1月7〜9日の連休に第5回となる「SAILFAST CUP」が蒲郡・豊田自動織機 海陽ヨットハーバーで開催された。SAILFAST CUPは2020年に新型コロナウイルスが蔓延し、主要なヨットレースがことごとく中止になっていく中で、セーリングの火を絶やさないために始まったイベントだ。（レポート／SAILFAST 後藤浩紀）

　スナイプ級を皮切りにOP級やワスプ級でも開催し、多くのセーラーたちに好評を博している。総エントリー46艇のうち、来月に同地で開催される選考会に出場する選手が30艇と、次世代を担うトップ選手たちを集め、熱戦の火ぶたが切られた。

　冬の蒲郡といえば北西の強風が吹きすさぶイメージだが、初日は朝から無風。結局午後から吹いた6〜10ノットの風で2レース成おこなわれた。

　OP級は選手の体重が20キロから60キロと非常に幅広く、微軽風では軽量級の選手が大きなアドバンテージを得る。しかし、この日のレースを2-2位で走って暫定トップに立ったのは、全選手の中で1、2を争う体格の加原弦季選手だ。積極的なスタートと丁寧なコース取りで微軽風でも大柄な選手が前を走れると証明してくれた。

　2日目は風の予報が12〜15ノットと最適だったので、8時45分に出艇して16時に着岸するまでをフル活用し、みっちり5レースをおこなった。それもターゲットタイム45分のフルサイズのコースでだ。

　選手たちはもちろん、見守るコーチやご父兄にとっても長い一日だっただろう。この日も加原選手が良く走って暫定トップを堅持。2位以下は混戦で兒島選手、中澤選手、秋田選手、長堀選手などがレース毎に暫定順位のビブスを着替えていた。

　毎レース、選手たちがフィニッシュして本部船エリアに戻ってくる頃には暫定成績が出ているのが、このSAILFAST CUPの大きな特長だ。

　迎えた最終日。風は前日より少し軽めの9〜12ノット。14時以降のスタートはないが、それでも昨日のペースで進行すれば最大4レースが可能だ。

　初日はラインに対して大きく凹んでいたスタートのレベルもレースを重ねるごとに改善し、テンポよくレースを実施。そしてついにタイムリミットいっぱいでスタートした第11レースで大逆転は起きた。

　この日の3レースを3-6-2位と走った兒島選手が加原選手と1点差に迫り、さらに4-1-1位とした地元の角森選手も圏内に入っていた。最終レースはプレッシャーからか、この3艇がともにトップ10を外して上マークを回航。いよいよフィニッシュの上りレグに勝敗のすべてがかかる。

　風はスタート時点から20度右に振れてチャーリープラスのマーク変更。右海面良しと見た加原選手は右へ。逆に兒島選手は左海面の奥一杯まで伸ばし、角森選手は中央で振れタックを繰り返す。果たしてその結果は、左への振れ戻りで兒島選手が大きくゲインしてトップフィニッシュ！　見事な逆転優勝を果たした。

　3日間で合計11レースを実施し、練習レガッタとしては申し分ない充実したものとなった。TracTrac社の協力により、出場全選手の全レースを振り返ることもできる。それぞれの課題をよく見つめ直し、今後の成長に役立てて欲しい。

　上位入賞者のみならず参加者全員がこのSAILFAST CUPを楽しんでくれたなら何よりである。次回は420級を企画しているので多くのユースセーラーにご参加いただきたい。

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