大学生のあらたな挑戦!東北パワー全開、東北学生オープンヨット選手権
5月26〜28日、新潟県聖籠町網代浜で「春季東北学生オープンヨット選手権」が開催されました。この大会は東北水域の春インカレの意味を持ちながら、あたらしい企画を盛り込んで、学生中心で作りあげたレースイベントです。こんなヨットレース、日本にはないかも? 伝統のインカレとはちょっと違う学生レースを紹介します。(BHM編集部)
昨年から始まった東北学生オープンヨット選手権。今年は新潟県聖籠町・海のにぎわい館で開催されました。photo by Junichi Hirai
東北で面白いことはできないかな?
大学生の熱い思いから生まれたヨットレース
春季東北学生オープンヨット選手権が開催されるのは、今年で2回目になります。昨年は宮城県の大学の練習基地になっている宮城県七ヶ浜町でおこなわれ、今年は新潟大がホスト役になり、日本海に面した新潟県聖籠町で開催されました。参加選手は昨年よりも増えて、470級24艇、スナイプ級14艇、選手約200名、スタッフ40名。東北エリア最大規模のレースイベントです。
さらに北海道からは、北海道大、小樽商科大、関東からは専修大が参加(専修大はトラックに船を積んで遠征しました)。地域や選手を限定しないオープン選手権にすることで、東北水域にとどまらず、遠方からの参加を集めました。
さて、この東北学生オープンヨット選手権には、どんなアイデアが盛り込まれているのでしょうか? 新潟大会でおこなわれた、いくつかの実例を紹介します。
地元と協力し合ってビーチクリーン&サーファーとコラボ
聖籠町のNPO団体と大会がコラボレーションして、選手たちは早朝ビーチクリーンに参加。大学生セーラーが聖籠町と交流しました。また、レース中に海に出られない選手たちは、地元のサーファーの協力で、サーフィンやSUPをたのしみました。本大会では、東北水域で集めたチャーター艇以上に参加者が集まったため、乗り換えて出場する大学がほとんど。レースに出られない選手も陸でたのしんでほしいという、実行委員会のアイデアです。
大会会場となる聖籠町の漁港は国体が開催された場所で、スロープ設備が整っています。photo by Junichi Hirai
2日間おこなわれたレースは初日は強風でキャンセル、2日目はトラピーズに出るベストコンディションで実施されました。photo by Junichi Hirai
一時、部員減少で活動が危ぶまれていた東北学院大ヨット部はこれだけ部員が増えました。がんばってます!photo by Junichi Hirai
音楽がガンガン鳴り響く中、気分を高揚させて海へ
日本のヨットレースの海上には音楽が流れません。それはなぜか?(さあ、どうしてでしょう?)。実は、国際大会の多くは、ヨットレースはフェスティバル/お祭りであり、一般の観客を集める意味もあって音楽が流れているのは特別なことではありません。東北学生オープンヨット選手権では、陸上D旗の掲揚とともに、アップテンポの音楽に切り替わって選手たちを刺激。ヨットレースの高揚感を演出しました。また、大会会場の道路沿いには、大学名の「のぼり」がたくさん掲げられ、箱根駅伝さながら大会ムードを盛り上げました。
大会会場のまわりには大学名の「のぼり」がたくさん掲げられました。photo by Junichi Hirai
大会会場では学生を応援するヘリーハンセンがウエアを展示販売、レッドブルガールも登場してフェスティバル感を高めました。photo by Junichi Hirai
公開審問やニューメリック・スタートで実験的なレース運営
第1回大会で好評だったプロテストの公開審問が予定されましたが、大会初日が強風のため470級1レースしか成立しなかったので、公開審問はおこなわれず。また、数字旗でスタートまでカウントダウンするニューメリック方式を全レースで実施しました。オリンピックやワールドカップで採用されているニューメリック方式が日本で採用されるのは初めてのこと。専用の数字フラッグを制作し、分かりやすいスタート方式に挑戦しました。
日本初の試みとなるニューメリック方式(数字旗によるカウントダウン)のスタート。photo by Junichi Hirai
レース初日は荒天のためルール講習会。続いて、470、スナイプ、J/24で活躍する出道選手、飛内JSAFコーチ、BHM編集長のトークイベントもおこなわれました。photo by Junichi Hirai
そして、もうひとつ、大切なのは、主管校となる新潟大ヨット部や東北の学生が、聖籠町とコンタクトを取り大会会場を設置したり、他水域に足を運び大学ヨット部に声をかけて勧誘したり、大学生が中心になって行動をおこしたこと。もちろんバルクヘッドマガジン編集部にも大会の進行状況が逐一知らされました。
本大会発起人の一人、伊藤大貴さん(東北大4年)は、東北学生オープンヨット選手権を立ち上げた理由を次のように話します。
「なにか東北でおもしろいことはできないか、と思って始まったヨットレースです。あたらしい大会なので、アイデアを積極的に出して、なんでもやっちゃおう、というスタンス。それに、選手だけでなく、大会に関係する人たちがみんな楽しめるような、そんなヨットレースができたらいいと考えています。もちろん来年もやります!」
編集長が2日間取材して感じたのは、まず、東北エリアの選手の熱気です。関東水域に比べてヨット部の数が圧倒的に少ないからこそ、お互いが協力し合うのはもちろん、高い向上心を持ってセーリングの上達方法を模索しているということ。このパワーには圧倒されました。
そして、東北学生オープンヨット選手権ができたことで、いろんなアイデアが実現しているのは、素晴らしいことだと感じました。セーリングのメインストリームとは呼べない、少数精鋭の東北セーリングから発信されているというのが、パワフルでものすごくかっこいい。これはあたらしい大会だからできる、ということもあるでしょう。大所帯になってしまう組織ではやりにくい側面もでてくるからです。
「面白そうなことをやってみる」という東北学生オープンヨット選手権のアイデア・ヨットレースは、まだまだ成長していきそうです。次回大会も楽しみにしています。
江の島から遠征した専修大。トラックに積み込み、片道6時間掛けて新潟を往復しました。photo by Junichi Hirai
「40、いや50人ぐらいの部員で参加しました」という北海道大。フェリーに乗って新潟へやってきました。photo by Junichi Hirai
新潟大の学生クルーと乗って優勝した出道耕輔/島影 樹(福井県セーリング連盟)。photo by Junichi Hirai
スナイプ級優勝の大山チカ/竹中智紀(東北大)。photo by Junichi Hirai
大会成功のためよく働いていた新潟大ヨット部。おつかれさまでした!photo by Junichi Hirai
◎春季東北学生オープンヨット選手権
https://www.spring-tohokuyacht.site/
バルクヘッドマガジン・フェイスブック(1)初日写真
バルクヘッドマガジン・フェイスブック(2)2日目写真
====================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
日本レジャーチャンネル
ベイトリップ セーリング
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
リビエラリゾート
Velocitek
コスモマリン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ファクトリーゼロ