Loading

ヨット部を卒業したら次の舞台へ。編集長とミニトランザット

 みなさん、春ですね。葉山の桜は満開です。春を迎え、これからセーリングを始める人も、理由があって離れてしまう人もいると思います。また、ヨット部を引退して、これからどんなセーリングをしたら良いのかわからない、という人もいるでしょう。バルクヘッドマガジン編集長もそんな時期がありました。(BHM編集部)

学生ヨット部が終わってからどんなヨットに乗ればいいのか。理想と現実はなかなか一致しないものです。時間を掛けて自分にあったセーリングスタイルを見つけていきましょう

◎ヨット部を引退してからバルクヘッドマガジン編集長がたどった道

 知っている方もいると思いますが、バルクヘッドマガジン編集長は大学卒業後、雑誌のKAZI編集部(舵社)で働いていました。入社面接の時、偉い方々の前で「ここに入るとヨットに乗れますか?」と質問したのを覚えています。馬鹿ですね(笑)。

 当時は、頭の中がヨットでいっぱいだったし、もっと知識を増やしたいと思っていました。ヨット部のみなさんと基本的に同じような頭の構造だったと思ってください。

 その頃の編集長は外洋ヨットレースに夢中になっていました。ヨット部を引退してから(留年したので1年暇だったんです)毎週のように神奈川県三浦半島の油壷へ通って、はじめて乗る大きな船、大きなセール、人の力では到底引き込むことのできない重いジブシートをウインチを使って巻く。航海計器、海図や三角定規、コンパスを使う航海術というものにも興味を持ちました。それに大人数でヨットに乗るということも新鮮でした。

 KAZI編集部にいた時は、外洋航海やクルージングを担当していたので、無理目の企画書を押し通して小笠原やグアムへヨットで行ったり、壱岐島や五島列島をまわったり、北海道から沖縄まで全国津々浦々、いろんな場所に行かせてもらいました。

 とてもいい体験をさせてもらったと思っています。そのせいで今でも旅がらすのような生活をすることになっているんですが、それはそれで楽しいものです。

 ヨット部を引退して外洋ヨットに乗り始めたのは、先輩に誘われたのがきっかけでした。みなさんも一緒に乗らない? と誘われることはあるでしょう。

 編集長の経歴はちょっと変わっているので参考にならないと思いますが、いろいろと動いていれば、あたらしいセーリングに出合えるのは間違いありません。

 自分のセーリングを模索している人は、何も考えずこの誘いに乗ってみてください。家で考えるのではなく海やハーバーに通っていれば、きっと次の熱中できるセーリングが見えてくるはずです。

2019年に取材撮影した「ミニトランザット」の様子。全長6.5メートルの小型クルーザーで大西洋を横断するというフランスで人気の外洋ヨットレースです
さんばしには「壊れない?」と思うほどたくさんの観客が押し寄せます。フランスでは外洋ヨットレースは身近なスポーツで、それに挑戦するセーラーは尊敬される存在です
ハーバーを出港する様子。1艇1艇スピーカーで紹介されて海へ出ていきます。ルール上、エンジンが搭載できないのでえい航されながら出艇します

◎本気でヨットを学びたいから外洋ヨットレースに挑戦する

 大学を卒業して外洋ヨットに夢中になり、KAZI編集部に入った編集長は(当時は編集部員でした。ややこしいですね)、いろんな知識を学び、経験させてもらいましたが、いちばん印象に残っているというか、あこがれていたヨットレースがミニトランザット(MINI6.50)でした。

 日本ではあまり知られていないヨットレースで、たしかフランスのヨット雑誌「Voiles et Voiliers」に掲載されていたのを見て知ったんだと思います。海外ではこんなに小さい船で大西洋を横断しちゃうレースがあるんだ、と衝撃を受けました(自分ひとりだけじゃ相模湾も横断できないのに)。

