日本470女子5位入賞。リオ五輪セーリング最終日レポート
8月18日、リオ五輪セーリング11日目。最終日のグアナバラ湾は15ノット強の南西風が吹いています。観戦もできるフラメンゴビーチ近くに作られた特設コースで、470級女子のメダルレースが始まりました。(BHM編集部)
メダルレース最終レグを走る吉田 愛/吉岡美帆。photo by Junichi Hirai
暫定5位、2位まで4点差でメダルレースに進出した吉田 愛/吉岡美帆は、ライバルとなるニュージーランド、フランスと近い位置からスタート。風下のニュージーランドに一歩前に出られた吉田/吉岡は、タックを返して右展開へ。もう一方のライバルとなるアメリカは、クリアな左海面から良い位置で内側へ返してトップで上マークを回航します。
出遅れた日本は8番手で上マークを回航。アメリカ、ニュージーランドが足を伸ばして行きますが、ショートコース、上下マークでおこなわわれるメダルレースでは大きく順位が変動します。メダルレースに出場する選手のセーリング技術はトップレベルです。この部分で差がつくことはほとんどありません。ライバルとの駆け引き、心理戦がメダルレースの醍醐味と言えます。
第2上レグは上位グループが左展開するのと反対に右展開を選んだ日本は、上マーク周辺のシフトも得て一気に追いつきます。そして、大接戦の2上マークを、ニュージーランドに次ぐ5番で回航。この時点でアメリカ、フランスを逆転して銅メダルの可能性が出てきました。
しかし、最終ダウンウインドレグは、混戦の中での位置関係もあり後続艇が有利な展開に。日本はフランスに抜かれてしまい、メダルレースを7位でフィニッシュ。総合5位でリオ五輪を終えました。
金メダルは、メダルレース前に2位に20点以上の得点差をつけたイギリス。ニュージーランドが銀、フランスが銅メダルを獲得しました。リオ五輪470級女子は、ロンドン五輪と金・銀が逆になる結果となりました。
吉田/吉岡の戦いを振り返ると、第1レースのトップフィニッシュを始まりの合図に理想的な流れをつかみ、得意の強風レースでは確実にポイントを稼ぎました。途中リーチングレグで42条違反で順位を落とす場面もありましたが、予選最終日には日本の抗議で上位国のスロベニアを失格にさせるなど、メダルを狙う「攻め」の戦い方をしていたと思います。
最終的にメダル獲得を逃し、本人たちは納得していない部分が少なからずあるでしょうが、このリオ五輪で彼女たちは実力を発揮できたのではないでしょうか。これまで本人たちが求めていた「せめぎあいのヨットレース」を五輪の舞台で実現したことは素晴らしいことだと思います。
吉田/吉岡の示したリオ五輪の活躍は、きっと日本の糧となり東京五輪へ引き継がれていくことでしょう。そして、彼女たちに託してメダル獲得の夢を見られたことに心から感謝します。ありがとう!
リオ五輪 470級女子 最終成績
1. GBR Hannah Mills / Saskia Clark
2. NZL Jo Aleh / Polly Powrie
3. FRA Camille Lecointre / Hélène Defrance
4. NED Afrodite Zegers / Anneloes van Veen
5. JPN Ai Kondo Yoshida / Miho Yoshioka
6. SLO Tina Mrak / Veronika Macarol
7. USA Anne Haeger / Briana Provancha
8. BRA Fernanda Oliveira / Ana Luiza Barbachan
9. AUT Lara Vadlau / Jolanta Ogar
10. POL Agnieszka Skrzypulec / Irmina Gliszczynska
◎バルクヘッドマガジン・フォトギャラリー
http://junhirai.photoshelter.com
◎World Sailing Rio 2016
http://www.sailing.org/olympics/rio2016
メダルレースのスタート。photo by Junichi Hirai
フラメンゴビーチの日本応援団。photo by Junichi Hirai
シュガーローフ下の上マークを回航。photo by Junichi Hirai
470女子金メダルのミルズ/クラーク。photo by Junichi Hirai
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