忘れていませんか? 事故を防ぐキルコード
5月5日、イギリス・北コーンウォールのキャメル川で、あまりにも悲しい事故が起こりました。父母、子供の家族6人でボート遊びをしていたミリガン一家。ある時、ボートを高速で運転していた父親のニック・ミリガンさんをはじめ家族全員が、なにかの拍子で水面に投げ出されてしまったのです。(BHM編集部)
通常、RIBや小型ボートではエンジンキーの近くに伸縮するキルコード(写真赤丸部分)を取り付けてエンジンを始動します。しかし、コードを身体に取り付けなければ意味がありません。大惨事を招く原因になるのです。photo by Junichi Hirai
不幸はドライバーだった父親のニックさんが、キルコードを装着していなかったこと。キルコード(killcord)とは小型ボートに備わる安全装置で、エンジンを自動的に停止させるものです。使い方は、ドライバーが身体の一部に取り付けるだけ。もし、ドライバーが落水するなどで運転席から離れてしまった場合、キルコードが切れてエンジンが停止し、ボートをストップさせる目的があります。
ミリガン一家のボートは、だれも乗っていないのに暴走状態になってしまいました。ボートは、ステアリングをニュートラル、または手放しにした時、ペラに角度が付いていて右旋回する性能があります。つまり、暴走したボートは、スピードを保ったまま大きく円を描くように、なんども家族が落水した地点を通過したのです。
父親のニックさん(51歳)と娘のエリーちゃん(8歳)は、ボートに轢かれて亡くなり、母親のビクトリアさん(39歳)はひざ下を切断。4歳の息子とふたりの娘も怪我をおうことになりました。
この事故は、ドライバーがキルコードを付けて運転していれば避けられました。身体にコードをぐるっと一周させる簡単な動作、それだけです。
わたしたちが海に出る時、ボートやヨットに慣れれば慣れるほど、安全装備をおこたりがちになります。わたくし自身への戒めを含めて、あらためてボート、ヨットの安全について考えて行動したいと思います。
写真のようにコードを足に巻いたりして使います。一部のマリンウエアにはキルコードの取り付け部分があります。photo by RYA
RYA(英国ヨット協会)では、キルコードの装備を強くアナウンスしています
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
VELOCITEK
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