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ヨットレース繁盛記・絶叫!大島レース後編

 連載「ヨットレース繁盛記」大島レースの後半です。伊豆大島東側に向かった〈ホビーホーク〉を待っていたのは、特大の吹きおろしでした。歴史に名を残すほどの大荒れとなった第64回大島レースも佳境に突入です。みなさん、その状況を想像してみてください。ぞぞー。背筋が凍ります。(BHM編集部)

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バルクヘッドマガジン編集長がロールコールのついでに、夜中30ノットのデッキ上を撮影してみました。ですが、予想通り、真っ暗で真っ黒。夜の海は、写真に写せない恐怖があるのです。photo by Junichi Hirai

連載ヨットレース繁盛記
第64回大島レース・後編

35ノット、40ノット!55ノット!!60ノット!!!

 しばらく走ると強烈な三原おろしが吹いてきました。大島の東側、筆島を過ぎたあたりです。風速35ノットを越え、おいおいヤバイぞーと言っているうちに、あっという間に40ノットになりブローチング。ヒャー!

 あわててヘッドセールを下ろしている最中に更なる突風(55ノット!)を受けどうにもならず、再び吹き倒されてしまいました。この時、ヘッドフォイルからジブのラフが抜けてしまい、ジブが半分海の中へ流れてしまいました。

 バウチームの2人がなんとか引き揚げようと必死の形相で回収を試みたけれど、水をはらんでいて重く、逆に人間が引きずり込まれそうです。このような状況下では、もはや人力では無理。

 フネは切れ上がってヘディングを岸に向けたまま、なかなか立て直せません。このままでは非常に危険です。ジブをウインチで引き上げるような時間的猶予もなく、苦渋の決断でジブタックを外し、ジブハリをナイフで切断しました。

 あぁ、一張羅のレーシングセールがダイオウイカみたいになって、黒い海の中に消えていきました。メインセールはバーストし、ジブは海の藻屑となり、ヘッドフォイルが壊れ、ジブハリとジブシートも失いました。ここで、レースのリタイヤを決定。

 その後も経験したことのない風が続きました。三原山を駆け下りる、ダウンバーストみたいな風です。みんなでテザー(編注:艇と身体をつなぐ命綱)を短く固定し、コックピット内に小さく固まってしのぎます。

強烈な週末。あした会社に行けるのでしょうか?

 風速50ノットを超えると、もはや白波は立たず、波頭が風で飛ばされて一面白いスジになっていきます。そのスジが航海灯に照らされて緑の水煙になって飛んでいきます。こういうの、雑誌とかで見たことあるなーとぼんやり考えます。しがみついている間、風速計の数字が瞬間60ノットになるのを見ました。恐ろしい世界。目の錯覚だと思いたい…。

 葉山への帰り道は、かなーーーり辛かったです。でも本船航路でもあるので、なんとかシャキッとしてワッチして、無事に帰らなくてはいけません。トラブルの処理でバカ力を出したので、もはや腕が上がらず、寒くて眠くてすっかり憔悴しきってしまいました。

 午前4時すぎ、ほうほうの体で葉山マリーナへ入港。ダメージ多く意気消沈ですが、乗員みなケガなく無事だったのが何よりです。

 あらためて、大島は厳しかったです。このレースがカテゴリー3である所以がわかりました。自然のパワー、夜の海の怖さを思い知らされるレースでした。

 参加艇の多くが艇のダメージやセール破損に見舞われ、非常に怖い思いをした方も多かったようですが、あれだけの風が吹きながら大きな事故なく走りきった皆さんには心から敬意を表します。完走した皆さんの、満ち足りた日に焼けた笑顔がまぶしいです。

 85マイルを11時間8分27秒という速さで走り抜け、コースレコードを樹立した〈ESPRiT〉の皆さん、そして編集長が乗り込んだIRCクラス〈ESMERALDA〉、ORCクラス〈TICTAC〉の皆さんも優勝おめでとうございます!

 まさに、歴史に残るレースとなりました。完走できなかったけれど、またひとついい経験を積むことができました。一生忘れないレースとなりそうです。

 帰宅途中、道ゆく人々は晴れた休日の爽やかムードでいっぱいです。なんて平和な朝なんでしょう。でもわたしはヨレヨレになって朝帰りです。また強烈な週末を過ごしてしまいました。明日、仕事に行けるんでしょうか。

 はー。連載再開早々、ものすごい繁盛記になってしまいスミマセン!

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早朝、ハーバーに戻った〈ホビーホーク〉。片付け終わってへたりこんでます。photo by HobbyHawk

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おれたち戦死だよ。photo by HobbyHawk

◎大島レース公式ブログ(各艇の航跡データが公開されています)
http://blog.goo.ne.jp/oshima-rc

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