早稲田大が「琵琶湖の壁」を破る!全日本学生ヨット選手権
11月6日、滋賀県大津市・柳が崎ヨットハーバーで開催された「第87回全日本学生ヨット選手権」は、既報の通り最終日ノーレースで決着。470級は日本大が昨年に引き続き連覇、スナイプ級と総合は早稲田大が3連覇を飾りました。 (文/長塚正一郎 バルクヘッドマガジン)
今大会、微風予報でどんなレース展開になるか注目が集まりましたが、470級8レース、スナイプ級7レースを完了。予測のしにくい不安定な風ながらも、上位校はしっかり前を走り、実力通りの結果になったといえるでしょう。
全日本インカレ最終日。朝一番、東寄りの風で出艇したものの、ブローはまだら。次第にそのブローもなくなり、湖面は鏡張りに。粘り強く風が吹いてくるのを待ちますが、無風状態は変わりません。12時の最終予告リミットを前に、11時40分APA旗が掲揚されました。大会3日目までの結果が最終成績となります。
第87回全日本インカレは、10年ぶりの琵琶湖開催。1979年に470級、スナイプ級、総合のレギュレーションになってから、琵琶湖勢以外の総合優勝は史上初。「琵琶湖の壁」を、圧倒的なチーム力を誇る早稲田大が破りました。
◎早稲田大主将・鶴岡由梨奈
「琵琶湖で関東勢が勝ったことがなかったので、1年間挑戦者としてどん欲に挑み続けてきました。昨年のエースが抜けて競技力が落ちましたが、何回も深夜までミーティングしてチームとしてどうやったら成長できるのか話し合いました。「相互研鑽」を掲げ個人の学びをチームの学びにすることで、チーム全員で成長できたと思います。常に全員で戦うこと、全員でレベルアップすることを共有しました。しんどいことも多かったけれど、後輩もついてきてくれて、色々な方に支えてもらって最後まで貫くことができました」
◎早稲田大スナイプリーダー 大久保優輝
「最初プレッシャーはありましたが、練習を重ねてみんなが成長することで気にならなくなりました。(3日目のレースは)みんな違うコースを引きましたが、1年間徹底してきたリスクのないコース展開を実践できて、ノリに乗れて次のレースにもつながったと思います。歴代はスナイプリーダーが圧倒的な実力でけん引するのが早稲田の形でしたが、今年はチームで本音を言い合える関係を意識しました。フラットに成長しあえて、信頼関係も成績もついてきたと思います」
早稲田大監督 関口功志
「琵琶湖開催だったので、不確実性をいかに小さくするかがカギでした。予測ができないときに抑えるべきポイントを徹底して、順位を安定させることを意識していました。今大会とくに3日目のスナイプ第1レースは、それがしっかり実践できたのが良かったと思います。コーチとしては7回、監督としては9回のインカレ経験があるので、チームの中では転ばぬ先の杖のような存在です。来週は、新4年生と次のチームビジョンを決めるので、喜ぶのも束の間です」
早稲田大コーチ 小松一憲
「今年は、関東組が優勝できないという琵琶湖の壁を破りたくて、自分でも意地になってがんばりました。学生の活動の95%は参加して練習を見ました。スナイプは去年を引きついだ強固なチームでしたが、問題は470。それでも秋には仕上がってなんとか間に合いました。毎週、他大学を呼んでビッグフリートを作って練習したのも非常に効果がありました。試合の緊張感に近いものを日々の練習で作れたことが、インカレの勝ちにつながりました。これが、これからの大学の練習になると考えています」
◎日本大主将・470リーダー 小柳倫太郎
「正直、総合獲れなかったのは悔しいですが、470は獲れて一安心しています。今年の470チームは個性あふれるメンバーでしたが、いい意味で意見を言い合える良いチームに仕上がったと思います。個人としては、470の優勝は嬉しいけれど、主将として総合の不甲斐なさが残ります。来年は、470の実力を継続しつつさらに質を上げて、スナイプにも共有していってほしいです」
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