2019年夏到来!ファイアーボール級ミッドサマーレガッタ・レポート
7月27日、28日に江の島で「ファイアーボール級ミッドサマーレガッタ」が開催されました。台風6号の接近に伴い荒天も予想されましたが、無事に全6レースを実施。出場艇数は5艇と少し寂しいものの、20代から60代までが参加するレースは大いに盛り上がりました。(レポート・写真提供/日本ファイアーボール協会)
江の島で開催されたミッドサマーレガッタ。台風(熱帯低気圧)通過の最中ですが、相模湾は夏空となりました
江の島で開催されたファイアーボール級ミッドサマーレガッタは、全6レース行われました。台風6号の接近により、荒天も予想されましたが、幸運にも雨の降る時間帯は限られ、選手たちは台風のもたらしたうねりと風にタフな2日間を過ごしました。
初日、前日から降り続いた雨もハーバーに選手が訪れる頃には小雨に変わり、運営は定刻通りの出艇を判断。とはいえ、台風の接近に伴ううねりは既に現れており、8m程度の南風と相まって、タフな海面が選手を出迎えます。
第1レース、2018年度の全日本選手権優勝の石井/伊藤が第1上マークをトップ回航。スタート直前、スタートライン付近での沈をもろともせず、さすがに地力を見せつけます。
ところが、実はこの沈の際のボートトラブルのために、石井/伊藤はこの日1日、クローズのボートスピードに苦しみます。苦しむ石井/伊藤をしり目に、新しいマストを搭載して挑んだ石橋/鶴本がどんどん差を詰め、3回目の上りレグで石井/伊藤を抜き去ります。
その後はミスなく納めてフィニッシュ。第1レースは石橋/鶴本がトップフィニッシュを飾りました。
台風影響のタフなうねりに連続沈
第2レース、レース当初よりも風・うねり共に強くなり、海面はサバイバルな様相を呈してきます。第2レースは石橋/鶴本がスタートで大きく出遅れてしまい、第1上マークは石井/伊藤がトップ。その後ろ新ボートを購入して挑んだ松嶋/佐藤が続きます。
サイドマークへ向かう途中、石井/伊藤がまさかの沈。後ろに続く、松嶋/佐藤、石橋/鶴本が前に出ます。
新しいボートの扱いに慣れない松嶋/佐藤を上りレグで抜いた石橋/鶴本でしたが、舞い込んできたトップ回航にメンタルを乱したのか、ランニングレグでまさかのワイルドジャイブしてしまい、痛恨の沈。焦りからすぐに起こそうとしますが敢え無く返り沈。結局、同様に沈してしまった松嶋/佐藤も抜き去って、石井/伊藤が2レース目はトップフィニッシュ。石橋/鶴本は2位で初日に終えます。
2レース目終盤には風速は11m~12mまで強まっており、運営はこれ以上のレースは難しいと判断。勝負の行方は2日目に委ねられました。「3.5回沈した」と疲労困憊の”ザ・レジェンド”中野/安藤。10mを越えても躊躇なくスタートを切っていくファイファーボーラ―達に、「30年前ワールドを目指して頑張ってたころを思い出したね」とご満悦です。
屋根裏から登場した30年前のセール
台風通過後の2日目は前日とはうって変わっての微風。この日のみの参加のため体力的にフレッシュな古川/高橋も加わり大混戦。全体を通して各ボートがわずかな差で競り合う白熱の展開が繰り広げられました。
出艇直後は、前日の影響から残っていたうねりも、スタート時刻が近付くころには収まり、風速5m程度の中で、第3レースがスタートしました。
「屋根裏にとっておいた」という、なんと30年前に製造されたセールを積んで出艇したが大健闘。第1上マークはスタートで出遅れた石橋/鶴本よりも前で回航します。とはいえ、トップで回った石井/伊藤が盤石の走りを見せ、このレースをトップでフィニッシュ。2位は他艇のボートトラブルを見過ごさずじわじわ追い上げた石橋/鶴本。
第4レースは少し風が落ち4m程度。第1上マーク、果敢にもポートアプローチでトップ回航を狙った中野/安藤が痛恨のマークタッチ。石井/伊藤がわずかに抜け出しますが、後続に古川/高橋も続きます。
「ヘルムスマンの古川君がイメージを全て実現してくれた」と語るように、安定したボートハンドリングで石井/伊藤のトップを脅かします。
最後の上マーク、直前でミートするほどに肉薄しますが、石井/伊藤が守り切りトップフィニッシュ。2位に古川/高橋、3位に石橋/鶴本となります。3位の石橋/鶴本は非常に厳しい展開となりました。
トップ艇フィニッシュタイムで50分を越える設定で第3レース、第4レースを戦ったことで、選手たちの表情にも疲労の色が濃くなります。熱中症対策に運営から支給される冷たい飲み物を受け取る選手も多くいます。運営は短縮コースで第5レースを実施。コースが短くなったことで、スタートの緊張感は高まります。
第5レース、石井/伊藤、石橋/鶴本共に好スタート。わずかな差の中で第1上マークを目指しますが、石井/伊藤がかわしてトップ回航。その後も盤石のカバーリングで守ります。数秒差で振り切った石井/伊藤がトップでフィニッシュ。この日は最大4レース実施のため、得点計算上、優勝はほぼ決定します。
第6レースは通常コースでスタート。風は少し上がって6m程度。選手たちは、残り少ない体力を振り絞りスタートしました。意地を見せる石橋/鶴本が第1上マークから飛び出します。石井/伊藤、古川/高橋と続き、懸命に追い上げますが、守り切りフィニッシュ。4位には中野/安藤。
優勝は石井/伊藤!
最終的には全6レースの内4レースを1位、2レースを2位で固めた石井/伊藤が優勝。「もうしばらく乗りたくない…」とクルー伊藤が振り返るタフな2日間を制しました。準優勝は石橋/鶴本。「結果的には2レース目の沈がなければ…」とヘルムスマン石橋が語るように、悔やんでも悔やみきれない1つのミスに泣く形に。3位は古川/高橋。「楽しかったです!!」と満面の笑みでコメントする最年少ヘルムスマンの古川君の今後には大きな期待が寄せられます。
表彰式の後は、恒例の打ち上げ。石橋/鶴本が試した新しいマストの感触や、松嶋/佐藤の新ボートの今後のフィッティングについて闊達な議論が行われたり、25年前のワールドの話に花を咲かせたり…。年齢差30歳のファイアーボーラー達は、疲労困憊の体をさすりながら、最高の酒の肴と共に席を囲み、満喫した夏の2日間に幕を閉じました。
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