雑草魂で大暴れ!江の島同盟のチャレンジ
今回の大学&U23マッチで、台風の目となって大活躍したのは、3位入賞を果たした江の島同盟です。このチームは特別な構成で、江の島ヨットハーバーで活動する、首都大、東海大、東洋大、駒沢大、東京経済大の選手7名が集まり結成されました。ハーバーでも海でもどこでも元気。本大会のムードメーカーでありながら「レースも真剣」という気合の入ったチームでした。(BHM編集部)
ラウンドロビンでおこなわれた同志社 vs 江の島同盟(手前)の一戦。photo by Junichi Hirai
江の島同盟は、関東水域の練習会に積極的に参加するだけでなく、2月葉山で開催された全日本マッチレース選手権の運営手伝いに全日程で参加してくれました。彼らは「とにかくヨットに乗りたいんです!」のオーラに満ち溢れ、当初は定員オーバーの7名も集まってしまい、どうやってレースメンバーを決めようかという悩みもあったほど(結局はメンバーを乗り換えるという方法で解決したようです)。その姿を見ていて、スポンジのようにヨットのすべてを吸収したいという貪欲さが伝わってきました。
彼らには、ほとんどの大学ヨット部員が持っているコンプレックスがありました。それは、大学ヨット部で4年間活動してきて全日本インカレに出場できなかったこと。彼らは自分たちを弱小校だという意識を持っていて、全国的に強豪校としてしられる他大学に「引け目」を感じています。大学&U23マッチに出場するからには強豪校に負けたくない、という気持ちがありました。
「ぼくたちは弱小校なので、インカレに出てもナメられる。例えば強豪校にプロテストしても、どなられたり無視されたり(編注:それはインカレの最も悪い部分です)。この大会のように、同じ道具や条件で戦えば、ここまでできるということが分かってうれしいです。ぼくたち7人のうち就職は2名。残り5名は大学院や留年など時間があります。スナイプにも乗りたいし、機会があればキールボートにも乗りたい。(2016年和歌山)J/24世界選手権にも興味があります」(江の島同盟・小鷹英和スキッパー)
いま、大学ヨット部は、みな悩みを抱えながら活動しています。全日本総合優勝を目指して活動する大学がいれば、水域予選突破を目標にする大学、もっとも数の多い関東水域では関東インカレ決勝進出を目標にしたり、部員の少ない大学では、どうにかしてメンバーを集めてエントリーすることを目標にしています。
強豪校だからといって安泰な大学はなく、それぞれの目標に向かうため1年間の課題に取り組んでいます。これが大学ヨット部の真の活動であり、その課題を克服したチームが優勝する全日本インカレが日本で一番注目される理由、でもあります。
しかし、大学ヨット界の全体のバランスを見てみると強豪校と呼ばれるのはほんの一部分で、ほとんどの大学は予選負けすることになります。ヨットが好きだという気持ちは、強豪校も中堅校、弱小校も関係ありません。ただ、負けてしまった彼らは、不完全燃焼感となにかしらのコンプレックスを持つことになります。
でも、インカレで負けてしまったのは事実としても、それがヨットの全てを決めちゃうことなの?
大会2日目におこなわれた同志社大 vs 江の島同盟の一戦では、最終ダウンウインドレグのフィニッシュ直前まで、江の島同盟が先行していました。20ノット前後の強風のなかでのシビアな戦いです。両艇は並んで走り比べとなり、同志社大が若干のボートスピードを持って追い抜きに成功しました。江の島同盟が惜敗した一戦です(上記写真)。
もし、スナイプ級や470級で戦ったら競るような戦いができたかどうかわかりません。でも、それは、大学スナイプ、大学470だけのちっぽけな世界でのこと。大学ヨットを離れ、別の土俵で戦ったら、きっと違った結果が待っています。
江の島同盟の活躍と彼らの思いは、きっと全国のヨット部員に届いたことでしょう。彼らは「大学なんて関係なくても上を狙える戦いができるんだ」という好例を見せてくれました。第1回大会の吉田工作チーム、第2回大会の中部学連選抜、そして今回の江の島同盟は、大学&U23マッチだからこそ出場可能なチームです。
今回大学&U23マッチに出場した選手が、これからどんな活躍を見せてくれるのか? 次回は、どんなチームが登場してくるのか? 来年の大学&U23マッチがいまから楽しみです。
とにかく元気だった江の島同盟。photo by Junichi Hirai
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