世界一周ヴァンデ・グローブは南氷洋レグへ。境界線上の熾烈なトップ争い
11月28日、単独無寄港無補給の世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」は過酷な南氷洋レグへ突入しました。選手たちは、南アフリカ大陸・喜望峰を越えて、東まわりで地球を一周します。ヴァンデ・グローブでは、「吠える40度」(Roaring Forties)と呼ばれる南緯40〜50度付近に、大会組織委員会が定める境界線が設定され、これより南側を走ることは禁止されています。(BHM編集部)
〈HUGO BOSS〉を追い抜き、トップに立った〈BANQUE POPULAIRE VIII〉。photo by Jean-Marie Liot / DPPI / Vendee Globe
南極大陸近くを走れば、短い距離で地球一周できますが、南緯40度、50度、60度と南極に近づくほど、常に嵐が吹き荒れる危険地帯となります。大会が境界線を設定するのは、選手の安全を確保するためですが、トップを狙う選手はライン際を走る勝負に出ます。
ちなみに、南氷洋レグの終盤となる南アメリカ南端のケープホーン沖は、南緯50〜60度の「狂う50度」(Furious Fifties)「絶叫する60度」(Shrieking Sixties)を走ることになり、ヴァンデ・グローブのコースで危険なエリアとして知られています。
トップを走る〈HUGO BOSS〉Alex Thomson (GBR)と〈BANQUE POPULAIRE VIII〉Armel LE CLEACH(FRA)は、至近距離の戦いが続いています。Alex Thomsonは序盤から先頭を保守していましたが、右舷側のフォイル破損によりボートスピードがあがらず、フランスの優勝候補、Armel LE CLEACHに逆転をゆるしてしまいました。
11月28日現在、CLEACHがThomsonに30マイルの差をつけてトップに。3位には476マイル離れたSebastien JOSSEの〈EDMOND DE ROTHSCHILD〉がつけています。いずれもフォイル艇ですが、これまで水面下の衝突(クジラか何か?)によるトラブルが連続しています。予測できない衝突事故なだけに緊張の展開が続いています。
また、大混戦になっているのが、白石康次郎選手〈スピリット・オブ・ユーコー〉もいる第3グループです。これは、約10選手で構成されるグループで、集団で南大西洋を南下しています。白石選手は13位につけていて、相手艇が見えるほどの至近距離で戦っています。
ヴァンデ・グローブ2大会連続2位、前回大会(2012-13年)では、優勝のFrançois Gabartと激戦の末、わずか3時間の差で敗れた〈BANQUE POPULAIRE VIII〉のArmel LE CLEACH(39歳)。もちろん本大会で優勝を狙っています
ラダートラブルでリタイアした〈SAFRAN〉Morgan Lagraviere (FRA)。南アフリカ・ケープタウンへ入港しました。現在4艇がリタイアしています。photo by Erick Courly / SAFRAN
ヴァンデ・グローブ22日目ハイライト。ケープタウンに入港した〈SAFRAN〉はクジラの群れに囲まれました
トップ艇団は喜望峰を越えてインド洋へ。地図のグレーエリアが境界線でこれより南下して走ることは禁止されています
「今日の康次郎は気持ち悪です。朝から波悪くパンチングを繰り返す。ズド〜ン、ズド〜ンと大きな音と共に振動する。頭と腹に響く。何もやる気がしなくなる。が、やらねばならないことがあるので作業を行う。左舷側のキールボックスの窓から水漏れを視認。増し締めしたが完全ではないだろう。テープでも補強する。これで止まってくれればよいが。ダウンロープのR1のスプライスが緩んでいたので、補強する。古い船なので細々したところがうまくいかない。2007年の船でかなりの距離を走っている。でも、僕はこの船が好きである。尊い縁あってこの船に呼ばれた気がしている。大切に扱おう。「まず船を愛すること」尊敬する岡村造船の親方の教えだ。きっと応えてくれるはずである」(11月27日、白石康次郎フェイスブック・コメントより)。
〈スピリット・オブ・ユーコー〉から見る南大西洋の星空。photo by Kojiro Shiraishi
19日目、微風下で走る白石選手のオンボードレポート
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