 全長6.5メートルということは、470級と2メートルほどしか違いません。日本人なら5、6人で乗るJ/24より小さい船に乗って、たったひとりで何日も掛けて大西洋を横断するんです。その後、1999年大会に岩名地 正さんが日本人ではじめて出場しますが、そのニュースを聞いて「すごい人がいるもんだなぁ」と感心しました。

 ただ、日本から知り得る情報はいつもボンヤリとしたもので、雑誌からのビジュアルではイメージできないものがありました。それから時が経って、2019年に鈴木晶友さんが挑戦すると聞いた時、がぜん応援する気になったのは偶然ではありません。

 大西洋横断するミニトランザットはこんなヨットレースです。バルクヘッドマガジンではたびたび紹介してきたので、ご存じの方も多いことでしょう。フランスではオプティミスト級や420級に乗っていたディンギーセーラーが外洋ヨットレースへのステップアップ。また、まったくセーリングを知らない人も挑戦できるヨットレースです(操船はYOUTUBEで覚えたという選手もいました)。

◎ミニトランザットとは?
・ひとり乗りで走る(シングルハンド)
・外洋ヨットレースの基礎を学べる
・出場するのは10〜20代が中心
・ひとり乗り外洋ヨットレースの登竜門
・2年に一度開催されるヨットレース
・若者が出場できるようにお金を掛けない工夫がされている
・全長6.5メートルの小型セーリングクルーザー
・フランスからカリブまで約4050マイル(約7500km)を走る
・エンジンの搭載不可
・GPSマップの使用禁止(紙の海図を使用)
・通信機器はVHFのみ
・天気情報はラジオから得る
・ミニトランザットの後に、クラス40、フィガロ、IMOCAという次の道がひらける

 こんな(ある意味酔狂な)冒険ヨットレースに興味のあるセーラーはいませんか? いまDMG MORI セーリングチームはミニトランザットを目指す研修生を募集しています。

 ミニトランザットでは、インショアレースでは不可能なヨットの知識を学ぶことができます。船を早く走らせるのはもちろんのこと、船が壊れたらその場で修理するし、海上でケガをしたら自分で処置しなければなりません。だれも助けてくれませんから。それって究極ではありませんか?

 ヨットのことをもっと学びたいなら、世界へ飛び出すのがいちばん早いです。大変なこともあるでしょうが、そこで身に付けられることは日本で学べないことも多く、経験は決して無駄になりません。

 このように書くのは、編集長が20代のころにあこがれていたミニトランザットのことをみなさんに興味を持ってもらいたいからで、世界へ飛び出すチャンスがあることに、ちょっとだけうらやましさを感じているからかもしれません。

 興味のある方は、ぜひDMG MORI セーリングチームの研修生へ応募してはどうでしょうか。ほんの少しの勇気であたらしい世界がひらけます。いっしょに大西洋を渡りましょう!

DMG MORI セーリングチームがミニトランザットを目標に活動する研修生を募集しています。詳しくは欄外リンクから募集要項詳細を御覧ください

■募集要項
 全長6.5mのMini6.50艇を使用し、大西洋横断ヨットレース「ミニトランザット2027」への出場および完走を目標として活動します。

(1)応募期間:2023年4月30日(日)まで
(2)募集人数:4名
(3)応募資格:
 1. 心身ともに健康な方
 2.「ミニトランザット2027」の出場・完走を目指し、本活動を優先できる方
 3. 日常およびセーリング活動を円滑に行える程度の語学力(英語またはフランス語)
 ※性別、年齢は不問です。

備考:
※書類選考を通過した⽅にのみ、説明会のご案内および今後の選考フローをご連絡いたします。
【採⽤後の活動予定】
・本選考にて採⽤となった⽅は、DMG MORI セーリングチーム運営法⼈での雇⽤を予定しております。
・⼀定期間の国内トレーニングを経たのち、チームの活動拠点であるフランス・ロリアンにて短期研修を⾏います。
・2025 年下期を⽬途にフランス・ロリアンに拠点を移し、欧州でのトレーニング及びレースへ参加いただきます。

CATEGORY:  COLLEGEDINGHYKEELBOATNEWSOFFSHORE