【インカレ】蒲郡決着!早稲田大が2年ぶりに総合優勝を飾る
11月1日から4日まで愛知県蒲郡で開催された「第83回全日本学生ヨット選手権」が幕を閉じました。結果はご存知の通り、早稲田大がスナイプ優勝とともに2年ぶり7度目となる総合優勝を獲得。470級は日本経済大が6年ぶりに優勝を果たしました。(BHM編集部)
スナイプ優勝、総合優勝を果たした早稲田大。蒲郡との相性は抜群で直近3回の蒲郡大会で総合、スナイプ優勝を決めています。photo by Junichi Hirai
久々に見た日本経済大470のパワフル相撲
11月4日最終日は、小雨のまじる北西風6〜10ノットのコンディションで、470級2レース、スナイプ級1レースがおこなわれました。470級は日本大の高山大智(2年)/服部勇樹(3年)、中山由紀美(4年)/中村太陽(2年)がワンツーフィニッシュを連続で決める驚異的な追い上げを見せますが、それ以上に爆発したのが日経大です。
2レースとも3艇が10位以内で決める完璧なレース展開をみせた日経大は文句なしの成績で470級優勝を決めました。470級に特化してセーリングに取り組む日経大は、平野匠主将を中心に高柳 彬、野田友哉、矢田奈津美の4年生がチームをけん引しました。
「絶対に優勝する、という強い意気込みで挑みました。今年のチームは強風で威力を発揮するチーム。レースのポイントになったのは、大会2日目の微軽風の場面で失点を最小限に抑えられたことです。最終日は、自分たちのやってきたことを信じて、いつもと変わらない気持ちで戦いました。それぞれの実力を出せれば必ず勝てると信じていました」(平野)
五輪日本代表級の選手を輩出する日本経済大の優勝は、実に6年ぶりです。2012年琵琶湖大会以来の優勝で、その間、土居一斗(2016年リオ五輪代表、全日本470チャンピオン)、磯崎哲也(2018年世界選手権銀メダル、アジア大会金メダル)といった怪物セーラーが在籍していたことを考えると驚きを隠せません。
また、日経大4年生のなかでも高柳 彬(磯崎の現クルー)は重要な役割を果たしました。高柳が1年生スキッパーの河崎 聖と組み得点を抑えながら、レース全体をコントロール。スキッパーが脚光を浴びることの多い全日本インカレで、大きな存在感を示しました。
470級2位の日本大。最終日に追い上げるも及ばず。大会2日目の失格が悔やまれますが、記憶に残る戦いを繰り広げました。photo by Junichi Hirai
470に特化して活動する日本経済大。部員9名という少人数ながら圧倒的な実力を誇ります。photo by Junichi Hirai
リスクを避けた早稲田スナイプの徹底したセオリー
最終日1レースだけ実施されたスナイプ級も見応えのあるものでした。スナイプ優勝した早稲田大(合計70点)、2位の京都大は38点、3位の日本大は45点という最終レースの得点からも、各大学の特長(戦略)が伝わってきました。
早稲田大の戦いはシリーズを通して「がまん」の連続でした。抗議の対象となるようなリスクを犯さないことを目標にかかげ、スタートシークエンスは無理をせず、時には最前列を避けてスタートすることもありました。後ろから追い上げるカタチになりましたが、それでもスナイプ1位になったのは、大学トップの実力がある証といえます。
「リスクを避けた戦いを徹底しました。チームの平均点を最も大事にして、毎日、英語(失格)、トラブルがなかったことを皆で喜びました。今年は実力選手もいて(松尾(2年)/海老原(3年)は個人戦優勝)、下級生からの発信も多かった。ヨットに対する探究心は蒲郡に来てからも続き、レース直前まで速くなることを止めなかった。それが早稲田の強さだと思っています」(岩月大空主将・スナイプリーダー)
また、スナイプ級で特筆すべきは京都大の活躍です。強豪私大と違ってスポーツ推薦枠がなく、大学からセーリングをはじめる選手がほとんどのなか、スナイプ2位という成績は驚くべきもの。同大学の努力は並大抵のものはなかったと想像します。
近年のインカレで国公立大の躍進が際立っているのは周知のとおりです。昨年度、今年も総合5位の九州大をはじめ「文武両道」を地で行くヨット部が盛り上がり、結果を出してきています。そう遠くない将来、国公立大が総合優勝に絡んでくると予想します。
スナイプ2位の京都大。セレクション選手がいなくても全国の頂点レベルで戦えることを実証しました。photo by Junichi Hirai
早稲田大スナイプチーム。きびしい場面もありましたが、チーム力でカバーしました。photo by Junichi Hirai
前年度の悔しさを胸に早稲田大が総合優勝を果たす
リスクを避けた走りをした早稲田大は、最終日の日本大の追い上げを振り切り、総合優勝を獲得しました。大会を振り返るとターニングポイントとなったのは2日目におこなわれた4レースです。この日、日本大は好着順を見せますが、3件の抗議を出されていずれも失格。合計219点を失ってしまいます。
最終日の日本大は驚異的な追い上げをみせますが、わずか28点届かず、総合2位に甘んじる結果となりました。勝負に「たられば」は禁物でしょうが、日本大の走りは他大学を凌駕していたことは事実。悔しい結末ですが、世界のヨットレースのなかでも特別なルールでおこなわれるインカレの不思議であり、魅力でもあるといえます。
「初日、日本大に100点差をつけられ、いろんな方から「大丈夫か? チームのムードはどう?」という言葉をかけてもらいました。でも、自分たちは負けている雰囲気が一切なかった。宿舎でも、ご飯を食べているときでも、ミーティングでも、負けているチームの雰囲気などなく、いままでやってきたことをやれば、必ず逆転できると信じていました。今年の早稲田はチーム力がありました。個人が失敗したこと、成績が悪かったことを攻めることなく、お互いにカバーしあい、チームとして戦うことができた。優勝できて本当にうれしいです。これは連覇の一勝目。後輩たちに伝説をつくってほしい」(岩月主将)
表彰式が終わった後、早稲田大の現役選手と蒲郡に訪れた昨年度の4年生に白い帽子が配られました。帽子に書かれた「挑戦」の文字は四連覇に挑んだ昨年のスローガンです。この帽子は、四連覇を遂げた時のために用意していたものでした。
最強の声も高かった昨年度の早稲田大でしたが、四連覇の夢は達成できず。今年は「逆襲」の言葉とともに再出発し、スナイプ優勝、そして総合優勝を手にしました。
閉会式後、早稲田大ヨット部は、1年間保管されていたという帽子を手に持ちながら、海陽ヨットハーバーのスロープに並んで校歌斉唱。蒲郡の海に「都の西北」が響き渡りました。
白い帽子を手に海に向かって校歌斉唱する早稲田大。この強さは来年も続くのでしょうか? 2019年全日本インカレは西宮で開催されます。photo by Junichi Hirai
◎バルクヘッドマガジン・フォトギャラリー
11月1日 大会初日写真
11月2日 大会2日目写真
11月3日 大会3日目写真
11月4日 大会4日目写真
◎愛知県ヨット連盟(大会公式成績速報等)
http://www.ayf.jp/
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