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2013NYYCインビテーショナルカップ開幕!

 9月10日、アメリカ・ロードアイランド州ニューポートで「NYYCインビテーショナルカップ」が開幕しました。この大会は、132年間アメリカズカップを防衛してきたニューヨークヨットクラブ(NYYC)が主催する世界ヨットクラブ対抗戦。NYYCから各国クラブへ招待状が送られる形で集まり、2年に一度、世界各国の代表チームが同型艇で競い合います。(BHM編集部)


ニューポートで開幕したNYYCインビテーショナルカップ。大会初日は曇天、20〜10ノットの風で2レースおこなわれました。バウ番号03番は日本です。photo by Rolex / Daniel Forster

アマチュアイズムを前面に出したワンデザインレース

 今年のNYYCインビテーショナルカップには、13カ国20チームが出場します。日本(JSAF)チームは、これまでの2回大会で3位、6位の好成績を収めたことから、極めて珍しく3連続で招待を受けています。

 採用される船は、ニューヨークヨットクラブの制式艇、NYYC CLUB SWAN42。チャーター方式でおこなわれ、インビテーショナルカップ専用のセール(ややサイズダウンしてあります)を使用します。選手がチューニングできる部分はなく、スタンディングリギンのターンバックルなど可変部分は完全に固定されています。

 第2回大会では、いくつか新セールが作られましたが、第1回大会のセールを使うチームと平等にするために、ニューセールを同時間セーリング(夏のクルージングに使用したとのこと)して、使用感を同じにしたというほど同一条件が徹底されています。

 また、この大会は完全にアマチュアセーラーの大会であるという特徴があります。ISAFクラシフィケーションのグループ3(プロ)は出場できません。この辺は、ニューヨークヨットクラブのポリシーが強く影響しています。

 つまり、ちょうど同日におこなわれている完全プロ指向のアメリカズカップと対極にあり、インビテーショナルカップには「商業化されすぎてしまったアメリカズカップを離れて、シンプルなヨットレースに戻ろう」というニューヨークヨットクラブの意図があります。世界最新技術を駆使し、湯水のごとくお金をつぎ込むアメリカズカップと真逆な発想ですが、このような意見が少なくないのも事実でしょう。チームが多国籍になったことで忘れがちですが、現在のアメリカズカップもヨットクラブ対抗戦です。

 2013年大会が完全にアメリカズカップと重なってしまったのは皮肉のようにも取れるし、それにも屈しないニューヨークヨットクラブの強い意思も感じられます(もともとインビテーショナルカップは2年に一度9月開催と決められているので、対抗して日程を調整したわけではありません)。


優勝チームへ贈られるインビテーショナルカップ。カップではなくてガラスで作られた透明感のあるオブジェです。photo by Rolex / Daniel Forster


現在2位の日本(JSAF)チーム。インビテーショナルカップは本来ヨットクラブへ招待状が届くもので、第1回大会の前にJSAFと統合されたNORC(日本外洋帆走協会)宛に届きました。NORCが海外と同じヨットクラブ組織だったのか? というと、そうは思いませんが、大会当初にそんな経緯があり、クラブではないフェデレーションにも関わらず出場が許可されています。photo by Rolex / Daniel Forster

優勝を目標に組まれたJSAF選抜チーム

 さて、日本チームのメンバーは、植松 眞(チームキャプテン)、浜崎栄一郎(ヘルム)、久米 敏(タクティシャン)、小川正広(バウ)、西川松吉(マスト)、服部好彦(ピット)、辻寛基(メインセール)、石黒建太郎(ジブスピントリマー)、吉田 学(ジブスピントリマー)、市川航平(フローター)、フィル・ロッズ(ルール上乗らなければならないチャーター艇側の選手。チャーター艇〈アレーシア〉のオーナー)です。

 代表チームの選考方法は、昨年日本セーリング連盟内でチームを公募しましたが、応募したのが植松副会長の〈エスメラルダ〉だけだったことから同チームに決定。その後、植松副会長をリーダーにメンバーが選出されました。

 チーム構成は、過去2回タクティシャンをつとめた浜崎(シドニー五輪470級代表)をヘルムスマンに起用。浜崎の日本大時代の後輩にあたる石黒、久米を補佐に、学生時代からのライバルでもあり、スピード感覚に優れる辻(福岡大出身)がメインセールに加わりました。今回のドライブチームは、学連ヨット部出身のキールボートセーラーという特徴があります。

 また、パワー系ウエイト部門として、元ニッポンチャレンジから西川(96kg)、小川(97kg)、吉田(87kg)。この辺のフォアデッキチームとトリマーのあ・うんの呼吸は鉄板です。さらにジャパンカップ優勝艇〈サマーガール〉から服部(97kg)を加えた、日本人離れした重量級選手を揃えました。さらに今回は、昨年度、早稲田大ヨット部主将をつとめた市川(23歳。54kg)が、デッキ上で身軽に動くフローターを担当します。

 トリマー、ヘルムスマン、タクティシャンのドライブチームは、国内マッチレース(伊藤園カップ)やクラブレースに参戦して練習を重ね、現地ニューポートでもクルーワーク練習をして本番に挑んでいます。

 成績は大会初日を終えて4-1位で暫定2位。チームコンディションは悪くないようです。大会は14日まで。みんなで日本チームを応援しましょう!

◎NYYCインビテーショナルカップ公式
http://www.nyyc.org/yachting/invitational-cup
◎ヴァーチャルアイ(航跡)によるライブ中継
http://www.nyyc.org/2013-invitational-cup-virtual-eye


大会初日、2レース後の暫定成績


大会初日ダイジェスト動画


ウエブサイトでレースのライブが見られるヴァーチャルアイ。アメリカズカップで使われているトラッキング機能も同じです。photo by Rolex / Daniel Forster


ニューヨークヨットクラブ・ハーバーコートから湾を眺める。ニューヨークヨットクラブの本館はマンハッタンにあり、この地はレースを専門におこなう別館になります。photo by Rolex / Daniel Forster

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