 GBR John Gimson / Anna Burnet
3 SWE Emil Jarudd / Hanna Jonsson
32 飯束潮吹/西田カピーリア桜良
48 渡部雄貴/植田 実

フォーミュラカイト男子 参加84艇 最終成績
1 SGP Maximilian Maeder
2 SLO Toni Vodisek
3 FRA Axel Mazella
73 唐門 紘

フォーミュラカイト女子 参加53艇 最終成績
1 FRA Lauriane Nolot
2 GBR Eleanor Aldridge
3 GBR Lily Young
51 梶原紗希

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