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【コラム】プリンセスソフィア杯に見るヨットレース報道の変化

 みなさん、こんにちは。バルクヘッドマガジン編集長です。スペインのパルマ・デ・マヨルカで開催された「第52回プリンセスソフィア杯」が終わました。選手たちは、帰国する者もいれば、次の遠征地へ向かうチームもいます。みなそれぞれの目標を持って春のマヨルカ島を後にしました。(BHM編集部)

バルクヘッドマガジン編集長も帰国。今年のプリンセスソフィア杯もたくさんの刺激を受けました。今週は葉山のニッポンカップを撮影します

 プリンセスソフィア杯は編集長がとても好きな大会で、これまで10年以上取材を続けています。季節は春のはじまり。場所はたくさんの観光客が訪れる南国リゾート地。海を見ればヨットレースがひとつの風景としてなじんでいて、まるで絵画にしたような美しい景色がひろがります。日本でもこんな雰囲気が作れたら素晴らしいのになぁ、といつも思います。

 バルクヘッドマガジンは毎日海に出て取材撮影していました。この大会は取材する上でも、運営面でも、セーリング・イベントの作り方、またあたらしいシステムが導入されたりするので参考になることが多いです。

 選手の航跡を追うGPSトラッキングとウエブサイトを連動したり、独自アプリを導入したり、SDGsを率先しておこなったのもプリンセスソフィア杯がはじめだったと思います。

 今年のプリンセスソフィア杯でもいくつかの刺激を受けました。そのひとつは報道のし方が大きく変わったということ。プリンセスソフィア杯では、昨年大会から映像によるライブ中継がなくなりました。その代わりにインスタをはじめとするSNSによる速報がメインになっています。

 五輪系セーリングのライブ中継がなくなった理由は想像しやすいです。映像配信時間が長時間に及ぶこと、それに伴い莫大な費用が掛かること。また、観戦者(視聴者)が少ないのも理由でしょう。ヨットレースのような長時間のライブ中継(ときには6〜8時間に及ぶことも)よりも、ピンポイントで映像とトピックスを伝えられるSNSのほうが合理的で効果的なんだと思います。

 実際にメディアボートには、編集長のようにどんとカメラを構えるフォトグラファーは極端に少なくなり、各国のSNS担当者が乗り込み、スマホを駆使して報道作業を完結していました。

 バルクヘッドマガジンでも昨年の全日本学生ヨット選手権でインスタを使った速報をおこない、バルクヘッドマガジン全体で過去最高のアクセスを得るに至りました。日本のヨットレースの報道のやり方もだんだん変わっていくのでしょう。

 とはいえ、写真や映像による報道は不可欠で、これまで通り重要なことに違いありません。予算に余裕があるなら、ライブ中継するのもアリでしょう。いまSNSが主体であるからといって、来年も同じかというとそうとも限らない。つまり、伝えたいことは「毎年変化している」ということです。

 編集長はメディアの現場にいてその変化を感じました。選手ならセーリングの技術やボートの変化を感じたでしょうし、レース運営、ジュリー・アンパイア、トレーニング方法についても、それぞれ変化があるのだと思います。

 正しいのか、間違いなのかは分かりませんが、その「変化」は海外に行ってみないと知ることができません。と、ここまで変化について書いておいてなんですが、編集長は、スマホでは撮れないヨットのかっこいいシーンが好きなので、基本スタンスは変わらないようにしたいな、と思っています。

国際ヨットレースの報道体制が変化しています。写真のように大きなカメラの取材は変わらずおこなわれていますが、ユーチューバー、インスタグラマー的にスマホで速報を流すのが中心です。各国の広報担当の仕事が+α増えたという感じでしょうか
撮影方法でも変化があります。FPVドローンがレース撮影に登場しました。撮影シーンを見ていましたが、ボートの隙間をぬって飛ぶ様子はかなりの迫力です
iQFOiLではSmartMarkと呼ばれるドローンマーク(GPS+電動船外機。リモートでマーク設定できる)が使われていました。ドローンマークは世界のヨットレースでは一般的になりました。日本ではノースセールジャパンの協力で実施されています
みなさん、ご存知のように円安、物価高で、日本から海外へ行くのに不便なことだらけです。こちらオランダで食べたハンバーガー+ポテト+ビール。これで4000円!
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