めざせクルーザーヨット学生日本一!葉山でアニオールズカップ開催
3月10日、神奈川県葉山沖でクルーザーヨットの学生日本一を決める大会が始まった。その名もアニオールズカップ (ANIORU’S CUP)である。アニオールズカップは1991年から続く大会であり、日本学生外洋帆走連盟(現Japan Intercollegiate Offshore Sailing Federation (JIOSF))/旧 All Nippon Intercollegiate Offshore Racing Union (ANIORU))が主催している。(レポート・写真/上野真奈 アニオールズカップ2016広報)
学生による学生のための大会
日本学生外洋帆走連盟には、慶応大学、神戸大学、甲南大学、千葉大学、東京大学、東京都市大学、日本大学、防衛大学校、明治学院大学の9校が加盟しており、各大学は常日頃それぞれのホームポートで、各大学が所有する船を用いてレースや長距離航海などの活動を行っている。普段は異なる海域でさまざまな艇種で活動している大学が年に一度集まり、同型艇を用いて1年の練習の成果を発揮するのが本大会である。
このアニオールズカップの特長は、何といっても、主催者が学生である点である。この大会は、毎年各大学の4年生が集まり、現役である1〜3年生の部員に卒業前の最後のプレゼントとして開催する大会である。そのため、レース運営やスポンサー集めなど、大会を開催する上で必要なすべての活動を、周囲の方々に支えられながら、学生自身が行っている。
また、本大会は毎年秋にフランスで開催されるSYWoC(Student Yachting World Cup)という世界学生クルーザーヨット選手権の日本代表選考も兼ねているため、各大学ともこの大会に懸ける思いは強い。
優勝カップは誰の手に
今年のANIORU’S CUPは3月10日〜12日の3日間で、10レース行われた。常連校の神戸大学、防衛大学校、明治学院大学、また部員不足に悩まされ数年出場を断念していた東京都市大学と千葉大学が久しぶりの参加。部員が2名の日本大学は出場が危ぶまれたが、明治学院大学と混合チームを結成し、オープン参加として出場した。競技艇にはY30Sが用いられた。
大会初日、1レース目、2レース目共に部員数が多い神戸大学と防衛大学校が、後続に3分近い差をつけてフィニッシュ。圧巻の走りを見せた。しかし3レース目、2大学を常に後ろから追っていた千葉大学が素晴らしい走りを見せ、神戸大学と防衛大学校がつぶし合う間に、漁夫の利と言わんばかりに1位でフィニッシュ。
その結果、3レースが終わった段階で神戸大学と防衛大学校が6ポイントで並び、次に7ポイントで千葉大学、13ポイントで明治学院大学、14ポイントで東京都市大学、17ポイントで日本大学と、非常に接戦となった。
大会2日目は雨が降る中のレースとなった。その日行った4レース中3レースが1位と、神戸大学が昨年王者の貫録を見せた。
そして迎えた3日目。このまま神戸大学がトップで逃げ切るかと皆が思う中、ここから防衛大学校の怒涛の巻き返しが始まる。8レース目、神戸大学から遅れをとってのスタートとなった防衛大学校だが、上りでその差を埋め、下マークをトップで回航し、そのまま1位フィニッシュ! その後も素晴らしい走りで2レースともトップでこの大会を終えた。
しかし、神戸大学も負けじとくらいつき、全て2位フィニッシュ。その結果、惜しくも差が埋まらず、神戸大学が2年連続の優勝となり、世界選手権への切符を手に入れた。部員数が80名と非常に多い神戸大学には、SYWoCでも優秀な成績を収めてもらいたい。
つながれ、学生クルーザーセーラーの輪!
本大会は1年の練習の成果を発揮する場であると同時に、大学間の交流を深める貴重な場でもある。海上では競い合っていた部員達も、艇を下り、陸上では和やかに交流を深める様子が見られた。
しかし、学連に所属する多くの大学が部員数の減少に悩まされており、4月から始まる新歓での部員の確保が重要である。そこで、この大会を機に、各大学間の交流が深まることで、学連の結びつきがより強まり、学連で協力して活動を行うことで部員数の確保や部の活性化につながることを期待したい。また、セーリング界の発展に寄与できればと願っている。
総合成績(カッコ内はスキッパー名)
1位 神戸大学(重岡諒真)
2位 防衛大学校(中井朝希)
3位 千葉大学(菅沼良太)
4位 明治学院大学(後藤亮介)
5位 東京都市大学(益川英志朗)
オープン参加 日本大学(藤城裕理)
●公式ウェブサイト:
http://anioruscup.jimdo.com/
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