坂本シエスタ、全日本マッチレース二連覇!
2月11日、全日本マッチレース選手権最終日。相模湾・葉山沖は朝から強風、時折、雪の降るラフコンディションです。出艇前にワンポイントリーフ、ノースピンの条件でおこなわれることが伝えられ、選手たちは極寒の海へ飛び出しました。(BHM編集部)
プレッシャーをはねのけて連覇を決めた坂本シエスタ。左から岡本トリマー、今井メインセール、和田バウ、スキッパー坂本。他チームが5〜6人乗るなか坂本チームは4人で減量でした。photo by Junichi Hirai
準決勝の対決は、予選トップの坂本vs市川、本吉vsパク。こだけ風が上がるとボートコントロールに長けた坂本は、市川を寄せ付けず3連勝で決勝へ。また、本吉とパクは常に接戦で、パクが先行する場面も見られましたが、操船技術を持つ本吉がうまくペナルティを誘うなどでパクを下しました。
本日の葉山沖は風こそ安定しているものの、凍りつくような冷たい風が顔に突き刺さります。このなかで一番、過酷だったのはアンパイアだったかもしれません。10フィート前後の小型ボートで常に波をかぶってました。
また、今回は、ISAFインターナショナルアンパイアのセミナー、試験を兼ねているため、アンパイアの数も多く、いつもの全日本とは雰囲気や段取りが異なりました。通常なら、選手のボートチェンジに、アンパイアの協力で乗り換え用にアンパイア艇(ラバーボート)を使うことがあります。
しかし、今回は、セミナーを兼ねていたり、ボートの定員がいっぱいだったり、レース進行がスムースに運ばない場面もみられました。限られた予算、人員のシミュレーションを考えると仕方のないことですが、もし、次回ISAFセミナーと同時開催されることがあれば、ぜひ改善したい事項でもあります。
さて、坂本亘vs本吉夏樹の決勝戦。葉山沖は、さらに風が吹き上がり20ノット前後に。レースは岸寄りでおこなわれているので海面は比較的フラットですが、見渡す限り小刻みな白波が立っています。スタートマニューバーでは、迫力あるシーンもみられ、全日本マッチ・ファイナルにふさわしい舞台が整いました。
見ものだったのは第1戦です。スタート後、ほぼ互角で風上へ向かいましたが、両艇が別タックですれ違う際、スターボードの坂本艇が、右海面を譲りたくないため(ポートの本吉艇をタックさせたかった)バウダウンして急激なハント。本吉艇は大きくダッキングして避けて、坂本艇に1ペナルティが課せられました。
坂本は先行して各マークをまわりますが、ペナルティーを解消するため、どこで本吉に仕掛けるのかが注目されました。最終ダウンウインドでは両艇ともセールを絞り、ラダーコントロールしながら極限まで減速してフィニッシュラインへ向かいます。
2艇はフニッシュラインの本部船側のアウトサイドへ通りぬけ、本部船がクローズラインになるギリギリの位置で坂本がアップ。見越していた本吉はベストのタイミングで風上へ船を切り上げて坂本を避けます。ポートになった坂本は、スターボードの本吉に2本目のペナルティーを受けて万事休す。第1戦は本吉に軍配があがりました。
しかし、本吉の勢いはここまで。第2戦からは、練習量の豊富なシエスタチームの真骨頂でもあるチームワークが冴え渡ります。スタートマニューバで本吉を固く抑えこむと、本吉に先行させることなく連勝を重ねます。その後、坂本は3連勝を飾り、全日本選手権二連覇を飾るとともに、9月アジア大会のマッチレース日本代表権利を獲得しました。
「今回は初日が雪で中止になり、2日目もレースが遅れたので、ラウンドロビン後、どのようなスケジュールになるのか読めませんでした。セミファイナルがないことも考えられたので、予選の一戦一戦を大事にしながら戦いました。心がけていたのは、レースの組み立てはシンプルにしようということです。優勝できたのは、分業仕事をまっとうしてくれたチームメンバーのおかげです。(アジア大会の代表になったことで)今年の活動はマッチレース中心になると思います。具体的な予定はこれから決めますが、夏の海外大会に出場するなどで力を付けて金メダルを狙います」(坂本)
大会初日の大雪によりレース進行が危ぶまれた全日本マッチ。終わってみれば、余裕をとって4日間の大会日程にしたことが功を奏し、見応えのある準決勝、決勝がおこなわれました。日本代表の坂本亘、シエスタチームには、アジア大会でふたたび金メダルを獲得し、日本のセーリングを存分に盛り上げてほしいと思います。アジア大会情報については、今後バルクヘッドマガジンで紹介していく予定です。
◎2014全日本マッチレース選手権成績
1. 坂本 亘
2. 本吉夏樹
3. 市川航平
4. パク・ガンウ(韓国)
5. 長堀裕樹
6. 藤井麗
7. 村越俊介
8. 紙麻里亜
北東風20ノット前後。全日本マッチ最終日は、曇天、雪の降るなかでおこなわれました。photo by Junichi Hirai
朝8時過ぎ、葉山マリーナを出港する選手たち。ボートに少しでも慣れたい韓国チームが一番に飛び出しました。photo by Junichi Hirai
背景の遠く箱根方面は雪景色。写真は坂本(左)vs本吉。photo by Junichi Hirai
本吉夏樹艇、バウ伊藝、トリマー山田、ピット松石、メイン山岸、ヘルム本吉。photo by Junichi Hirai
決勝第1戦の最後、坂本艇にイエローフラッグが2本あがり本吉が先勝しました(ペナルティー2本目は即座に解消しなければなりません)。photo by Junichi Hirai
常時ずぶ濡れ。試練のアンパイアボート。photo by Junichi Hirai
マッチレース経験1年で大健闘といえる全日本3位入賞を果たした市川艇。今後の成長が期待されます。photo by Junichi Hirai
全日本マッチ最終日ダイジェスト映像。movie create by Kazushige Nakajima / Dailysailing.com
来日した南パースヨットクラブのアンパイアの方と小田切日本ヨットマッチレース協会名誉顧問(葉山マリーナヨットクラブ)でバージ交換がおこなわれました。photo by Junichi Hirai
韓国チーム。韓国アジア大会9月仁川で会いましょう!photo by Junichi Hirai
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