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新時代の幕開け! 浜名湖・全日本モス2020レポート

 第53回モス級全日本選手権が、9月26日と27日に浜名湖ビーチスマリーナをベースに開催されました。今回は後藤選手がパースワールド後に手に入れた新艇Bieker(ビーカー)のポテンシャルが他を圧倒するのか、勢いのある若手が老獪なベテラン勢を駆逐して、新しい流れができるかどうかに注目が集まりました。(レポート/大西隆浩、写真/ビーチスマリーナ)

日本初登場となるビーカー艇で優勝を決めた後藤浩紀選手。バーティカル(ダガーボード、ラダー)が長く、水面から高く飛ぶことができます。アップウインドで20ノット出るとか。まさにモンスターマシン

 レース初日は午前中の風待ちの後、5~6メートルの風で3レースを実施。予想通り圧倒的スピードを誇る後藤選手が、スタートに間に合わなかった第1レースで3位になった以外は1-1のスコアで順当に1位を確保。仙台から長駆遠征の行則選手が2位、そして僅か1点差で全日本初挑戦の岡田選手が続く暫定結果となりました。

 翌日も午前中の風待ちの後、4~5メートルの風で1レースを実施。結局その後風が落ち、後藤選手が8回目の全日本制覇。行則、岡田の若手選手が2位、3位となり、大西、鷲山のベテラン勢が続く結果となりました。

 スコアだけ見れば今回も後藤選手の圧勝に見えますが、初参戦の岡田選手が第1レースでトップを取り、行則選手も後藤選手に肉薄するスピードを出すなど若手選手との差は確実に縮まっているようです。

初出場ながら3位入賞の岡田奎樹選手。五輪日本代表の岡田選手は、普段470でトレーニングし、練習後にモスに乗っているとのこと
いま日本で一番ホットなモス乗りの行則選手(総合2位)。日本モス界の有望選手です

 これまでの全日本と大きく違うところはリグ、フォイルのアップデートをしている選手のスピードが際立っているということです。昨年まではノーマルのMach2のワンメイクレースでしたが、今回はサードパーティ製のフォイルを装着した上位4艇のスピードが抜きん出ており、純正フォイルでは勝てない世界の流れが日本にも来たことを感じさせられます。

 さらにセールもデッキスイープのセールを5艇が使用するなど、様々な点で昨年との変化が感じられました。また今回は道具の進化だけでなく、上位の選手がごく普通にフォイルタック(飛んだままタック)をするシーンが見られ、技術的にも大きな進歩が確認できたレガッタとなりました。

 個人的にもっとも驚いたのは、岡田選手のアップウインドの走りです。動作はまだまだヘボタックに腰抜けジャイブで、あちこちで失敗するものの、スピードとアングルを両立させる狭いグルーブの中を巧みに走らせ、抜群のVMGを稼いでいたのが印象的でした。

今回モス全日本のレポートを担当してくれたベテラン大西隆浩選手(総合4位)

 レガッタ全体を振り返ると、15艇のエントリー、若手の増加、艇、技術の進化など実りの大きいレガッタだったと思います。近い将来には再度のワールドの招致も計画されており、協会としてもさらに盛り上がるような活動を継続していきたいと考えています。

 コロナ禍の難しい時期に、大会運営をしていただいたビーチスマリーナ、及び静岡県連の方々に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

 最後にお知らせです。日本モスクラス協会ではこれから日本各地で若い方を対象にWASZPを使ったフォイリングチャレンジを企画しています(開催候補地は福岡・広島・岡山・葉山・仙台)。

 この機会にぜひフォイリングに挑戦してください。一度飛んだら最後、眠れないほど興奮すること間違いありません。また、Mach2の中古艇の斡旋もおこないます。程度極上、低価格のMach2を紹介しますので、関心のある方はモス協会までご連絡をお願いします。

優勝の後藤選手。8度目の全日本制覇です
モスの未来はだれにも分かりません。ただし今よりも速くなっていくのは確か。日本のモスも進化を遂げています
第53回モス級全日本選手権成績
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