日本参戦!フォイリングカタマラン「Sail GP」がシドニーで開幕
2月15日、16日、オーストラリア・シドニーでSail GP(セール・ジーピー)が開幕します。バルクヘッドマガジン編集長は、大会を取材するためにシドニーへやってきました。Sail GP 日本チームの活躍を現地からレポートします。(BHM編集部)
2月13日、チームベースのあるコッカトゥ島で日本艇の進水式、安全祈願セレモニーがおこなわれました。photo by Junichi Hirai
さて、このSail GPとは一体どんなヨットレースなのでしょうか? Sail GPは、世界ではじめて開催されるセーリングのスポーツリーグで、2019年度は世界各地で5戦おこなわれます。
最終戦となるマルセイユ大会では最終2チームによるマッチレースで決着をつけ、優勝チームには賞金100万ドル(約1億1千万円)が授与されます。
日本チームは、早福和彦COO(最高執行責任者)を指揮官に、吉田雄悟、笠谷勇希、高橋レオがグラインダーとして乗艇します。photo by Junichi Hirai
日本チームのヘルムスマン、ネイサン・アウタリッジ(AUS)。アウタリッジとウイングトリマーを務めるイアン・ジャンセンは49er級のロンドン五輪金メダリストです。photo by Junichi Hirai
アメリカズカップの日本艇進水式でもご祈祷された鹿児島県伊邇色(いにしき)神社の甲斐宮司が安全祈願しました。photo by Junichi Hirai
2019 SAILGP 開催日程
1. オーストラリア・シドニー 2月15、16日
2. アメリカ・サンフランシスコ 5月4、5日
3. アメリカ・ニューヨーク 6月21、22日
4. イギリス・カウズ 8月10、11日
5. フランス・マルセイユ 9月20〜22日
船はF50と呼ばれるフォイリングカタマランが採用されます。このボートは、第35回アメリカズカップで使われたボートを再設計して大幅に改良されたものです。水面下とデッキは新デザインとなるワンデザイン艇として生まれ変わりました。
Sail GPで新ワンデザイン艇として生まれ変わったF50。全長:15m / 49ft、ウイング高さ:24m / 79ft、最高速度:54ノット以上(時速約100キロ)、クルー:5名(438kgまで)。photo by Junichi Hirai
F50のセール。メンテナンススタッフ(チーム共通)30名が全チームのボートを最高の状態に保ちます。photo by Junichi Hirai
なかなか見ることのないセール内部。ちょうどマスト下からトップを見上げたところです。ハニカム状のカーボンが骨組みになってセール素材のフィルムでカバーされています。セール重量は400キロ。photo by Junichi Hirai
マスト下部にはセールのフラップ(エレベーター)を動かす油圧システムがあります。photo by Junichi Hirai
アメリカズカップでは蓄電のために使っていたグラインダーは、バッテリー駆動になり、フォイルが新開発されたことでボートの高速化と安定化が実現しています。
実際には、ニュージーランドの造船所、コア・ビルダーズ・コンポジット社で全艇が作り直され、さらに新艇も加わり、ワンデザイン艇6艇が出揃いました。参加6カ国は、日本、オーストラリア、アメリカ、イギリス、フランス、中国です。
日本チームには、ネイサン・アウタリッジ(ロンドン五輪49er金、リオ五輪49er銀、49erワールドチャンピオン、モスワールドチャンピオン、元アルテミスレーシング・ヘルムスマン)が、ヘルムスマンを担当し、日本の吉田雄悟、笠谷勇希、高橋レオが乗り込みます。
Sail GP 日本チーム
ヘルムスマン:ネイサン・アウタリッジ(AUS)
ウイングトリマー:イアン・ジャンセン(AUS)
フライトコントロール:ルーク・パーキンソン (AUS)
グラインダー:吉田雄悟
グラインダー:笠谷勇希
グラインダー:高橋レオ
フォイルは強風用と通常の二種類が用意されています(ルールで全艇がコンディションに合わせて同じフォイルを使用します)。どのように取り替えるかというと、、、、。全員で「せーの、えいっ!」と引き抜く、完全なマンパワーで交換します。photo by Junichi Hirai
そして屈強な男たちが「よいしょ、よいしょ」とダガーフォイルを運んでいます。photo by Junichi Hirai
国別対抗となるSail GPでは、国籍によるルールが設けられています。本来はその国の国籍を持たなければなりませんが、経験の少ないチームは100%のパフォーマンスが出せないという理由から国籍ルールに例外措置が認められています。
日本と中国がその対象となり、最初のシーズンに限り40%の国籍比率ではじまり、1年毎に比率を20%引き上げるという例外的措置が認められているのです。
つまり、1年毎に日本選手が増えていき、4年後までに日本チーム全員が日本の国籍を持つ選手となります。これは、国内で活動している日本選手にも大きなチャンスとなるかもしれません。
また、来年からは若手セーラーを育成するためのグローバル・ユース・セーリング・プログラムが予定されています。どのような形になるのかわかりませんが、ユース世代がSail GPへつながる試みも用意されています。
さあ、レースは14日にはじまります。日本ではスポーツチャンネルのDAZN(ダゾーン)のほか、Sail GPアプリ、Sail GPのフェイスブックでも視聴できるとのこと。バルクヘッドマガジンでも最新情報をアップしていきます。おたのしみに!
編集長と笠谷選手。「優勝賞金100万ドルを必ず勝ち取りたい」と気合十分。photo by Beau Outteridge
◎Sail GP
https://sailgp.com/
日本チーム進水式、安全祈願。選手インタビュー。映像提供:Daily Sailing Japan
安全祈願セレモニー。日本チーム公式映像
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