殿堂入り10回目優勝の石井/伊藤!江の島ファイアーボール全日本
11月11、12日、江の島で「ファイアーボール級全日本選手権」が開催されました。昨年優勝の加藤/熊谷が、海外転勤のため活動休止。そのため、20回以上の全日本選手権への出場経験を持つベテランコンビ、石井/伊藤の一強体制に対して食い込める艇はあるのか? そして、転勤などで練習頻度を確保できていない下間/鶴本や、黒田/佐藤などの中堅層に対して、若手がどこまで戦えるのかに注目が集まりました。(レポート・写真提供/日本ファイアーボール協会)
江の島で開催されたファイアーボール全日本。2日間とも良い風に恵まれました
初日は、日本海を通過する大型の低気圧の影響を受け、朝から20m/s近い南風と高波が選手を出迎えます。レースコミッティはあえなく第1レースのスタートを延期し、陸上待機に。11時近くになると南風はぱたりと収まって出艇指示。2時間遅れで第1レーススタートとなりました。
第1レーススタート時点では4〜5m/sの北風。ただし、波長の長い猛烈なうねりが南から押し寄せ、非常に厳しいコンディションでのレーススタートとなりました。
波のトップでフルトラピーズ、ボトムではクルーがデッキに入らなければならないほどのアンヒール…、と各艇が四苦八苦する中で、最初の上マークは石井/伊藤がトップで回航。
2位以下は下間/鶴本、黒田/佐藤と中堅勢が隙をうかがいます。しかし、多くの艇が沈やトラブルを起こす中でも抜群の安定感を見せてそのまま石井/伊藤がトップでフィニッシュ。他艇に完成度の違いを見せつけました。
第1レースを終える頃には北を風軸にして時折10m近いブローも入り始めます。南から押し寄せるうねり、強弱の激しい北風、急な振れで、海上はますますサバイバルな様相を呈し始めました。第2レースも第1上マークから石井/伊藤がトップを死守。
2位には松嶋/森で展開していきます。「森君が名古屋転勤をきっかけに平日も運動するようになり、体の切れが増し、今までで最も頼もしかった」(松嶋)と、クルー森さんの活躍も光ります。
加藤/熊谷からボートをレンタルして出場した古川/築野が、3位でフィニッシュ。「古川が『帰ろう、帰ろう』と言う僕を励ましてくれた。感謝しています」(築野・表彰式談)とコンビでのチームワークも奏功したようです。
11日はこの2レースで終了となりました。この時点での順位では、1位:石井/伊藤、2位:松嶋/森、3位:古川/築野組となり、12日の結果如何では過去例を見ない波乱もありえる状況で12日最終日へと続きます。
風に恵まれた全日本2日間。注目の若手チームも参戦
最終日、ハーバーを訪れた選手たちを最大瞬間14m/s近い北風が出迎えます。「肩が」「腕が」「腰が」と各々どこが痛いかを話題にしていた選手たちの、淡い願望を打ち砕くように、2日連続の厳しいコンディションになりました。
第3レースは予定通りスタート。スタート時点では10m/sほどまで落ちてはいるものの実力が試されるコンディションです。抜け出したのは、やはり石井/伊藤です。
期待された松嶋/森は、痛恨の沈により最後尾まで順位を下げてしまいました。古川/築野も懸命に走りますが、フィニッシュはそのまま石井/伊藤がトップ。2位に下間/鶴本、3位に黒田/佐藤と続き、中堅組が意地を見せます。
続く第4レースは、デラマンチャヨットクラブ所属の若手ホープ、柳川/真下がようやく参戦! 東工大体育会ヨット部出身の院生ペアで、蒲郡テーザーワールドも経験した、その走りに注目が集まります。
スタート直後からうまく抜け出したのは下間/鶴本、追いすがるのは石井/伊藤と柳川/真下。ベテラン組、中堅組に必死に食らいつき、黒田/佐藤も加わって白熱のレース展開に。
第2下マークでトップを走る下間/鶴本が細かくジャイブを入れながらのスピン収納時にまさかの沈。「そもそもジャイブした意味がさっぱりわからん」と皆にツッコまれ、レース後の打ち上げに最高の酒の肴を提供してくれました。
しかし、本人らには手痛いミス。トップは石井/伊藤、2位に柳川/古川、3位に古川/築野が入り、石井/伊藤が優勝を手中に収めました。
第5レースになると風は少し落ち着き8m/s程度。悲鳴をあげる体に鞭を打ち、最後のレースに臨みます。第1上マークは石井/伊藤が前に出ますが、第1下マークでまさかの沈。
若手に負けない軽快な身のこなしですぐに起こしますが、柳川/真下がトップに躍り出ました。と思いきや、マークを見間違えて左奥に猛然と突っ込む柳川/真下。一気に順位を下げてしました。
結果的に、第2上マークは、下マークを4位で回航した下間/鶴本が、右振れをつかんで躍進。そのまま順位を守りフィニッシュします。石井/伊藤をハナ差でかわして2位に黒田/佐藤が入りレースエンド。
総合順位は、石井/伊藤が優勝。準優勝は下間/鶴本。3位に黒田/佐藤。中堅組も少ない練習頻度の中で、ボートチューニングやコンビネーションで違いを作り、なんとか意地を見せた形になりました。
この全日本を終え、年間のすべてのスケジュールを消化したファイアーボーラーたちは、藤沢市内でおこなわれた表彰式&打ち上げで来年のレースに向けて大いに盛り上がりました。
ファイアーボール協会恒例、優勝カップに注がれたビールを飲みほす儀式。ヘルムスマン石井さんの飲みっぷりは堂々たるもの! 石井さんは10回目の全日本選手権優勝。殿堂入り(?)として花束が贈呈されました。
優勝者スピーチでは「長くセーリングに取り組めば、出産や転勤など生活の変化は必ずある。そんな中でもいかに継続するか、少ない練習の中で質を高めるかにこだわっていこう!」と、石井さんの呼びかけ。それに応えるように、来年に向けて抱負を語る若手選手たち。少ない艇数ながらもポジティブな雰囲気いっぱいの中で、今年のファイアーボールシーズンが幕を閉じました。
ファイアーボール協会は他艇種で活動されている方の参加も歓迎しています。ワールドへも積極的に参加する活気あるフリートなので、興味のある方は、
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