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もうひとつの世界一周。ジュールベルヌ・トロフィーで世界最短記録に挑戦中

 ヴァンデグローブが盛り上がる中、もうひとつの世界一周が佳境を迎えています。世界一周最短記録を狙う「ジュールベルヌ・トロフィー」に挑戦している〈IDEC SPORT〉が、驚異的なスピードで世界一周を達成しようとしています。(BHM編集部)

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世界一周ジュールベルヌ・トロフィーに挑戦している〈IDEC SPORT〉(マキシトライマラン)JM Liot / DPPI / IDEC SPORT

 ジュールベルヌ・トロフィーは、ヨットレースではありません。フランスの小説家、ジュールベルヌの作品「八十日間世界一周」にちなんで(物語では帆船、蒸気船、鉄道をつかって東まわりで世界一周します)、世界一周の最短記録を狙うスピードトライアルです。

 船の大きさや種類、クルー人数の制限はなく、フランス・ウェサン島の灯台とイギリスのリザート岬を結んだ仮想ラインがスタート・フィニッシュラインになります。これまでの記録は、2012年に〈Banque Populaire V〉(リュイック・ペイロン艇長)による45日13時間42分53秒。偶然にもヴァンデグローブのトップ艇(Armel Le Cléac’h)と同じチームによる挑戦でした。

 ヴァンデ・グローブは一人乗りで船の規定あり(IMOCA60)、ジュールベルヌ・トロフィーは船や乗員の制限なし。このふたつを並べて比較できませんが、世界一周に最も適した時期が決まっているため(毎年秋・冬)、開催時期が重なるのは不思議ではありません。

 100フィート・マキシトライマラン〈IDEC SPORT〉は、ヴァンデグローブと同日スタートを予定していましたが、より良い風を求めて風待ち。11月21日に一旦スタートしましたが、ドルドラム(赤道付近の無風帯)につかまり、〈Banque Populaire V〉の記録より遅れたことから中止を決定。再びフランスへ戻り、記録更新できる気象条件を待ちました。

 〈IDEC SPORT〉が再スタートしたのは12月16日です。年末年始に吹き荒れた暴風を味方につけ、フランスからケープホーンまで18332マイルを平均28.7ノットで爆走することに成功(新記録)。現在、スタート30日を過ぎて〈Banque Populaire V〉の2012年当時の記録時より1850マイル先行して走っています。

 〈IDEC SPORT〉は二週間以内にフィニッシュするとみられ、いま世界中から世界一周最短記録更新に注目が集まっています。

◎IDEC SPORT
http://www.idecsport-sailing.com/

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ケープホーンを回航する〈IDEC SPORT〉。乗員は6名。フランシス・ジョヨン(FRA。60歳)艇長をはじめ、ヴァンデ・グローブでも活躍したバーナード・スタム(SWI)も乗り込んでいます。photo by IDEC SPORT

ジュールベルヌ・トロフィーのこれまでの記録
1993年 Commodore Explorer 79日6時間15分56秒
1994年 ENZA 74日22時間17分22秒
1997年 Sport Elec 71日14時間22分8秒
2002年 Orange 64日8時間37分24秒
2004年 Geronimo 63日13時間59分46秒
2005年 Orange II 50日16時間20分4秒
2010年 Groupama 3 48日7時間44分52秒
2012年 Banque Populaire V 45日13時間42分53秒

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