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OPナショナルチーム選考最終日レポート

 3月24日、江の島「2015年JODAナショナルチーム選考」最終日。これまで8レースを消化し、ほぼ順位は確定してきていますが、最後まで何が起こるかわからないのが選考会。それぞれがそれぞれの目標を胸に迎えた4日目となりました。(文/大会実行委員会)

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3月21〜24日まで江の島で開催されたOP級ナショナルチーム選考。最終日は風待ち後、待望の南風が入って2レースおこなわれました。photo by Junichi Hirai

 そんな思いとは裏腹に今日は風が吹かない予報です。天気もよく富士山が綺麗に見える海面の様子でした。しかし、かなり早い段階から北風が止まり、だんだんと南の風が入ってくる兆しが見えてきました。レース委員会は8時30分にAPを掲揚し陸上待機を指示。その間、運営艇は休みなく風のあるところを探しに走ります。

 公式掲示板にC海面でのレースの実施を告示。これは江の島の南約3kmの海面で、OP級にとって少し離れた海面です。しかし、そこに風が吹いているのであれば、1レースでも多く実施したいとの思いから、APが降下した後にD旗が掲揚され一斉に出艇。全艇が曳航されC海面を目指しました。

 海面はまだ弱いものの200度から風が入り、レースは実施可能な状態。11時30分に弱い風の中レースが第9レースがスタートしました。

 南の風の吹き始めとなり、風は不安定でしたが、右と左からくる風のシフトをしっかりとつかめた艇が前に来る展開で、上マークは右サイド、左サイドに共に大きく出した艇が上位を回る展開となりました。トップは谷望選手、2番手に須河内陽夏選手が続き、玉山義規選手が3番手につけます。

 今回のシリーズ10レース中8レースが南からの風であり、北風とは違って大きなシフトをしっかりと掴みながらクローズのコースどりと共にフリーの走らせ方も順位を左右する大きな要素となりました。

 下マークはトップは谷選手は順位を維持し、2位に昨日2位まで順位を上げてきた服部陸太選手、3位玉山選手、4位には全日本チャンピオンの倉橋直暉選手、5位は惜しくも前日に順位を落としてしまった鈴木亮太郎選手が続きます。

 それぞれ最高の目標である世界選手権日本代表を目指して、真剣勝負の走りにミスは許されません。

 結果は、このレース1位玉山選手、2位倉橋選手がフィニッシュ。この時点で、総合1位の玉山選手と総合2位の服部選手は代表争いからは抜け出ましたが、その下が大混戦です。前日まで総合3位の内貴航路朗選手が20位、5位の菅澤龍佑選手が33位と大きく叩き、このレース7位に入った鈴木亮太郎選手が総合で4位に踊り出ます。

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ミスのないゲーム運びで圧勝した玉山選手(丸玉セーリング)。ポーランド・ワールドの一番切符を手にしました。photo by Junichi Hirai

 最終レースとなる第10レースが成立すればカットレースがもう1つ増え、このレースの結果によっては一気に大逆転も起こる最大の山場のレースとなりました。ワールドへの残り3つの切符を事実上7人で争う戦いとなります。風向は変わらず205度で設定。風は徐々に強くなり非常に良いコンディションの6〜7m/sでスタートしました。

 今回の全レースを象徴するかのように、シフトを掴みながらの展開とその素晴らしいスピードにより、1位玉山選手、2位服部選手が順当に第1マークを回航します。3位に内貴選手、5位に抜井理沙選手が回航しあと残り1枠に誰が入ってくるかという状況でレースが進みます。

 下マークまでは大きく順位は変わることなく、そのまま最終レグへ。海面は周期的に右と左へと変化するシフトの中で、その強さと時間によってなかなかフリートを抑えるのが難しいコース展開。

 玉山選手が全体的なフリートを抑える中で服部選手が少しそのカバーを外し、左側の展開でコースを取っていきます。レグ中盤から後半に入り、先頭集団が比較的左海面で展開する中で唯一右海面を攻めたのが菅澤龍佑選手。レグ中盤から大きく右に展開し、右からくる風をリフトでうまく使いトップとの差を縮めて来ます。

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江の島ヨットクラブジュニア所属の服部選手は選考2位通過。photo by Junichi Hirai

 さらにトップ2艇にせまるのは、この2艇の更に左を狙う蓮千鶴選手です。追い上げる両サイドの艇に対してしっかりと抑えながら最後は右展開の菅澤選手の前でタックを返し、そのまま玉山選手がトップフィニッシュを飾り、このシリーズを締めくくりました。

 2位は左展開を掴みきった蓮選手。3位と4位は僅差で服部選手、菅澤選手と続きました。全10レースを終え、2カットレースの結果、3位〜9位が10点以内となり、まさにたった一つの順位が運命を左右した結果となりました。ワールドの切符を手にする5位と6位が同点となり、タイブレイクにより内貴選手がその切符を手に入れました。

 閉会式ではナショナルチームの内定式が行われ、世界選手権代表選手5名、ヨーロッパ選手権代表選手4名、アジア選手権代表選手10名が内定いたしました。

 それぞれの代表を目標に40名のOPセーラー達が熱く戦った4日間。まずは10レースを消化し、レースをコントロールしていたレース委員会の運営の質が素晴らしいものでした。

 安全面と同時に、競技者に対する公平性や様々なコンディションを通じて公平に代表選手を選考する、という大会の性質も見事に捉え、選手や関係者にストレスを与えることなくスムーズに遂行できたと思います。

 そして、真剣勝負で臨んでくれた選手も素晴らしい走りを見せてくれました。この戦いを勝ち抜いた選手たちが2015年のナショナルチームとして世界の海で戦います。この4日間の経験を通じて、さらに素晴らしい走りを披露してくれることを期待します。

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総合3位(女子1位)の抜井選手(B&G兵庫ジュニア海洋)。photo by Junichi Hirai

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IODAアジア・オセアニア選手権代表(10月20〜28日、カタール)
嶋倉照晃、村瀬也海、前田海陽、桐井航汰、小栁倫太郎、佐々木星和、須田英実子、須河内陽夏、木田拳太郎、三浦凪砂

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IODAヨーロッパ選手権代表(7月17〜24日、イギリス)
菅澤龍佑、池田海人、倉橋直暉、蓮 千鶴

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IODA世界選手権選手権代表(8月26〜9月6日、ポーランド)
玉山義規、服部陸太、抜井理紗、鈴木亮太朗、内貴航路朗

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2015年JODAナショナルチーム選考最終成績

◎2015年JODAナショナルチーム選考
http://enoshima-ycj.jp/2015jodafinal/

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