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大西洋横断4050マイル、ミニトランザットスタート

 9月27日、たったひとりで大西洋を横断するヨットレース「第23回ミニトランザット」がスタートしました。2年に一度開催されるこの外洋レースは、フランスからカナリア諸島を経由してカリブ海グアドループまで4050マイル(7500km)を走ります。フランスを代表する外洋シングルハンドの登竜門となるヨットレースで、前大会に鈴木晶友選手(チームMILAI)が出場したことでも注目されています。(BHM編集部)

9月27日、大西洋横断シングルハンドレース、ミニトランザットがスタートしました。90艇の同時スタートは圧巻です

 前大会からスタート地点、寄港地が変更され、今回は世界一周ヴァンデ・グローブのスタート/フィニッシュ地となるレ・サーブル・ドロンヌが起点となりました。レースは第1レグ(1350マイル)、第2レグ(2700マイル)で競われます。

 出場する船は全長6.50メートル(21フィート)の小型クルーザーです。外洋レースに特化しているとはいえ、本大会は本格的な外洋セーラーを育てる目的もあり、エンジン不搭載、地図が表示されるGPS機器は許可されず、通信機器はVHFのみで高価なインマルサットなど衛星通信は禁止、天気予報はラジオから情報を得るという日本には存在しないきびしいヨットレースです。

 出場選手の年齢層は幅広く20歳代の若者も多く出場しています。挑戦する目的はそれぞれですが、フランスではミニで大西洋横断を経験したのちに、フィガロやクラス40にステップアップ。その先にはヴァンデ・グローブ(IMOCA)という夢の目標があり、最終的には世界一周最短記録を狙うマキシトライマランが頂点となるフランス外洋シングルハンドレースの図式があります。

 ミニトランザットのクラスはカーボン素材の使用するなどテクノロジーを優先し、自由な開発が許される「プロトタイプ」艇と、プロダクションでコスト面を重視した「シリーズ」艇(Nacira、Super Calin、Argo、Ofcet、Pogo 1・2・3、Dingo、Ginto、Maxi6.50、Vector6.50等)にわかれます。プロトタイプでは、ヴァンデ・グローブなどの世界一周レースで主流になりつつあるフォイル艇が登場しています。

 第23回大会には出場資格を得た90艇が出場。1日遅れの27日午後3時30分にレ・サーブル・ドロンヌをスタートし、ビスケー湾から大西洋上のカナリア諸島ラパルマス島サンタ・クルス・デ・ラ・パルマに向かっています。

 今回のミニトランザットに日本選手は出場していませんが、次回2023年大会はDMG MORIセーリングチームから三瓶 笙暉古(フェデリコ)らが挑戦する予定です。

2021年ミニトランザット・コース図。一般のヨットレースと違うところはレース委員会が「選手を安全に完走させること」を目的としていることで、荒天が予想される場合はスタートを延期させ、時には数週間も待機することがあります
レ・サーブル・ドロンヌのヨットハーバー。スタート前には90艇のミニ6.5が集まり大賑わいです
ミニトランザットには7艇の伴走艇が一緒に走ります。伴走艇も大西洋を横断するしっかりした準備が必要になります
今回のミニでは水力発電をつける船が増えました。ツインラダーの真ん中にあるのがWatt&Seaの水力発電です
16〜20ノットの風でスタートした艇団。
プロトタイプのT型フォイル艇(COCOTOPIA/Jay Tompson)
エンジンを積まないため出艇時は1艇ずつえい航されて出ていきます。レース艇出艇後のさん橋は一気にガラーンとします
レ・サーブル・ドロンヌの海岸からスタートを観戦する人たち。スマホでライブ中継を見ながらミニトランザットを観戦しています
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