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ベテランセーラーが攻防戦!江の島ファイアーボール級スプリングレガッタ

 5月19、20日、江の島で「ファイアーボール級スプリングレガッタ」が開催されました。ヘルムスマン、クルー共に50代となりながらも、ますます熟練度を高める昨年度の全日本選手権優勝ペア、石井/伊藤の一強体制に対して食い込める艇はあるのか? 10年来のコンビを解散し、新ペアで臨む石橋/鶴本の走りはどうか? など、注目の多い2018年シーズンの開幕となりました。(レポート・写真提供/日本ファイアーボール協会)

2018-05-24_start
江の島で開催されたファイアーボール級スプリングレガッタ。2日間で5レースおこなわれました

 穏やかな晴天と南の軽風が出迎えた初日。出艇した選手たちは、前日夜に吹いていた強い南風の影響から非常に高いうねりが残った海面に早速苦しめられます。

 レース海面に向かうのも一苦労。徐々に南東方向にシフトしていき、短い周期で気まぐれにシフトする南風と、ちぐはぐな方向から押し寄せる高いうねりの中、第1レースがスタートしました。

 第1上マークをトップで回航したのは石橋/鶴本。しかし、石井/伊藤、黒田/佐藤とライバル達も回航していき、新ペアの隙をうかがいます。

 3艇による抜きつ抜かれつの展開となるなか、ぴたりと風が止まり、大幅に左にシフト。新しい風向からのブローをいち早くつかむべく、緊張感の漂う中、トップで回航したのは石橋/鶴本。そのまま下マークを回航し、最後のフィニッシュレグを残すのみとなりました。

 しかし、トップで飾るチャンスでの慢心か、はたまた、新ペアならではのコンビネーション不足か、痛恨のジャイブミス。石井/伊藤が最後の最後で挽回し、フィニッシュを飾ります。

 ペア結成後の最初のレースから、レース後の打ち上げ・懇親会に最高の肴を提供してしまいました。ヘルムスマン・石橋さんは、「イメージが共有できていない部分があり、サイドマークジャイブやスピンダウンで大きくロストしてしまった」と肩を落としていました。

 第2レース。引き続き、南からのうねりはきついものの、東からの風が安定して入るようになっており、徐々に慣れてきた選手たちによる白熱した展開になります。スタートから抜け出したのは、石井/伊藤です。

 しかし、石橋/鶴本、黒田/佐藤もピタリと付けて、レースを展開します。その後、一瞬のシフトを活かして、サイド下レグで石井/伊藤の上を取り、石橋/鶴本がトップで下マークを回航。

 その後も3艇による抜きつ抜かれつの展開か…と思いきや、3艇によるタックマッチをしり目に、左海面のシフトをつかんだ原/石橋ペアが猛然と追い上げ、第3上マークは4艇の大混戦。勝負は最後の上〜サイド、サイド〜下マークのリーチングレグに委ねられます。ここで原/石橋が下マークとサイドマークを間違える痛恨のミス。

「あいつら上し合ってるな!しめしめ!と思っていたら、マークが違ったんだよ!」とヘルムスマン・原さんも後悔の残るところとなってしまいました。第2レースは石橋/鶴本が、1レース目の悪いイメージを払拭してトップを守り切ります。

 第3レース。混戦の中スタートから抜け出したのは黒田/佐藤。石橋/鶴本と石井/伊藤が接触し、石橋/鶴本は痛恨の720度回転! その後も猛然と追い上げるものの、黒田/佐藤がしっかりと守り切ってフィニッシュ。3レース終わった段階で、3艇で1位を分け合う白熱した展開となりました。

 第4レース。うねりも弱まり、東寄りの風が安定する中で石井/伊藤がトップフィニッシュ。レースを追うごとに安定感を増す石井/伊藤に抗う方策を練りながら、初日のレースが終了します。

 運営で参加した過去5回の優勝歴を誇り、ファイアーボールの歴史の担い手の一人、中野さんも「運営してると乗りたくなっちゃうよなぁ!」と興奮気味です。

最終日は強風レースに。まさかの2チーム連続沈

 2日目は前日とは打って変わって風速は12メートル近い強風。この日から参加予定の若手、古川/築野は遠目に見てもわかるほどの緊張感を漂わせつつ準備に取り掛かります。

 運営は第5レースのスタートを延期。中野さんはたまらず「このぐらいの風になってからウキウキし始めるぐらいじゃないと、世界では戦えないぞ!」と、各艇のバースをまわって檄をとばします。

 11時を過ぎて、最大風速は13メートル近いながらも、ブローの中でなければ10メートル程度まで落ち着いたことから出艇。第5レースに向けて海面に向かいました。

 海面に出てみると、ブローとラルの強弱の変化に加えて、右へ左へ30度近く振れる風が選手を悩ませます。そんな中、第5レースがスタート。スタート直前に大きく左に振れ、多くの艇がスタートラインに入りきれずタックを返します。その後、再び風は大きく再び右に戻り、選手たちをもてあそびます。そんな中でも抜け出したのは石井/伊藤。石橋/鶴本も続きました。

 最初の下マークを回航後、石井/伊藤がオバーヒールから痛恨の沈! これは石橋/鶴本にチャンスか…と思いきや、石橋/鶴本も大きくアンヒールしてストンと沈。

 「石井/伊藤の沈を見て、ガッツポーズしてたら気づいたら海の中にいました…」とクルー・鶴本さんが振り返るように、ブローのインパクトと大きな振れで対処が間に合わなかったとのこと。

 第5レースはそのまま石井/伊藤がトップでフィニッシュ。なかなか落ちる気配のない風の中、運営は第6レースを諦め、スプリングレガッタの勝利は石井/伊藤の手中に収まることに。

 レース委員長を務めた小阪さんも「石井/伊藤の一人勝ちかと思ったが、白熱したいいレガッタになった」と振り返る。表彰式ではうねりのある海面と強風への対処に苦しんだこと、今後トレーニングを積み、課題を克服しようとする意気込みが選手たちの言葉に現れ、今シーズンの盛り上がりを予感させつつ、幕を閉じました。

 ファイアーボール協会は他艇種で活動されている方の参加も歓迎しています。ワールドへも積極的に参加する活気あるフリートなので、興味のある方は、

ファイアーボール協会 フェイスブック
https://www.facebook.com/fireballjapan

からお気軽にご連絡ください!

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スプリングレガッタ優勝、石井浩一郎/伊藤雄一郎

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2018ファイアーボール級スプリングレガッタ成績

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