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連載第25回 空飛ぶ日記「空を飛び、夏を満喫する」

 みなさん、こんにちは。バルクヘッドマガジン編集長です。暑さ厳しい真夏日が続いています。編集長の夏はセーリング関連の行事がなくなったことで、意外にも社会人になって初めての自由な夏を過ごしています。日の出時間に海へ出てSUP。終わったら編集部に戻ってデスクワーク。その後、風が良ければハーバーへ。ひとしきり空を飛んでぐったり。日暮れ前にビール。早々に就寝。いいでしょう? 毎日というわけにはいきませんが、週に一度は『理想の夏』を過ごしています。(BHM編集部)

余裕のない表情で空を飛ぶ編集長。いい夏を過ごしています

 この空飛ぶ日記を再開して3カ月が経ち、ようやく船(モス)の状態が安定してきました。編集長のようなおじさんになると、船の動きを理解するのに「身体で感じろ」というわけにはいきません。永遠の体力を持つ10代なら何度も失敗してその過程から技を体得できますが、おじさんは体力と気力に限界があり、その限界点はそうとう低い。時間はかかりましたが、3カ月地道に練習して、ようやく慣れてきました。

 さて、モスのようなフォイルボートがどうして飛ぶのか? 不思議に思っている方は多いのではないでしょうか。編集長が手書きした図で説明したいと思います。モスの場合、図1のように水面下(センター、ラダー)にあるハイドロフォイル(水中翼)の角度(迎角=むかえかく、げいかく)が変わることで、浮き上がったり、下がったりします。

図1. モスの水面下の動き。ワンドとメインフォイルは連動していてオートマチックに上下運動します。メインとラダーフォイルの角度調整で飛んでいる状態をキープしています

 ようは、飛行機の翼と同じ原理で、上昇する際は角度が上向きになり(図2・揚力)、下降するときは逆です。これをバウ先にあるワンド・センサーが水面を感知して細かく動き(ワンドとメインフォイルは長いロッドでつながっています)、上がる、(飛び過ぎたら)下がるを繰り返し、飛んでいる状態をキープしているのです。

図2. 飛行機の翼(断面図)から揚力が生まれる仕組み。水中翼の場合、空気の流れが水の流れに代わります

 それと同時にラダーフォイルも重要な働きをします。ラダーはティラーを回転することで振り角が変わり、メインフォイルと同じように迎角をコントロールします。シャーッと優雅に飛んでいる姿とは裏腹に、見えない部分(水面下)で翼が動いていているのです。

 ふー、空飛ぶ仕組みを言葉で説明するって、むずかしいですね。アメリカズカップもSailGPもヴァンデ・グローブも、フォイルのカタチや動き方こそ違いますが、飛ぶという基本的な考えは同じです。

 で、上記のようなこと基本にボートのセッティングについて考えながら、ハーバーでひとり準備をしていると、フィン級で東京五輪を目指す國米 創選手と、伝説のヨット馬鹿である山田 寛さん(現プロセーラー 兼 五輪49erコーチ)に遭遇。彼らは休憩時間だということで、即席のフォイリング試乗会をおこなうことになりました。

 さすがにオリンピックを目指す選手とプロセーラーです。國米選手は序盤苦しみながらも(彼の体重はフィンを乗りこなすため100キロあります)、風が吹き始めるとフォイリングに成功。

 山田コーチは、470全日本王者だけあって、何を言うまでもなく軽々と飛び始めました。乗っている姿も「ああ、これはヨット上手な人の乗り方だ」という感じです。

 みなさん、わかります? 武道の達人は構え方や道着の着こなしからして素人とは違ってみえます。編集長はヨットでも同じように感じることがあって、年齢や性別に関係なく、上手い人って乗る姿がキマっているんです。

 3人でわーぎゃー言いながら葉山沖で飛び回っていたら、あれれ、海の様子が変わってきましたよ。風が上がり、波が立ち始めました。次第に走っているよりも沈している時間の方が長くなり。。。

 実は編集長、強風でまともに走った経験がなく、波+強風セッティングをマスターしていないのです。仕方なく船をえい航して帰着したのでした。最後は残念だったけど、ああ楽しかった。

軽々と空を飛ぶ元祖ヨット馬鹿の山田 寛コーチ(第1回バルクヘッドマガジン・セーラーオブザイヤー受賞)。相当な負けず嫌いで、乗りこなせなかったことが不満らしく「今度モスで合宿しましょう」と言っていました
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