もっと知りたいトランスパックヨットレース
8日にスタートしたトランスパック第一陣は、ロサンゼルス沖のカタリナ島を越えて、順調に船足を伸ばしています。ただいま、ディビジョン7の〈テンクォーター〉が暫定トップです。がんばれ!(BHM編集部)
次の日本艇のスタートは11日のディビジョン5に出場する〈クレセント3〉(S40)。同クラスはFARR40や1D35などもいる快足グループといっていいでしょう。さて、ここで、マリーナの様子やトランスパックのコースやレースについて、ちょこっとだけ勉強してみます。
マリーナ周辺の様子
メイン会場となるのは、ロサンゼルス空港から30分ほど南下したロングビーチ。ショアラインヨットクラブ(スタートの主催者はトランスパックヨットクラブです)のあるマリナグリーン一帯と水族館、レストランが並ぶショアラインビレッジ周辺です。多くの船は、ショアラインビレッジ目の前のレインボーハーバーに停泊(一週間前から無料)していますが、キールの深い大型艇などはここに入らず、別のマリーナに泊めています。
ハーバー周辺は広大で、ロングビーチの観光地でもあるためクルマ移動は必須です。ちなみに、運営艇やプレスボートは、ここからクルマで20分ほど北上したロサンゼルス・ヨットクラブから出港します。
〈クレセント3〉の泊地は、やや東にある巨大なヨットハーバー、アラミトス・ベイマリーナで、ここには上架施設もあり、ホテルも近いという利点があり、いくつかの出場艇が停泊しています。
ショアラインヨットクラブ前。海岸線は自転車道路が整備されています。photo by Junichi Hirai
レース序盤の気象とコース戦略
コースの戦略としては、大きく2つに分けられます。大圏コース(地球の球体に沿ってハワイへ直接向けた北方のコース)と、南下するトランスパックコース。スタート前のマストセッティングで最も悩む部分でしょう。
ロサンゼルス・サンペドロ沖スタートから約22マイル西方のカタリナ島北端を目指します。これを越えてからがコース選択のポイントです。北へ向かうか、南下するか。アメリカ西岸沖にある太平洋高気圧の尾根(リッジ)をどのように越えるかがポイントになります。
高気圧の尾根を越えると風は徐々に後ろ(南)にまわってスピンアップ。ここから船の性能とハワイまでの最短距離を考えたジャイブポイントが重要になります。
トランスパックにとって太平洋高気圧の動きは重要で、大会前に講習会を開かれ専門家やベテランセーラーが意見を述べるなど、情報を共有するイベントが催されました。
イエローブリックによる航跡図。暫定1位に王冠マークがつきます
トランスパックの通信事情は?
日本のロングレースと同様に毎日のロールコールが義務づけられています。テキスト(メール)で位置情報を知らせるもので、多くの船はインマルサット衛星を使ってコンタクトを取れるようにしています。2大会前まで義務づけられていた六分儀の天測はなくなりました。
また、すでに紹介しましたがイエローブリックを使ってウエブサイト経由で位置情報がアップされます。日本では、第1回沖縄東海レースではじめて使われ、今年4月の神戸横濱レースでも好評を得ました。画面からは、全艇の位置、針路、艇速がわかるので、オンボードの選手たちにも重宝しそうです(テキストデータだけを受信できます)。
イエローブリックの端末。全艇に取り付けられています。photo by Junichi Hirai
トランスパックで使われるレーティングは?
トランスパックヨットレースでは、主にアメリカで採用されているORRから算出されるPHRF(独自レーティング)が用いられます。日本で計測を受けるには、ORC Iを取得後、そのデータからORRを発行してもらうことになるようです。
今回は、全58艇が9つのクラス(ディビジョン)に分けられ、日にちをずらして3回スタートします。オーストラリアの〈ラガマフィン〉(エリオット100)、ボルボオーシャン艇の〈マセラッティ〉(VOR70MOD)、さらにコースレコードを狙うトライマラン艇〈レンディングクラブ〉(ORMA73)らが注目を集めています。
73フィートトライマラン〈レンディングクラブ〉。photo by Junichi Hirai
◎航跡図(イエローブリック)
http://yb.tl/transpac2013
◎Transpac Yacht Race
http://www.transpacyc.com/
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