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日本470男子の真の実力は?ワールドカップシリーズ・イエール最終日

 4月30日、「ワールドカップシリーズ・イエール」最終日は、曇天、弱い風のなかで静かにメダルレースがはじまりました。レーザーラジアル級の土居愛実は順位を落として総合10位に。470級男子の高山大智/今村公彦は変わらず5位、磯崎哲也/高柳 彬は順位を上げて、総合7位で大会を終えました。(BHM編集部)

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470級メダルレースに出場した高山/今村(写真手前)、磯崎/高柳。磯崎はメダルレース2位フィニッシュで総合7位へ上昇しました。photo by Junichi Hirai

 日本のメダル獲得には至らなかったワールドカップ・イエール大会でしたが、見ごたえある戦いが随所に見られました。特に470級男子の7艇の実力は拮抗していて、そのなかでそれぞれの「匠さ」「粗さ」が見え隠れしています。

 今冬、日本470男子は、結果としてふたつのグループに分かれて活動していました。チームアビームとヤマハ男女は、オーストラリアで長期合宿を実施。470王者、ベルチャー/ライアン(AUS)といっしょに、強風のトレーニングを重点的におこなってきたとのこと。

 また、磯崎/高柳、今村/外薗の2017年度ナショナルチームに小泉/野田、市野/長谷川が加わったグループは、中村健一コーチ(JSAF)指導の下、沖縄座間味で長期合宿を敢行。こちらも大波、強風のなかでセーリング力と体力向上に磨きをかけました。

 どちらも強風に特化したトレーニングができたようで、本大会4日目の強風レースでも海外チームに全く引けを取らない走りを見せました。レース前、陸上で風が落ちるのを待っている彼らの表情を見ていても、「強風ドンと来い!」というような余裕を感じさせるふるまいが印象的で、厳しい練習をしてきたのが伝わってきます。

 しかし、単純に喜んでばかりいられません。本大会で2位にダブルスコアの差をつけて圧勝したベルチャー/ライアンをトップグループに位置づけるなら、日本選手はその背中を遠くに見ている状態です。

 さらに、世界のトップグループには、リオ五輪で金メダルを取ったクロアチア(活動を継続すれば)、強風でめっぽう速いニュージーランド、風域を問わずトップレベルのテクニックを持つフランス、ほかにもイギリス、スウェーデン、オーストリアなど海千山千の強者が入ってくると予想されます。

 そう考えると、現時点の日本男子の実力を判断する素材は、まだまだ少ない。ひとつ、その答えが出るのが、今年の天王山となる470世界選手権です。470級世界選手権は、7月7〜15日、ギリシア・テッサロニキで開催されます。それまで、先の2グループは別々のトレーニングや出場大会が予定されています。7月の世界選手権が楽しみになってきました。

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風弱く静かに始まったレーザーラジアル級メダルレース。photo by Junichi Hirai

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土居愛実は総合10位。リオ五輪前の感覚やコンディションがだいぶ戻ってきたようです。photo by Junichi Hirai

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ラジアル優勝のエヴィ(BEL)。リオ五輪本番で大スランプに陥ってしまった彼女は東京でリベンジします。photo by Junichi Hirai

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高山大智/今村公彦(Yamaha Sailing Team Rev’s)。photo by Junichi Hirai

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磯崎哲也/高柳 彬(エス・ピー・ネットワーク/日本経済大)。photo by Junichi Hirai

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「今回のイエールは15番を目標にしていました。それを大幅にクリアできたことはうれしい。マイアミ以来の国際大会出場なので、自分たちの実力がわからないままに挑みました。このチームの強みは勢いです。若い高山は何をするにも挑戦で、それをいい流れに結びつけながら、もし迷ったときは自分の経験値で補う。そうすれば自然と結果がついてくると思っています」(今村公彦)

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「初日のブラック旗(失格)を引きずっているわけではなかったけれど、パルマ、マイアミのように前半からリードする(自分の)流れを作れなかった。前半は自分の走りたいように走れずに苦しみました。それでも修正しながらメダルレースに残れたことは自信につながりました」(磯崎哲也)

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470級男子優勝はオーストラリア、2位スウェーデン、3位ギリシアでした。photo by Junichi Hirai


イエール最終日ダイジェスト。映像提供:デイリーセーリングジャパン

ワールドカップシリーズ・イエール 最終成績
470男子 参加35艇
1. AUS Mathew Belcher / William Ryan 18.0p
2. SWE Carl-Fredrik FOCK / Marcus DACKHAMMAR 52.0p
3. GRE Panagiotis MANTIS / Pavlos KAGIALIS 73.0p
5. 高山大智/今村公彦 95.0p
7. 磯崎哲也/高柳 彬 102.0p
13. 市野直毅/長谷川孝 116.0p
15. 土居一斗/木村直矢 126.0p
17. 今村 亮/外薗潤平 142.0p
19. 小泉颯作/野田友哉 155.0p
22. 神木 聖/疋田大晟 178.0p

レーザーラジアル女子 参加55艇
1. BEL Evi van ACKER 67.0p
2. FIN Tuula Tenkanen 87.0p
3. FRA Mathilde de Kerangat 93.0p
10. 土居愛実 127.0p

470女子 参加23艇
1. NED Afrodite Zegers / Anneloes van Veen 30.0p
2. ESP Silvia Mas Depares / Patricia Cantero Reina 55.0p
3. SUI Linda FAHRNI / Maja SIEGENTHALER 55.0p
17. 宇田川真乃/関 友里恵 129.0p

レーザー男子 参加60艇
1. CYP Pavlos KONTIDES 63.0p
2. ITA Francesco MARRAI 63.0p
3. AUS Matthew WEARN 78.0p
50. 瀬川和正 349.0p

49erFX女子 参加20艇
1. BRA Martine SOFFIATTI GRAEL / Kahena KUNZE 34.0p
2. GER Victoria Jurczok / Anika Lorenz 50.0p
3. GBR Charlotte Dobson / Saskia Tidey 63.00p
10. 波多江慶/板倉広佳 117.0p

RS:X男子 参加45艇
1. FRA Louis GIARD 63.0p
2. POL Piotr MYSZKA 78.0p
3. NED Kiran BADLOE 80.0p
12. 富澤 慎 105.0p
42. 倉持大也 320.0p

RS:X女子 参加38艇
1. POL Zofia NOCETI-KLEPACKA 49.0p
2. CHN Yunxiu LU 72.0p
3. ISR Noga GELLER 81.0p
15. 伊勢田愛 145.0p
23. 小嶺恵美 183.0p

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