風はどこから吹く?琵琶湖スナイプ2日目
11月15日、琵琶湖で開催されている「スナイプ全日本選手権」2日目。前日のレースが風弱くキャンセルされたため、実質のレース初日となります。しかし、朝から雨の降る琵琶湖柳が崎沖に風はありません。8時50分におこなわれたレース委員会と選手によるミーティングでは、クラスルールを変更してコース短縮する場合のフィニッシュ方法が検討されました。(BHM編集部)
大会2日目は午前中、雨ベタ。午後から晴れ間が見えて1レースおこないました。しかし、穏やかな琵琶湖の風とは反対に、内容と成績は嵐のように荒れています。photo by Junichi Hirai
本大会では、風の弱い琵琶湖で開催されることから、あらかじめレース公示でスナイプ級の運営規定を変更しています。
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・風の振れによるレース中止・再レースの判断
20度 → 40度
・レースの風域(最低風域)によるレース中止・再レースの判断
5ノット〜 → 4ノット〜
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さらに風が弱いシリーズになる天気予報から、スナイプ級の運営規程では認められていない「コース短縮」を導入しようとするもの。レース委員会の提案に選手たちも異論なく、「最低1ループした後の風上フィニッシュ」が採用されました。
それにしても琵琶湖の風はきまぐれです。結局、午前中は風吹かず、午後から湖上に出たもののブローはまばら。しかし、午後1時頃から晴れ間が見え始め、南西の風がそよそよと吹き始めました。これを狙って第1レースの開始です。風は4、5ノットまであがりコンディションは整いましたが…。
しかし、ここからが、うまくありません。風は十分ながらも、選手たちがゼネリコを繰り返し、Z旗(ZFP。スタート1分前からラインを出た場合、20パーセントの得点ペナルティーが与えられる。スナイプ級では黒色旗ルールは採用されていません)があがったにも関わらず7回の再スタート。はじめのシークエンスから1時間以上経過した午後2時すぎに、ようやくスタートしました。
一旦、風は左にシフトしましたが、第1レグでは大きく右へ。本部船側からスタートした集団が、上位にまとまって上マークを回航します。最終アップウインドレグでは、風が落ちて、今度は左に大きくシフト。ウィスカーを張って上(フィニッシュ)マークへ向かう船もあるという状況となり第1レースを終えました。
大会初日の成績は次のとおりです。同志社大出身の出道/柳林がトップフィニッシュ。大井/酒井(辻堂加工)が2位。3着でフィニッシュした安部/山近(三菱重工広島)は2回のZFPにより(ZFPペナルティーは再スタートでも持ち越されます)25位、4着でフィニッシュした松永/野見山(スリーボンド)もZFPにより8位と大荒れの成績に。
泣いた選手もいれば、思わぬ幸運が舞い降りたチームもいます。11位でフィニッシュした高木/漆谷(BESTWIND/金沢大)は、11着でフィニッシュしたにも関わらず5位にジャンプアップしました(高木/漆谷の1上順位は最後尾グループ。神がかりな的な逆転ドラマとなりました)。
明日16日、大会3日目も微風・軽風が予想されます。琵琶湖の風は、だれに微笑むのでしょうか?
雨が降りしきる朝、選手を集めてコース短縮が検討されました。ゲートマーク(下マーク)でフィニッシュすると、運営が76艇の大量ボート数を読みにくいということから、短縮する場合は風上にフィニッシュラインが設けられることに。photo by Junichi Hirai
荒れに荒れた第1レースでトップフィニッシュを飾った同志社大OBの出道耕輔/柳林 俊。出道は2008年江の島全日本の優勝スキッパーです。photo by Junichi Hirai
おや?と思う人もいるでしょう。北京五輪470級代表の松永鉄也は5cre8の野見山 豪と出場。琵琶湖ジュニア、同志社大出身の松永にとって琵琶湖は庭のようなもの。もちろん優勝を狙っています。「琵琶湖の風はぼくもよく分かりません。きょうはうまくシフトが来てくれたんでラッキーでした。どこから吹くのかは…、(風の)匂いで判断しています」(松永)。“匂い”とは名言です。photo by Junichi Hirai
第1レースが終わると風はなくなり、選手たちはえい航されてハーバーへ戻りました。本大会の成立レース数は3レース以上。明日、そして最終日の風に期待です。photo by Junichi Hirai
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