医学生による夏の祭典、東医体。団体戦優勝は慶應義塾大!
8月3~6日、江の島ヨットハーバーで「第66回東日本医科学生総合体育大会・ヨット競技」が開催されました。今年は2020年以降、初めてコロナによる制約が解かれた大会となりました。前回不参加の慈恵大、山形大が参加、またOB・OGの観覧も解禁され、かつての盛り上がりを取り戻していました。(レポート/東北大 中山陽仁、写真提供/羽田 誠)
東日本医科学生総合体育大会(通称:東医体)は、東日本の医学生によるスポーツの祭典です。中でも東医体ヨット競技は、医学部ヨット部の活動の集大成として、ここ江の島ヨットハーバーで様々なドラマを生んできました。
例年通り、大会初日となる8月3日は女子スキッパーによる女子戦、4~6日は東医体本戦(個人戦・団体戦)が行われました。
◎大会初日 開会式・女子戦
東医体ヨット競技が開幕するこの日、数年ぶりに対面での開会式が行われました。
開会式の後、8~10ノットのいい南風が吹く中、女子戦第1レースが開始しました。細かな振れが続く中で、先行集団は一時混戦模様となりましたが、上りレグで得たリードを守り切った金子/丸田(東北)がトップでフィニッシュしました。
2レース目は10~12ノットの風でレースが行われました。オスカーフラッグが掲揚される中で、クローズ、フリーともに素晴らしい走りを見せた竹内/鈴木(千葉)がトップでフィニッシュしました。
接戦となった女子戦は、最終レーストップの竹内/鈴木(千葉)が4ポイントで金メダルを獲得しました。続いて安定した走りを見せた中西/神保(千葉)が5ポイントで銀メダル、第1レーストップの金子/丸田(東北)が6ポイントで銅メダルを獲得しました。
◎大会2日目 本戦1日目
いよいよ東医体本戦です。この日は5〜6ノットの微風から、12ノットを越える強風域までさまざまな風が吹き、選手にとっては対応に苦慮する難しい日になったと思います。
第1レースは南東5〜6ノットの微風で行われました。大きく振れる風に翻弄される選手が多い中で、前回優勝の東北大、前回準優勝の千葉大を抑えてトップに立ったのは日本医科大学でした。
なんと日本医科大学はこのレース、島田/山崎、田中/下村が1-2でフィニッシュを飾りました。ダークホースの登場に、会場がどよめきました。
第2レースは南風が入り始め、8〜10ノットの安定した風の中で行われました。このレースは、慶應義塾大学、東北大学の2大学が鎬を削る展開となりました。場面ごとに順位の入れ替わる激しいレースを制したのは、安東/森田(東北)でした。続いて1上トップの星野/箱石(慶應)が2位、混戦をうまく抜け出した田中/鈴木(千葉)が3位と続きました。
第3レース、第4レースは風速が11〜12ノットとなり、オスカーフラッグが掲揚されました。徐々に波が高くなり、沈艇も見え始めたこれらのレースでは、第3レースを松尾/大野(慶應)が安定した走りを見せトップでフィニッシュ。第4レースを1上8位からの脅威の追い上げを見せた田中/鈴木(千葉)がトップでフィニッシュしました。
この日は4レースで終了となりました。団体戦は日本医科大学、個人戦は田中/鈴木(千葉)が首位となりましたが、どちらも2位、3位との点差はほとんどなく、接戦の模様を呈していました。
◎大会3日目 本戦2日目
この日は12ノットを超える南風の中2レースが行われました。この日、各大学のOB・OGが多く駆け付け、海上はより一層の盛り上がりを見せていました。
第5レースは波乱の展開となりました。暫定首位の日本医科大学はスタートの混戦に巻き込まれ後れを取り、さらに2位、3位の慶應、千葉がそれぞれ1艇UFDとなったことにより、4位の東北大が大きく巻き返す展開となりました。これにより、団体戦の得点は1位から4位までの差が10ポイント以内という大接戦となりました。
続く第6レースでは上の4大学がシングル帯を独占し、5位以下を大きく引き離す展開となりました。
これにより、2日目を終えて、団体戦の優勝争いは慶應、日医、東北、千葉の4大学に絞られることとなりました。個人戦は、第6レースでトップホーンを鳴らした田中/下村(日医)が首位となるも、1位から5位までの得点差が6ポイントと、こちらも大接戦となりました。勝負の行方は3日目に引き継がれました。
◎大会最終日 本戦3日目
まれにみる混戦となった東医体本戦もとうとう最終日です。OB・OGがたくさんいらっしゃったこともあり、ハーバーは大変な盛り上がりを見せていました。
しかし、この日の風は4ノットに満たないそよ風が続きます。時折雨雲が運んでくる風に期待をしてスタートするも、長くは続かず、スタートしてはノーレースとなることを繰り返しました。その後も風待ちを続けますが、ブローが下りないまま時間だけが過ぎます。
とうとう最終予告の時間となりAP+Aが掲揚、東医体全日程が終了となりました。選手にとっては非常に悔しい展開となりましたが、風待ちの間も集中力を切らさずにいようとする姿勢がとても印象的に映りました。
◎総合成績 団体戦優勝は慶應義塾大学、個人戦優勝は田中/下村(日医)
3日間を終え最終成績は、団体戦は慶應義塾大学、個人戦は田中/下村(日医)が優勝を飾りました。慶應義塾大学は、2016年以来、7年ぶりの優勝です。その他上位成績は以下の通りです。
団体戦 参加12校 上位成績
優勝 慶應義塾大学 39ポイント
準優勝 日本医科大学 44ポイント
3位 東北大学 44ポイント
個人戦 参加34艇 上位成績
優勝 田中/下村(日医) 15ポイント
準優勝 田中/鈴木(千葉) 16ポイント
3位 安東/森田(東北) 17ポイント
今年はコロナ以前の姿を取り戻し、非常に活気のある大会となったことをうれしく思います。最後まであきらめずに走り切った選手の方々、本当にお疲れさまでした。
最後に、大会開催にあたり、運営にご協力いただいた神奈川県セーリング連盟、JSAF、 TracTracの皆様、レース運営をしてくれた各大学の皆さん、そして素晴らしいレースを見せてくれた選手の皆さんに厚く感謝申し上げます。
来年はOBのひとりとして、また素晴らしい大会が見られることを期待しています。