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第2回ジャパンメルジェスウィークを終えて

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11月1〜3日まで逗子で開催された「ジャパンメルジェスウィーク」。昨年、新西宮ヨットハーバーで開催された第1回大会は、終始軽風であったためメルジェスボートの醍醐味であるプレーニングを楽しむことができませんでした。今年は逗子マリーナに場所を移し、軽風から強風まで多彩な風に恵まれ、選手の皆さんは3日間たっぷりと楽しむことができたのではないかと思います。(レポート/日本メルジェス協会会長・石黒建太郎、写真/田上亜美子)

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今大会には大きな特徴が2点ありました。1点目はアウディジャパン主催のパーティ”Audi Night”を開催したこと。

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マリーナ内に車が展示され、盛大なパーティがおこなわれました。

ヨーロッパのメルジェス大会ではアウディが冠スポンサーとなることがとても多く、さらにメルジェス20に限ってはクラス発足当初よりアウディがスポンサーとなり、アウディメルジェス20(Audi Melges 20)がこのクラスの正式名称となっています。そのような流れから国内でも欧州同様、アウディ社と友好的な関係を築くための重要な第一歩になりました。

2点目に今大会は全日本選手権であるのにも関わらず、海外からの注目度が高く、アメリカから4名、スイスから1名の選手が参加したことです。

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ウェズ・ウィットマイヤー、マックス・フレイザー、ジョニー・ゴールドベリー。アウディメルジェス20クラスに参加した〈SLING SHOT〉は2014年ワールド9位のチームです。

ウィットマイヤーさんの話では、「2日目のあの強風と波、あれだけヘビーなコンディションで初めてレースしたけどとても楽しかった。また富士山をはじめ日本の風景は素晴らしい。アメリカとは違う美しさに感動した。来年のアウディメルジェス20の世界選手権はサンフランシスコでおこなわれるが、その後、他の仲間とぜひここに来たいね。実はアメリカ東海岸まで行くのも、日本に来るのも費用はたいして変わらないんだ」

アメリカやヨーロッパでは普段のシリーズレースから多くの艇数、高いレベルを維持しています。ウィットマイヤーさんの言う話を実現できれば国内にいながら多くのスキルを吸収でき、日本チームがワールド優勝することも近い将来に実現するかもしれません。

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またメルジェス32、24、20に乗りモスでも活躍するプロセーラー、クリス・ラーストさんは、「軽風から強風、そして大きなうねりの中でフェアなレースを提供するレース委員会が素晴らしかった。また運営スタッフ、選手の素晴らしいホスピタリティによりレースを楽しむだけではなく、多くの貴重な経験を与えてもらった。またぜひここに戻ってきたい。このような機会を与えてくれた〈SPRAY〉チームに感謝したい」

この2点から共通することは鎖国のようなイメージがつきまとう日本セーリング界もまだまだ捨てたもんじゃない、いやグローバルスタンダードになれるだけの資質を持っているんじゃないか、と感じました。

次に国内メルジェス界を牽引していくであろう優勝チームにスポットを当ててみます。

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アウディメルジェス20優勝の〈SPRAY〉。黒川寛オーナー/ヘルムスマンはヨットを始めてまだ数年。さらにアウディメルジェス20に乗り出して2年ほどですが2014ワールド4位の〈Mamma Aiuto!〉、同9位の〈SLING SHOT〉を抑えての優勝です。

優勝の原動力となったのはセーリングに対する貪欲なまでの姿勢。当然ながら学生ではないので練習機会は週末のみですが、その時間たるや日の出から日の入りまで!! さらに海に出ている間は食事を忘れてしまうほどの高い集中力が優勝につながったのではないでしょうか。そしてクリス・ラースト、キールボートやマッチレースで活躍中の吉田工作が乗り込み、優勝は必然だったと言えるかもしれません。

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今大会ではボートのトラブルもあり、3位となった〈Mamma Aiuto!〉

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メルジェス24優勝の〈ESPRiT〉。長橋誠ヘルムスマンをはじめ、田淵靖浩、佐藤大介、森田栄納介、西宮敬宏と平均年齢20代の若いチームです。470でのオリンピックキャンペーン、メルジェスおよびマッチレースでの豊富な海外活動、若いながらも経験が豊富であり、もともと優勝候補だったチームです。

〈ESPRiT〉では今夏Carkeek40が進水しており、パールレース、ジャパンカップに参戦、彼らもまたヘルムスマン、バウマンの要職につき、力を遺憾なく発揮し好成績を残しています。来年からアウディメルジェス20に転向するとの事で、世界を視野にさらなる活躍を期待したいチームです。

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僅差で準優勝となった〈Sparky Racing〉もまた470オリンピックキャンペーンを展開していた鈴木兄弟が中心のチームです。来年はハイパフォーマンスボートのC&C30を進水予定で活動の幅を広げます。

この2チームの共通点は470で多くのスキルを学び、メルジェスでそのスキルを発揮させ、さらにステップアップを図っていこうと考えるチームで若手がとても活動しやすい環境と言えるかもしれません。ぜひこのようなチームが増えて欲しいものです。

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メルジェス32優勝の〈Quetefeek〉。

このクラスは上記2クラスとは大きく違う点があります。世界で開催されるメルジェス32のレースはケタ違いにハイレベルである点で優勝チームから最下位チームまで全員、セーリングの「第一人者」であることが求められます。参加することに意義があると考えているチームは皆無で勝つことを目標としているのです。

その中、〈Quetefeek〉はオール日本人で挑んでいるチームです。木村大介オーナー/ヘルムスマン、大坪明、林裕城、山田真、永山和徳、永山桃子、荒川海彦、國米創の8名は正に「第一人者」と言えるメンバーです。

ワールドで成績こそ残せていませんが、国内キールボート界では最もハイレベルなチームです。今大会、当然のようにオールトップで優勝となりましたが、それはトレーニングにトレーニングを重ねた結果です。努力は必ず結果で報われることを体現した、と言えるのではないでしょうか。

冒頭書きましたがジャパンメルジェスウィークはまだ2回目。発展途上までも至っておらず、より多くのセーラーとこの大会を作り上げることができれば、と願っております。

来年も10月31日〜11月3日にリビエラ逗子マリーナ開催を予定しており、さらに2017年にはアウディメルジェス20の世界選手権を誘致すべく動き出しました。

最後に盛大なパーティを開催いただきましたアウディジャパンの皆様、大会運営から陸上施設の利用まで多岐にわたりご支援いただきましたリビエラ逗子マリーナの皆様、大変ありがとうございました。

興味のある方はぜひinfo@jpmelges.comまでご連絡ください。お待ちしております。

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