Loading

日本にはないシングルハンドオフショアの魅力。スタートまで3日、ミニトランザット

 スタートまで3日に迫った大西洋横断「ミニトランザット」。今回は本大会の魅力と特長を紹介したいと思います。ミニトランザットは1977年に第1回大会が開催され、2年に一度、奇数年に開催されるシングルハンド・オフショアレースです。(BHM編集部)


フラッグが華やかなミニトランザット・ヴィレッジ。ミニトランザットスタートは9月22日です。photo by Junichi Hirai

 スタート地点やコースは開催年により異なりますが、大西洋横断(= TRANS ATLANTIC)の基本は変わりません。2019年大会は、フランスのラ・ロッシェルからスペインのラス・パルマスまでの第1レグ。ラス・パルマスからマルティニーク島ル・マランまでの第2レグで構成されています。

◎ミニトランザット2019のコース
総航程 約4050マイル

第1レグスタート:9月22日
ラ・ロッシェル〜ラス・パルマス 1350マイル(7〜10日間)
第2レグスタート:11月1日
ラス・パルマス〜マルティニーク島 2700マイル(15〜20日間)
※フィニッシュは11月中〜後半が予定されています。


ミニトランザットのコース図

 ミニトランザットでは、「クラスミニ」のルール(アメリカズカップと同じボックスルールです)を基に設計された艇、MINI6.50を使っておこなわれます。ミニの全長6.5メートルは約21フィート。日本のセーラーには「J/24よりも小さいセーリングクルーザーを一人で操り大西洋を横断する」といったほうがイメージがつかめるかもしれません。

 選手はディンギーあがりの20代が多く、オフショアレースの頂点をヴァンデ・グローブ(単独無寄港無補給世界一周レース)とするならば、ミニトランザットはオフショアシングルハンドの玄関口であり、登龍門的なヨットレースといえます。

 ミニでは、地図が表示されるGPS・PC、インマルサットのような衛星通信機器の持ち込みは禁止され、天気情報は短波放送による情報で天気図を取ります。ナビゲーションには海図を使います(GPSは位置情報の数値だけ使用できます)。VHFで他艇と連絡を取ることができ、またAIS(船舶自動識別装置)とトラッキング用のイエローブリックで緊急救助の通信が可能になります(遭難時に位置を発信するイーパブは装備しています)。

 近代的な装備を除くことで、セーラーの航海力を高め、また、艇に掛かる費用を抑えることで、若いセーラーがオフショアレースへ挑戦する間口を広げようという意図があります。

 日本に該当するヨットレースはありませんが、2024年パリ五輪でオフショアレースが採用になったこともあり、興味を持つセーラーは多いのではないでしょうか?

 現行のミニトランザットでは、ボートにより2クラス設けられています。

(1)プロダクション(シリーズ)
 クラスルールにより制限の設けられたクラス。チタンやカーボン禁止し、アルミマスト、1.6mキール採用の他、合計10艇以上が生産されているなどの条件があります。本大会には65艇がプロダクション艇で出場します。


プロダクション艇のBERTRAND OFCET 6.50。photo by Junichi Hirai

(2)プロトタイプ
 マスト、キール、使用素材の自由度が高く、カッティング・キール、ダガーボード、スウィングマストなどのアイデアを取り入れた艇が登場。今回は22艇のプロトタイプが出場し、うち2艇がフォイルで挑戦します。


こちらはボックススルール内で設計自由なプロトタイプ。photo by Junichi Hirai


プロトタイプの注目艇。強烈なじゃじゃ馬〈POGO FOILER〉のフォイリングシーン


もう1艇のフォイル艇〈ARKEMA〉。果たして本当に大西洋横断できるのでしょうか?

 ミニトランザットに出場するためには出場資格(合計1500マイル以上の指定レース出場と、単独無寄港航海1000マイル)を得なければなりません。資格を得た順番で出場が認められるため、規定エントリー数を超えてしまった場合は、出場できないこともあります。

 2019年大会の出場艇は、正式に87艇と発表されました。1艇は事情により規定日までに準備できず。1艇は回航途中で選手が脱臼し、1艇は直前に自転車事故で入院と、泣く泣く不参加を決めました。スタート前からドラマがありますね。

 日本から2人目の出場となる鈴木晶友選手は、2018年春よりフランスに場所を移し、本格的に活動開始。数々のクオリファイレースに出場し、今年6月に最大の難関だった単独無寄港1000マイルを達成し、スタートラインに立つことになります。


シングルハンドでは全てのトラブルをひとりで対処することが大前提です。医療キットだけでもバッグ1つ分あり、日本では手に入りにくいモルヒネの他、傷口をふさぐ医療用瞬間接着剤(写真)、ホチキス(写真)、歯を治療するデンタルキットも用意しなければなりません。当然ながら船上でひとり治療することになります。photo by Junichi Hirai


オフショアレース(外洋)は子どもたちが地球や環境に興味を持つきっかけにもなります。ミニトランザットのヴィレッジには、小学生たちが毎日見学に訪れ、選手が先生役となって説明します。photo by Junichi Hirai

Mini Transat
https://www.minitransat.fr/en

====================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
ベストウインド
ファーストマリーン
ベイトリップ セーリング
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
セイル・オン
エス・ピー・ネットワーク
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
SMAG
リビエラリゾート
コスモマリン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ファクトリーゼロ

CATEGORY:  KEELBOATNEWSOFFSHORESPECIAL

INFORMATION