香港からフィリピンへ。チャイナシーレース
4月16日、香港からフィリピン・スービック湾まで565マイルを走る「チャイナシーレース」がスタートしました。1962年に始まったこの大会は、アジア圏で最も有名なオフショアレースで、今年は34艇が出場しています。フリートは8ノットの軽風のなかをスタートしていきました。(BHM編集部)
香港をスタートする艇団。スタート後、ウエザーマーク(上マーク)が設置されています。photo by Rolex / Kurt Arrigo
注目は、最大艇となるオーストラリアの〈Ragamuffin 90〉(Sydney Fischer)です。シドニーホバート、トランスパックにも出場するラガマフィンは最大所有艇のスーパマキシ(100フィート)ではなく、90フィート艇での出場。フィニッシュ後は、フィリピンから沖縄に移動して、沖縄東海ヨットレースに出場することが決まっています。
この大会は、いまの日本で最も長距離を走る沖縄東海ヨットレースと比べると興味深いものがあります。さらに両レースのレース公示と帆走指示書を比較してみるとおもしろい。距離はチャイナシーの565マイルに対して、沖縄東海はより長い720マイルあります。
通信機器の搭載義務はかなり似ていますが、安全備品のISAF オフショア特別規定は、チャイナシーのカテゴリー1に対して、沖縄東海はカテゴリー3(こちらはISAFではなく、JSAF外洋規定のカテゴリー3)。つまり、沖縄東海の方が長距離なのに安全に関する特別規定のレベルが低い、ということが分かります。
ちなみにISAF外洋特別規定(ISAF OFFSHORE SPECIAL REGULATION)では、適用するレースの基本条件を次のように記載しています。
カテゴリー0
大洋横断レースで一時的な場合を除き、気温または水温が5度以下になる地域を通過するレース。レース艇は非常に長時間にわたって完全に自給自足をせねばならず、幾度も激しい嵐に耐えうる能力と他からの援助を期待せずに深刻な事態に対処する備えをしなければならないレース
カテゴリー1
陸が遠く離れた外洋での長距離レースで、レース艇は非常に長時間にわたって完全に自給自足せねばならず、幾度も激しい嵐に耐えうる能力と他からの援助を期待せずに深刻な事態に対処する備えをしなければならないレース
カテゴリー2
海岸線に沿って航行する、または海岸線から遠く離れない、あるいは囲われていない大きな湾や湖でおこなわれる長時間のレース。レース艇には程度の高い自給自足能力が求められる
カテゴリー3
開放された水域で、大部分は比較的囲われているか、海岸線に近接している水面でおこなわれるレース
カテゴリー4
短いレースで陸に近く、比較的温暖、あるいは囲われた推移域でおこなわれるレース。通常は昼間におこなわれる
カテゴリー5、カテゴリー6
インショアレース専用の特別規定
安全を考えた場合、カテゴリーの違いを単純に比べることに意味はない、と考える方もいるでしょう。日本は法規則の違いもあるなど世界と共通にできない部分もありますが、編集部が全国のロングレース、クルーザーレースを見ていると、年々、安全規定のレベル(意識)が下がってきている流れを感じています。
それぞれ、「いい面、悪い面、仕方ない面」があるのですが、世界と日本の現状の違いは知っておくべきでしょう。それともうひとつ、エントリー費について。チャイナシーレースは安すぎる6万円、沖縄東海は30万円。両極端です。
◎ロレックス・チャイナシーレース
http://www.rhkyc.org.hk/rolexchinasearace.aspx
香港ヨットクラブ。photo by Rolex / Kurt Arrigo
さん橋でレース準備。photo by Rolex / Kurt Arrigo
〈RAGAMUFFIN 90〉。photo by Rolex / Kurt Arrigo
GEOFF HILL’S 72-FT 〈ANTIPODES〉。photo by Rolex / Kurt Arrigo
TP52〈LUCKY〉。photo by Rolex / Kurt Arrigo
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